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Photos by Mark Kauzlarich
このフォームファクターの時計をHODINKEEで見るのは久しぶりだが、もしもこれから紹介する時計にどこか見覚えがあると感じたなら、それは新作ブルガリ ブロンゾだ。これはブルガリのアルミニウムという予想外のヘビー級ペアモデルである。(セルペンティ トゥボガスやオクト フィニッシモのようなモデルを生み出すブランドとしては)必ずしもクリエイティブとはいえない名前と、同様に意見が分かれるデザイン言語を持つ奇妙なデュオでもある。ブルガリ・ブルガリスタイルの名前がベゼルに刻まれたデザインが好きではない人は、これ以上読み進めるべきではないだろう。
私がこのデザインについて最後に記事を書いたのは2023年で、ベゼルにブルガリの名前を使用することに対する“クリエイティブ”なコメントがたくさん寄せられた。これはオリジナルが誕生した90年代後半のスタイルにしっかりと根ざした、好き嫌いがはっきりと分かれるデザインであることは間違いない。ブランドは1998年の発表時、これを世界初のアルミニウム製ラグジュアリーウォッチと呼び、そのブランド名が刻んだラバーベゼルを受け継いだ。しかしさらに深く掘り下げてみると、この時計にはもっと多くの魅力がある。
ブルガリ アルミニウムの着用感は興味深い。私は今でも超軽量な時計はどこか奇妙で、時折不安にさせられる。時計の重さは価値を感じさせるだけでなく、手首の機械式ムーブメントを保護する何かが重く存在していることを保証してくれるのだ。新作ブルガリ ブロンゾに重厚感の不足はなく、(名前が示すとおり)クロノグラフとGMTのバージョンが発売され、ラバーベゼルを備えたブロンズケースが特徴である。
2023年に発売されたブルガリ アルミニウム マッチポイント ソロテンポは、私の目には今でも素晴らしい時計だ。もちろん、誰もが同意するわけではないだろうが。
両モデルともブロンズトーンの針(クロノグラフのカウンターも含む)と、針とダイヤルインデックスに夜光素材が塗布されたプリントダイヤルを備えている。ブラックダイヤルは、ブラックのラバーベゼルと呼応する。クロノグラフはベゼル外周にタキメーターを備え、3時位置にスモールセコンド、9時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計のインダイヤルが配置されている。クロノグラフのブロンズケースは直径41mm、厚さ12.35mmで、100mの防水性能を持つ。
もちろん、デイト表示窓の追加(ましてやクロノグラフに)は議論の的になるだろうが、ダイヤルが多情報であることは、特にカラーマッチした表示のおかげで4時半位置のデイト表示窓をうまく隠すのに役立っている。クロノグラフはまた、ブラックDLCコーティングが施されたチタン製のリューズ、プッシャー、裏蓋を特徴としており、パンチの効いたこのツートンスタイルを完成させている。おもしろいのはブロンズケースが時間の経過とともにどのように経年変化し、パティーナ(しばしばオフグリーンの色合いに傾く)を帯び、時計に3つ目の色の層が加わるのを見ることだ。
ケース内部には、デュボア・デプラ製クロノグラフモジュールを備えたセリタ SW300をベースにした自動巻きCal.B381が搭載されており、2万8800振動/時(4Hz)で動作し、42時間のパワーリザーブを持つ。これらはブルガリの製品のなかではより手ごろな価格帯に位置づけられているため、率直に言って、彼らはセリタ 510を採用してもっとコストを抑えることができたのではないかと思う。しかしここでのコストの多くはムーブメントではなく、ケースの製造にあるのだろうと推測している。
一方のブロンゾ GMTは、セリタ SW330-1ベースの自動巻きムーブメントであるCal.B192を搭載しており、パワーリザーブは50時間だ。つまり、このムーブメントは“フライヤー”スタイルの時針ではなく、独立して調整可能なGMT針を備えていることを意味している。私のようにローカルジャンピングGMTを好む人にとっては検討すべきポイントとなるだろう。24時間表示はダイヤル外周のわずかに磨き上げられた見返し上に配置されており、ラバーベゼルはコレクションのほかのモデルと同じままだ。GMTモデルの防水性能は100mで、ケースサイズは直径40mm×厚さ9.7mmとなっている。
私は、ブルガリ アルミニウムやブロンゾのような時計と向き合う時間が増えれば増えるほど、その風変わりな魅力がより深く理解できるようになった。ラバー製のベゼルは、私にとって90年代のノスタルジーを呼び起こす。それはまるで、チャック E.チーズでクールな景品を買うためにチケットを貯めていたころの、明るいネオンカラーのベルクロ製ナイロンウォレットを思い出すのと同じだ。実はベルクロという言葉が、この時計の最高の部分のひとつであるラバーストラップを連想させた。特にブルガリが(アルミニウムやブロンゾといった)これらのモデルのために製作した頑丈で、剛性がありつつも装着時には驚くほど快適というヒンジ付きのストラップには、ほかに類を見ない魅力がある。
このブレスレットが手首に沿うようにフィットし、ユニークなセンターラグのデザインから滑らかに続く様子はさまざまなサイズの手首にきわめてよくなじむだろうと思う。重量バランスはアルミニウムよりも間違いなくトップヘビーだが、ときにはその重さが安心感を与えてくれるものだ。実は私が思い出す最も近い着用感は、オイスターフレックスブレスレット仕様のロレックス デイトナだ。オイスターフレックスブレスレットには(手首に張りつくのを防ぐストラップの内側に備わっているフィン構造など)より工夫が見られるが、手首の上でのバランスはこの時計にきわめてよく似ている。
最近発表されたブルガリ アルミニウム GMT フェンダー® 限定モデルより約7万円高い、73万1500円のブルガリ ブロンゾ GMTは、ブロンズケースとブラックアクセントを採用したことでブラウン1色に偏らない、よりバランスの取れた美的インパクトを持つ完成度の高いデザインパッケージに仕上がっていると感じる。一方で、個人的に選ぶならブルガリ ブロンゾ クロノグラフだ。こちらは91万3000円(すべて税込)となる。ただし価格設定はやや高めにも感じられ、ブルガリ アルミニウムが二次市場で割安に取引されている現状を考えると、その点は少々気になるところだ。
早期にこのシリーズを手に入れることの利点は多くの人の手首で目にすることがなく、そして外観も素晴らしく、着け心地のよいふたつの時計を手に入れられるということだ。実際に先日、J.G.メロンで昼食をとるために外に座っている人の手首に限定モデルのアルミニウム “マッチポイント”を見かけ、思わず立ち止まってしまったことがある(ハンバーガーを食べたい気分だったからではない)。それは最近の多くの時計からは得られないようなサプライズなのだ。
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