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Photos by James Stacey
ある種の人にとって、パテック フィリップはワールドタイマーであり、ワールドタイマーはパテック フィリップである。パテックがそのコンプリケーションを発明したわけではないが、新しい5330Gのような優れたモデルのおかげで、この機構は何十年にもわたってブランドと強く結びついてきた。
パテックは昨年開催した“ウォッチアート・グランド・エキシビション / 東京2023”にて、日本市場のみを対象とした300本限定の5330Gを発表した。そして今回、オパラインブルーグレーダイヤルを備えたこの新しいワールドタイムモデルを通常カタログへと追加した。文字盤中央のカーボンパターンは、2020年に新しい製造工場開設を記念して発表された、カラトラバ 6007Aを思い起こさせる。
5330Gには、パテックが昨年のLEで発表した新しいパテック製Cal.240 HU Cを搭載している。これは各時間帯に対して24時間制の昼夜表示を備えたワールドタイマーであるが、最も注目すべき点は、ローカルタイム(すなわち12時間制)に忠実に追随する日付機能を備えた初のワールドタイムであることだ。パテックによると、キャリバーの厚みを1mm未満の増加に抑えながら実現したという。これは、パテックがどの時計ブランドよりも、特にワールドタイムやトラベルタイムにおいて、実用的な機械的革新を続けた典型的な例だ。Cal.240は、2万1600振動/時で時を刻むオートマチックムーブメントであり、パワーリザーブは約38~48時間だ。
ホワイトゴールド製ケースのサイズは40mm径×11.57mm厚。プロポーションがよく、薄いまま手首に装着でき、まさにパテックのドレッシーなラインで求められるものそのものである。ラグはコンパクトで、5330Gの直径がわずかに大きいことを考慮しても、快適な着用感を維持している。ラウンドケースとステップドラグは、ワールドタイムのようなクラシックな複雑機構にふさわしい伝統的な雰囲気を醸し出している。
日本限定は好みが分かれるようなギヨシェ装飾のパープル文字盤であったが、メインカタログの5330Gでは、中央にブルーグレーのオパラインをあしらっている。文字盤中央にあるテクスチャーカーボンパターンは、滑らかなワールドタイマーのリングとコントラストを成している。先端に赤があしらわれたガラス製デイトポインターは、洗練されたタッチのように感じる。
挑戦的にも、パテックはアップデートされた5980Gと同様、5330Gにもデニムスタイルのカーフスキンストラップを配した。パテックのようなブランドが、いかにもオーソドックスなワニ革以外で現代的なドレスウォッチを提供しても損はないと、しばらく前から言い続けてきたので、今回のようにパテックから新しいものが見られるのはうれしい。HODINKEE Radioの最初のエピソードで述べたように、本作はAPのトラヴィス・スコットコラボモデルにおける、ブラウンデニムに近いストラップを思い起こさせる。
パテックのワールドタイムが世界を驚かせることはないだろう。これは単にパテックが常に行っていることを、今回は約10%改善しているに過ぎない。この場合、それは時計をより使いやすくする実用的な革新を意味する。しかし、ワールドタイム 5330Gは、古典的な複雑機構を現代風にアレンジしたよくできた時計であり、これこそ私たちがパテック フィリップに求める時計なのだ。
ワールドタイム 5330Gは、40mm径×11.57mm厚のホワイトゴールド製ケース、30m防水。パテック製Cal.240 HU Cを搭載し、ワールドタイム、ローカルデイト、24タイムゾーンのデイ/ナイトを表示する。ブルーグレーのカーフスキンデニムパターンストラップ付き。希望小売価格は1213万円(税込)