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Photo Report パテック フィリップ・ミュージアムに潜入する

率直に言おう。私にとって、パテック フィリップ・ミュージアムは世界で最も印象的な時計コレクションを収蔵する場所だ。20世紀のパテック フィリップの腕時計愛好家である私にとって、この博物館はこれ以上望めないほど素晴らしいのだ。用意はよろしいだろうか。我々は鉱脈を掘り当てたのだ。

※本記事は2014年11月に執筆された本国版の翻訳です。

 率直に言おう。私にとって、パテック フィリップ・ミュージアムは世界で最も印象的な時計コレクションを収蔵する場所だ。素晴らしく重要な時計を収集する、素晴らしい博物館が、他にないと言っているわけではない。ただ単に私個人の好みを語っているだけなのだが、20世紀のパテック フィリップの腕時計愛好家である私にとって、この博物館はこれ以上望めないほど素晴らしいのだ。パテックの博物館は、パテック フィリップSAとは別個の事業体で、独自のスタッフ、独自のキュレーター、独自の目的をもっており、目標とする第一は歴史的に重要なパテック フィリップの時計だけでなく、時計というもの全般を集め、研究し、展示することだという。
 ジュネーブの街中の複数階建てのビルには、博物館が所蔵する何千点ものコレクションの中から、常時2〜3000点が展示されており、館内での写真撮影は禁止されている。しかし少し無理をお願いして、パテック フィリップのスタッフおよびMonochrome-Watchesの友人たちのご厚意により、パテックが175周年記念に史上最も複雑な機構を備えた腕時計を発表する月曜日に、我々は特別ツアーを案内してもらい、カメラの撮影も許された。ヴィンテージウォッチ愛好家の皆さん、用意はよろしいだろうか。我々は鉱脈を掘り当てたのだ。

 あまりに数が多過ぎるために、ここでご覧に入れる全てを深く扱うことはしないが、紛れもない最高品のいくつかには触れていこうと思う。このページのトップにある腕時計はRef.2512だが、これには見覚えがあると思われるかも。それはこの、スプリットセコンド付きクロノグラフを搭載した特大の(46mm!)一点ものリファレンスこそが、パテック5070Jの元になったモデルだからだ。この2512はまさに比類なき一品で、1952年にアビエーター・ウォッチとして、トリノの正規販売店アストルアに卸された。そして2000年にクリスティーズのオークションで、85万ドル(約873万円)の値で落札されたものだ。同じサイズ、同色のダイヤル、(実質的に)同リファレンスでありながら、クロノグラフにスプリットセコンドが付いていないものが、2012年にサザビーズのオークションでさらに高値で落札されたことを考えれば、今ならこれがどのような値になるか想像してみていただきたい。上限なしである。

 その下にあるのは、SS製、夜光針と夜光ダイヤルの、ヴィンテージ・パーペチュアルカレンダー、一点もののRef.1591だ。おいおい、と言いたくなる。

 ここにあるのは、パテック フィリップとしては極めて珍しいサイエンス的な3モデルだ。そのうち2つが腕時計。どちらも55㎜以上ある“アワーアングル”ウォッチだが、左のものはスプリットセコンド付きクロノグラフでもある。これらは24時間ダイヤルで、フライトジャケットの上から着用することを意図した本当のプロトタイプだった。
 スプリットセコンドのほうの腕時計は、なんと1936年製だ。この腕時計は2007年にクリスティーズのオークションで、170万ドル(約1億7468万円)で落札された。これも今日の市場に出れば、結果は純然たる狂気の沙汰となることだろう。

 さて、これらは非常に初期のパーペチュアルカレンダーの3本だ。実は中央に陣取っているのが、1925年にまで遡る、パテック フィリップ製最初期のパーペチュアルカレンダーである。

 そう、これは1950年代のパテック フィリップ トゥールビヨン。思い出して欲しいのは、過去10年のものより前に遡るトゥールビヨンについては、敢えて挑戦してみようとするマニファクチュールは世界でも非常に限られており、20世紀中盤のトゥールビヨンのほとんどは懐中時計に搭載されたものだった。本機は非常に稀な、腕に着けるトゥールビヨンウォッチだ。

 ここにあるのは、ヴィンテージもののワールドタイマーだ。そのうち3本がたまたまダブルリューズかつ、エナメルダイヤルとなっている。おそらくこういった品なら、クリスティーズのパテック175周年記念オークションでも、易々と最高値のロットとなるのだろう。

 ここにあるのは、(私見を言わせてもらうと)展示品の中でも最高にクールな作品のひとつだ。1955年製、特大サイズのパーペチュアルカレンダー スプリットセコンド(!!!)クロノグラフ、Ref.2571だ。もちろん、1518と2499が、多かれ少なかれ20世紀中盤のパテックのキングであることはご存じだろうが、しかし本機は、物事を全く新たなレベルにしているのだ。この2571は、5004の曽祖父であると考えれば、そしてこれまでにこれらのどの針も公式に交換した記録はないのであれば、結果としてその価格は、まあ、天文学的になるだろうと予測できる。

 2571で既にクレイジーな領域に深く入り込んでしまっているわけだし、もうひとつ狂気の沙汰をお見せしよう。これは2499に見えないだろうか。見えて当然。2499なのだから。しかしこれはなんと、スプリットセコンド機構の付いた2499なのだ。

 そしてこれは? そう、お分かりだろう。これはまた別のプラチナ製2499だ。一般の手に渡った唯一のものは、エリック・クラプトン(Eric Clapton)氏の所有物となり、2年前に400万ドル(約4億1100万円)近くで売却された。スターン家はこれを2本製造しており、ここにある1本は彼らが所有するものだ。

 こちらはミニッツリピーター付きのヴィンテージウォッチコレクションだ。言うまでもなく。

 そしてこれは? パテック フィリップで唯一知られる、クロノグラフ付きワールドタイム、Ref.1415-1 HUだ。本機は1940年10月2日に、P・シュミット(P. Schmidt)博士に納品された。

 こちらにあるのは、ブラジルの小売販売店ゴンドーロ&ラボリアウのために特別に作られ、同店だけに納品されたコレクションだ。これは、ジョン・ゴールドバーガー(John Goldberger)氏の所有品を思い起こさせるかも知れない。

 こちらは、ブラックダイヤルのスプリットセコンド付きクロノグラフ、Ref.130だ。

 そしてここにあるのは? これは1563(1463のスプリットセコンド版)で、世界に3本しかないうちの1本だ。別の1本が今度の日曜夜に、クリスティーズのパテック175周年記念オークションで、ジャン-クロード・ビバー(Jean-Claude Biver)氏のコレクションから出品される

 これは5950Aの祖先であることが明らかな、初期のスプリットセコンド付きクロノグラフ。

 これは初期のRef.130だが、これを特別なものにしているのは、ブラックダイヤルにブレゲ数字を施したSSウォッチという点だ。

 これは、グレイブズという男性が所有するプラチナ製懐中時計だ。そう、そのグレイブズ(Graves)氏だ。

 これは、博物館が所有する最も高価なヘンリー・グレイブズ(Henry Graves)氏のウォッチだ。少なくともあと一週間は。

 これは、ジェームズ・ワード・パッカード(James Ward Packard)氏のために作られた、パーペチュアルカレンダー付き卓上クロノグラフ(もちろん、スプリットセコンド付き)。

 パテック フィリップ・ミュージアムが所有する数少ないトゥールビヨン懐中時計のひとつ。

 こちらは、非常に見事なパーペチュアルカレンダー付き懐中時計の数々。

 これは、Talking Watchesのアルフレッド・パラミコ(Alfredo Paramico)氏の回で紹介されたものと似通った、ツートンのRef.570カラトラバ。世界で最も渇望される時刻のみの腕時計のひとつだ。

 こちらは非常にレアな、パテック フィリップ製の「レベルソ」。レベルソは、今では明らかにジャガー・ルクルトの製品として知られている。これは7本しか存在が知られていないうちの1本だ。

 ジュネーブのパテック フィリップ・ミュージアムの中に収まるほんの一部をご紹介してきたが、楽しんでいただけたら嬉しい。今回は専らパテックの20世紀のものを取り上げてきたが、ここにはパテック フィリップだけでなく、様々なメーカーの、腕時計以前に遡る初期の重要な時計の、素晴らしいコレクションも所蔵されていることを今一度お伝えしておきたい。ジュネーブを訪れる際には、この素晴らしい場所をぜひともチェックすることをお勧めしたい。

※現在の運営状況はご自身でご確認ください。

パテック フィリップ・ミュージアム

所在地:Rue des Vieux-Grenadiers 7

CH-1205 Geneva

電話番号: +41 (0)22 807 09 10

営業時間: 火曜~金曜、午後2時から午後6時まで。土曜、午前10時から午後6時まで。

www.PatekMuseum.com