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よく、“まだそれほど知られていないうちに、優れたインディペンデントの時計師をどうやって見つけるのか?”という質問を受ける。彼らが大きく注目され、購入が難しくなる前に見極めるには、多くの労力とコネクションが必要である。しかしルイ・ヴィトン ウォッチ プライズ フォー インディペンデント クリエイティブズのおかげで、市場で最も興味深い独立系ブランドを知るための近道が存在する。同賞はこのほど、2025〜2026年版のセミファイナリスト20名を発表した。
2023年、HODINKEEのオフィスにて撮影された、初代LVウォッチ プライズ受賞者のラウル・パジェス(Raúl Pagès)氏。Photo: @waitlisted
ルイ・ヴィトンのウォッチ部門ディレクターであるジャン・アルノー(Jean Arnault)氏は、インディペンデントウォッチメイキングの熱心な愛好家であり(最近のLVによるコラボレーションからも明らかなように)、これら過小評価されがちな職人たちを支援するために本賞を設立した。第1回ルイ・ヴィトン ウォッチ プライズを受賞したのはラウル・パジェス氏であり、レギュラトゥール・ア・デタントRP1で栄冠を手にした。パジェス氏はラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンによる1年間のメンターシップと賞金を受け取っており、今回も同じ内容の賞が提供される。このメンターシップが特に興味深いのは、ウォッチメイキングだけにとどまらずコミュニケーションやビジネス、ブランド構築といった、時計師それぞれのニーズに合わせてカスタマイズされている点である。パジェス氏はその後、RP1に続いて最近RP2を発表しており、当サイトでも取り上げている。
ペテルマン・ベダ(Pedermann Bédat) デッドビートセコンド。
カリニッヒ・クライス(Kallinich Claeys) セントラルセコンド 香港エディション。
ムーブメント側は、現代性と伝統が実に興味深いかたちで融合している。
20名のセミファイナリストすべてを取り上げる代わりに、特に印象に残ったいくつかの時計とポイントを紹介したい。まず、ペテルマン・ベダの素晴らしいデッドビートセコンドのように、なじみのある名前が多く見られる。この若きデュオはA.ランゲ&ゾーネでキャリアをスタートさせたが、独立してから手がけたクロノグラフ ラトラパンテは2023〜2024年版でファイナリストとなった。このモデルは、精巧なデッドビートセコンド機構と卓越した仕上げを備えている。同じくランゲ出身で、現在は独立して活動するカリニッヒ・クレイス氏のデビュー作、セントラルセコンドに関しては、実機を手にする機会はまだないもののスペック上では非常に印象的だ。さらに注目すべきは、グラスヒュッテの学校が若手時計師にとっていかに強固な土壌であるかが改めてうかがえる点である。
ハゼマン&モナン(Hazemann & Monnin) “スクールウォッチ”。
オフレ・パリ(Auffret Paris) ジヴェルニー “ブルートレイン”。
ムーブメントには、オフレ氏ならではのシャルボネージュ仕上げが施されている。
ハゼマン&モナン、GPHG受賞直後のレデラー(Lederer)、そしてテオ・オフレ(Théo Auffret)氏もHODINKEEで過去に取り上げている。オフレのエントリーは興味深いもので、彼が長らく待望されていたトゥールビヨン・ア・パリに続く新作、ジヴェルニーである。こちらはより小振りで、クローズドダイヤルを備えたシンプルな3針モデルだ。オフレ氏によると数カ月前の時点で、“時計は正式な発売準備が整っていないものの、プライズへの応募資格を満たすためには何らかの情報発信が必要だった”とのことで、その結果として今回、ひと足早いプレビューが実現した。
予想どおり、最多のエントリーを占めたのはスイスだが、その差はごくわずかである。スイスからの6件に対し、中国からは意外にも4名がセミファイナリスト入りしており、そのなかには非常に興味深いファム・アルフート モビウスとエムグレイバー ヴェントラリスが含まれている。どちらもできるだけ早く実物を見てみたいと思わせる存在だ。中国のインディペンデントシーンは急速に成長しており、時計業界における“メイド・イン・チャイナ”という言葉にまつわる古い固定観念は、もはや捨て去るべき時期に来ているのだ。興味深いことに、私は数年前にC.H.メイランに関する記事を書く際に情報提供者としてエムグレイバーの創業者ヤン・シミング(Yang Shiming)氏と話をしたことがあったが、そのとき彼はまだこのユニークな時計の開発に着手すらしていなかった。ただし、当時からヴィンテージやアンティークウォッチの情熱的なコレクターであったことを覚えている。
クワイエットクラブ(Quiet Club)。
ムーブメントはこれまでに見たことのない独特な輪列を備え、古典的要素と現代的要素が巧みに融合した魅力的な構造となっている。
中国に続くのは日本で、4名のエントリーがある。そのひとつが東京のマサズパスタイムという店舗を拠点とするブランド、Masa & Co.による蒼黒(そうこく)。もともとは、古い懐中時計をベースにしたコンバージョンウォッチ/マリッジウォッチの製作から活動を始めた人物で、日本を訪れる際には必ず立ち寄りたい店舗だ。2020年のF.P.ジュルヌ ヤング・タレント・コンペティションで優勝した日本人時計師の関 法史氏も、新ブランドのクワイエットクラブでより伝統的なデザイン路線から脱却した。このブランドは、アメリカ在住のふたりのビジネスパートナーとともに設立され、その時計は東京で製作され、シンプルで控えめなデザインと美しい複雑さが調和した、際立って日本的なスタイルを特徴としている。この時計にはダイヤル裏側をゴングとして用いるアラーム機構が搭載されている。
J.N.シャピロ(J.N. Shapiro) リサージェンス。
アメリカからの唯一のエントリーは、1969年以来初となる完全アメリカンウォッチであると大胆に主張する、J.N.シャピロのリサージェンスだ。一方、私は最近オーストラリアのルーベン・シューツ(Reuben Schoots)氏をInstagramでフォローし始めた。今回のフィールドは、インディペンデントウォッチメイキングとその芸術性に対して多様なアプローチをとる、非常に興味深いエントリーが揃っており、その多くを実際に手に取って試してみたくて仕方がない(もしブランド関係者が読んでいるならぜひ連絡してほしい)。エキスパートからなる委員会(我らがベン・クライマーも参加)が5名のファイナリストを選出し、その後より少人数の委員会が協議を行い、来年の授賞式当日に最終的な受賞者が決定される予定である。
左からラウル・パジェス氏、ゲール・ペテルマン(Gaël Petermann)氏、フロリアン・ベダ(Florian Bedat)氏、テオ・オフレ氏(そして彼のチームの時計職人イヴ氏)。昨年シンガポールで開催されたIAMWATCHにて撮影。テーブルにいる全員が、このプライズの受賞者か、少なくともセミファイナリストに選ばれた経験を持つ。
ルイ・ヴィトン ウォッチ プライズ フォー インディペンデント クリエイティブズの詳細や、その他のセミファイナリストについてはウェブサイトをご覧ください。
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