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In-Depth ヴィンテージロレックスを購入する前に必ず注意すべき9か条

ヴィンテージウォッチは恐ろしいものになる場合があり、ヴィンテージロレックスともなれば一層怖いものになり得る。知識で武装することが最善の防御手段となる。

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ヴィンテージロレックスを買うということは、ハードルが高く感じてしまうこともあり、さらには、恐怖感すら感じてしまうこともあるかもしれない。あらゆるところに潜んでいる多数の偽物や、パーツを寄せ集めた個体が多いからだ。先日、悪い例を紹介した。これまでにも何度となく「売り手を買え」というアドバイスを聞いてきたことだろうが、それと同じぐらい、そのアドバイスを無視してきたことだろう。最初からインチキな商売だと宣伝するような取引はほとんどないため、私はそれを責めたりはしないが、本物だと信じるよう仕向けられた時計が、ずっと後になってから偽物だったことが分かり、コレクション性や価値が損なわれることがある。したがって、この記事では、夢のヴィンテージロレックスを探すときに、必ずチェックすべき重要なポイントを読者の皆さんに把握してもらうことを目的としている。

 このチェックリストは、ロレックスのヴィンテージウォッチの独特な特徴を全て網羅していると言えるものではないが、それでも、次にロレックスを探す際に“負け組”にならないための基礎知識を提供してくれる。

※本稿は2016年1月にHODINKEE US版で公開された記事の翻訳です。


ダイヤルが全てではないが、全てに近いくらい重要だ
Vintage Rolex Dial details

 ビギナーのヴィンテージロレックスハンターには意外に聞こえるかもしれないが、ヴィンテージロレックスの価値の大半は、ダイヤルにある。ヴィンテージのリファレンスの非常に希少なダイヤルには、希少性の低いものと比べて莫大なプレミアムが付けられることがある。このような特殊な理由から、この1つのポイントについて特別に注力する必要があるが、まずは次の3つの質問を自分に問いかける必要がある。

1. まずは本物であることを確認するのが先で、他は全て後回し

 あなたが実際に、極めて希少なデイトナ・クロノグラフをいくつか検討している場合、まさしく文字通り、"ダイヤルは本物なのか?"という質問は、ヴィンテージロレックスを見るにあたって100万ドルの価値がある質問である。文字盤が本物かどうかを判断する唯一の方法は、慎重に慎重を重ねて精査することだ。それでも私は、最も高価なデイトナなど、ペテン師がその偽造を極めた非常に価値の高いロレックスの場合には、「真似をしないでね」という免責事項を追加するだろう。

 このような特別な事例を除いては、ほとんどの場合、ダイヤル上のロゴやその他の文字を精査するだけで十分だ。書籍やその他の信頼できる情報源(ここで“信頼できる”ということを強調するのは、何でもでっち上げるひどく不誠実な“専門家”がディーラーでもある場合があるため)の画像と比較する(ロレックスのロゴの形状の分析から、そのロゴが立体的なものなのか、プリントされたものなのかを判断することや、ダイヤルの主要なフォントを検証することなど)ことが安全な出発点だ。ほとんどの場合、このステップでダイヤルに関する十分な情報を得ることができ、時計のその他の部分の精査へと進むことができる。

Vintage Rolex Day-Date

ヴィンテージのデイデイトに配されたロレックスのロゴ。

Vintage Rolex Explorer Reference 14270

近年のエクスプローラーにプリントされたロレックスのロゴ。

2. ダイヤルの年代をチェックしよう

 ヴィンテージロレックスがもたらすもうひとつの問題は、「サービスパーツ」とも呼ばれるスペアパーツの豊富さに由来している。これらは、ロレックスによって承認され、しばしば交換部品として時計に装着されているため、本物である。しかし、このような処理は、当初生産された後に加えられているため、その存在が時計の全体的な価値を減少させることになる。そのため、その時計の文字盤が正しい時代のものかということを確認することが最も重要となる。
 この作業のための最も簡単な方法は、ダイヤルに使われた夜光塗料を調べることだ。これは、時代によって使われた夜光塗料が違うためで、年代順に見ると、1960年代前半まではラジウム、1998年まではトリチウム、1998年から1999年前半まではルミノバ、それ以降はスーパールミノバとクロマライトが現在に至るまで使用されている(ロレックスは2008年以降、クロマライトを使用している)。また、ダイヤルの下方にも夜光塗料が表示されており、ラジウムは「SWISS」、トリチウムは「T Swiss T」、または「T Swiss T<25」、過渡期のルミノバとスイス製は再び「SWISS」という表示されている。そのため、年代的にはトリチウムダイヤルのはずなのにルミノバダイヤルが備わった時計は、交換用のサービスダイヤルが使われたもので、それでもその時計に興味があるのならば、価格を下方修正する必要がある。

Vintage Rolex Explorer 14270

ロレックス エクスプローラーで見られる過渡期の「SWISS」表記。

Rolex GMT Master II 16710

GMTマスターⅡで見られる「SWISS MADE」表記。

3. ダイヤルの状態をチェックしよう

 さて、ダイヤルが本物でオリジナルだということが証明された(と願っている)と確認できれば、これでもう終わりなのだろうか? 次はダイヤルが良い状態なのを確認する必要があるため、ここで終わりとはいかないのだ。ここでは、言い回しが若干紛らわしいが、まんべんなくブラウンに色あせたダイヤルは、誰もが欲しがる“トロピカル”ダイヤルのため、それが必ずしもゴミだというわけではない。同様に、コレクターはヒビが入ったダイヤルを“スパイダーダイヤル”と呼び、実際にそのような個体を探すコレクターもいる(ヴィンテージロレックスのコレクターが皆一様に欲しがっているというわけではないが)。ここで重要なのは、シミ、夜光インデックスの欠落、ダイヤルの傷など、望ましくないさまざまな欠陥を発見することだ。同様に、ダイヤル上のドットの夜光塗料の色は、針のパティーナと比較する必要があり、これらは一致する、または少なくとも道理に基づいてそれに近い必要がある。もし、これらが根本的に異なる場合は、ダイヤルと針のそれぞれの輝度を比較すると便利だ。例えば、スーパールミノバで塗装された交換用の針は、機能していないトリチウムダイヤルと顕著な対照をなすものだ。 

Vintage Rolex GMT 1675

ダイヤルと針に同じタイプのパティーナ(経年変色)が見られるヴィンテージロレックス GMT Ref.1675。 

 以上の全てに問題がなければ、それは良い知らせだ。もう1つダイヤルについてできることは、時計の全体的な価値を上げることのできる独特な特徴の存在を確認することだ。これらの特別なディテールがこの時計をロレックスの 「標準」生産モデルの中で希少なものにするため、表記の欠落や特殊なインデックス、追加の発光ドット、またはダブルブランディング(例えば、ティファニーのために生産された時計)の表記がある場合は、その時計の価値がより高くなるので、おそらく売り手も気付いているだろうし、もし気付いていなければ、運がよかったということになる。 

Vintage Rolex Date Reference 1500

ティファニーロゴが入った、ヴィンテージ・ロレックス オイスターパーペチュアルデイト Ref.1500。 

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刻印は至るところにある
Rolex Vintage Endlinks

 ダイヤルを精査する際に気をつけるべきディテールの数は、ヴィンテージロレックスに関してどれだけ注意を払い、疑うべきかを物語っている。さて、ここで嬉しいのは、ケースやその他のコンポーネントへの刻印など、時計の他の部分に追加情報の多くを見つけることができ、何を探すべきなのかを知っているだけでいいということだ。時計がいつ製造されたのか、そのリファレンスナンバー、ブレスレットやリューズなどのパーツがオリジナルかどうか、など、知っておくべき情報のほとんどが刻印を見れば分かる。繰り返しになるが、先ほどの3つの質問を自分に尋ねよう。 

4. ラグの間を読もう

 時計のラグとラグの間を見てみると多くのことが分かる。まず、上部ラグの間、12時の位置には、時計のリファレンスナンバーが刻印されており、ほとんどの場合、その製造された時計に応じた4~6桁の数字によって表示される。例えば、エクスプローラーを見ると、リファレンスナンバーは、6610または1016である可能性が高く、Ref.14270で5桁に増え、その後、最終的には36mmの114270で6桁に達し、39mmの214270に置き換えられる。これは、リファレンスナンバーが、当初の5512や5513などの4桁から、現行の6桁のリファレンスナンバー、114060に変わったリューズガード付きのノンデイト サブマリーナーにも同じことが当てはまる。このリファレンスナンバーは、視覚的なベンチマークとしての役割を果たし、検討中のリファレンスの他の例を探すことができるため、比較する際に非常に重要となる。

Rolex GMT Master Reference 1675 Engraving

ヴィンテージ GMTマスターのケースに記載されているリファレンスナンバー。

 同様に、下部のラグの間、6時位置には、時計のシリアルナンバーが表示されており、時計がいつ製造されたかを知ることができる。これは、少なくともロレックスがランダムなシリアルナンバーを導入した2010年以前のモデルに該当する。残念ながら、ロレックスのシリアルナンバーをチェックするために一般的に利用できる決定的なデータベースはないが、1~2年の違いがあるにしても、製造時期が大まかに分かるオンラインデータベース(例えばこちらのようなもの)がある。また、シリアルナンバーがある場合には、その時計が盗難されたものでないことを確認することができる。残念なことに、統合されたデータベースはないが、オンライン検索により興味深い検索結果が得られることもある。ここでひとつ重要なことは、シリアルナンバーが "44 "で始まる場合は、交換用サービスケースだという可能性が非常に高いため、そのヴィンテージロレックスの価格が大幅に下がる可能性がある。

Rolex GMT Master Serial Number 1675

ヴィンテージロレックスのシリアルナンバー。

 これは余談だが、一部の希少なモデルの中には、リファレンスやシリアルナンバー裏蓋の外側や、オイスタークォーツではラグの下に刻印されているものもあった。

Vintage Rolex Oysterquartz Reference 17000

ヴィンテージ オイスタークォーツのラグ下に刻印されたリファレンスナンバー。

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5. ケースバックとリューズを丁寧に調べよう

 ケースバックの内側の刻印(もちろん、その刻印を見るためには、裏蓋のネジを外す必要がある)は、前のステップで収集した情報のほとんどを確認することができる。ここでは、時計のリファレンスナンバーと製造年が記載されているが、それらはケースに記載されているものと若干異なる場合がある。2つの間にわずかな違いが見られることがあるが、これはリファレンスが実質的に同じ構造であれば問題ない。例えば、裏蓋の内側に5512と刻印された、ノンデイト サブマリーナーの5513は、この時計が間違っていることを意味するものではなく、これらの2つの時計の唯一の違いは、後者がクロノメーター仕様であることに由来するものだ。同様に、製造過程で確保されていたパーツが、数ヵ月後に新しく製造されたケースに使用されされたものもあるため、日付けが完全に一致する必要はない。それでも私は、少なくとも最も売れているモデルに関しては、1年を超える差を疑わしいと考えるだろう。その理由は、よく売れるモデルは、生産終了後の在庫パーツの回転率が高いことが明らかだからだ。もちろん、裏蓋の内側に刻まれた刻印を読み取れるということは、売り手がその時計を適切に開いたことを意味し、そのような場合、ローターの形状からメインプレートやブリッジの刻印まで、ムーブメントが貴重な指標となる。

 裏蓋に関する最後のポイントは、厳密に開ける必要のないものがある。外装を確認することで、裏蓋が常に適切なロレックスの工具で開かれていたことが確認できる。適切に開かれなかった場合には、長い傷や、深い凹みなどの、無理やり開いた痕跡が残るのだ。このような不適切な試みは、見た目を損ないかねないということはさておき、実際に時計の防水性能を損なうほどケースバックを反らせてしまうことがある(そして、誰かが適切な工具を使わずにロレックスのケースを開こうという愚行を犯そうとした場合には、時計の内側と外側の双方に好ましからざる形跡を残している可能性があるため、細心の注意を払う必要がある)。

Vintage Rolex Crowns Triplelock Vs. Twinlock

上:ヴィンテージ デイトナのロレックス トリプロックリューズ、下:エクスプローラーのツインロックリューズ。

 リューズは、防水性能を保証する、もう1つの重要なコンポーネントで、これについてもしっかりと精査する必要がある。まず、ロレックスの正規部品である必要がある。ロレックスのリューズの下には、“brevet”(フランス語で特許取得済みという意味)の文字か、またはステンレススティールの時計の場合、ツインロック、もしくはトリプロックリューズのシンボルマークがそれぞれ、1本線か3つのドットで示されているはずだ。また、オリジナルのツインロックリューズが、後にトリブロックリューズに交換されていないかどうかを確認する必要がある。後者は、より強力な防水性能が保証されているが、トリプロックはツインロックより大きく、初期型のサブマリーナーのリューズガードの間にぎりぎり収まるサイズであるため、その交換が審美的な影響を及ぼす。また、ロレックスが定期的にツインロックリューズをトリブロックリューズに置き換えていたことを心に留めておいてほしい。検討しているものが何なのか、そして、その時計をどのように使うのかによっては、当初はツインロックリューズだったリューズがトリプロックリューズに変わった時計でも必ずしも問題になるわけではないのだ。非常に価値の高いヴィンテージサブマリーナーであれば、もちろんオリジナルのリューズが必要になるが、ごく普通のモデルで、適度な防水性能を求める場合には、トリプロックリューズを使っても問題にはならない。

6. ブレスレットを精査しよう

 個人的に、ブレスレットは、時計本体に付いたままならば、ヴィンテージロレックスの情報源の中でも最も過小評価されたものだと思う。ブレスレットのリファレンスナンバーは、上部のラグ近くにある最初のリンクに刻印されている。これにより、オイスター、プレジデント、またはジュビリーのうち、どの時計のブレスレットを見ているのかが分かるだけでなく、日付けや日付けコード(1950年代初期以降クラスプに刻印されている)と比較して、大まかな製造年を知ることができる。ヴィンテージのオイスターブレスレットを例に挙げると、Ref.7206には1950~1960年代のリベット構造で、20mmのラグサイズの時計に適合することが記載されており、一方で、Ref.7205は19mmのラグサイズに適合する。ここで留意すべきは、ブレスレットの一部が、C&Iマーク付きブレスレットのように、アメリカ国内で生産されたものだということだ。そのため、ブレスレットの原産地の手がかりとなり、手持ちの書類と比較することができる。さらに、各エンドリンクの外側にはリファレンスナンバーが刻印されているため、それらが実際にこのロレックスのモデルのために作られたものであることを確認することができる。その良い例として、ヴィンテージデイトナの非常に貴重なエンドリンクがあり、これらのエンドリンクは全て最後の2桁が71となっている。リファレンスナンバーの最後の数字が異なる場合は、1000ドル以上の問題を発見したことになる。

Rolex bracelet 7205

ヴィンテージロレックスのブレスレットの刻印。

Rolex clasp for bracelet 7205

クラスプに刻印された製造情報。

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最終的には大きく積み上がる些事
Vintage Rolex GMT Master 6542 Box and Papers

 前の2つのセクションでは、特定の時計の部品に集中していたが、1歩引いて時計全体と、同梱の書類を全て見ることも重要だ。そして、あなたは絶対に、確実かつ完全、あるいは、少なくとも合理的なレベルでできるだけ確実に、売り手が信用できることを確認する必要がある。正しい部品を全て揃えたものだという見方の先を見据えて、潜在的な取引の公平性とリスクをさらに評価することができる。

7. 付属の箱と書類がある場合には、これらを調べること

 箱と書類は確実な証拠になるのか? これについては、絶対に確実な証拠にならないということを即答できる。箱と書類を入手することで、時計の価値を大幅に高め、さらにはその時計の歴史をたどることを可能にする素晴らしいオプションとなる。つまり、ヴィンテージの箱や、未記入の書類は、eBayをはじめとするさまざまな場所でいつでも購入することができるため、悪徳販売者は、完全なセットを組んで簡単に儲けることができるのだ。現代の箱に収められたヴィンテージウォッチや、ケースのシリアルナンバーと、書類に記載のシリアルナンバーが一致しない場合は危険信号なので、矛盾点に気をつけよう。これらは簡単に見つけることができるが、探すためには十分な知識が必要であり、購入したいという衝動に駆られて重要なステップを飛ばさないようにすることも重要だ。また、保証書の多くは、長年にわたって手書きだったことを重視し、また、抜け目のないコレクターになるには、保証書は無意味ではないものの、それ自体は時計に相当な価値を加えるものではないということを知っておくべきだ。しかし、保証書に証明書や来歴などを裏付ける追加文書が付属している場合は、保証書の真の価値が高められるのだ。

Rolex Daytona Reference 6265

一式が完全に揃ったクロノグラフ・デイトナ Ref.6265のセット。

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8. 時計のコンディションを正確に見極めよう

 ヴィンテージウォッチを評価するうえで最も重要な3つの基準について聞かれた専門家は、「とにかくコンディション」と答えることが多い。売り手が単に時計を説明するだけでなく、おそらくまれに見るほど良いとされる保存状態で、見込み顧客を感動させようとして多くの用語を使っているということは驚くに値しない。“NOS”(ニュー・オールド・ストック)、“ミント”、“未研磨品”は、ほとんどの場合、多すぎるほどに悪用されている最も一般的な修飾語だ。時計をメンテナンスに出すと、実際には、ケースが日常的に研磨されていることを知っていれば、どこにでもある“未研磨”のロレックスのうち、相当数のものを疑うようになるだろう。事実、時計の権威の多くは、この用語を使う売り手を一蹴している。ヴィンテージロレックスフォーラムでは、実際にマーケットプレイスでの“未研磨”の使用が禁止されている。

"未研磨"という用語は、著しく乱用されており、常に疑問視するべきである。事実、この用語が大いに誤解を招き、ほぼ必ずといっていいほど立証することが不可能なため、ヴィンテージロレックスフォーラムのマーケットプレイスでの市場での使用が禁止されている。 

 時計の過去の使用状況や誤用を見極める方法の1つとして、あらゆる角度からケースを精査し、傷や研磨痕を探すというものがある。ラグ、特にベゼルとラグ穴は最も露出している部分のひとつだ。ベゼルとラグ穴の双方が両方とも綺麗でシャープな状態を維持していれば、朗報だ。さらに、厚ければ厚いほどよく、ラグの厚さを確認することが非常に役立つ。そうはいっても、ヴィンテージロレックスのケースが手作業で生産されていることを考慮すると、全てのラグが1つのケースで全く同じになるというわけではないので、ラグが若干薄くても必ずしも懸念材料にはならない。肝心なことは、どんな大げさな主張でも、それなりの数の分かりやすい写真と共に完全に記録する必要があるということだ。

Rolex GMT Master 1675

ヴィンテージ・ロレックス GMTマスターの美しいラグ。

Rolex Oysterquartz 17000

過去の研磨の痕跡が見られるオイスタークォーツのラグ。 

9. 売り手は時計自体と同じくらい重要であることを認識しよう

 そして、ここで「売り手を買え」という至る所で耳にするアドバイスが関わってくる。私はいつも、よく知らない人よりも、評判の良いディーラーや定評のあるコレクターなどの良質な情報源を好む。奇跡が起こることもあるが、評判の良いディーラーやコレクターが最適な情報をもっている可能性が高く、また、何かがあったときには彼らを支持する。誰かの評判をチェックするには、フォーラムで情報検索をしたり、以前の取引を確認したり、あるいは販売者にその身元照会先を直接求めるなど、さまざまな方法がある。そして、当然のことだが、売り手から身元照会先を受け取った場合には、実際に確認する必要がある。

  正確には分からないものの、売り手の対応から受けた印象が、最後に考慮すべき点だ。売り手と連絡を取るためにも、必ず説明や詳細情報を求めよう。1枚のInstagramの写真を見ただけで時計を買わないようにしたい。これは、上記で説明したいくつかの欠陥を隠していたり、さらにひどいことに、他の誰かが所有する時計の写真が使われたりしている場合があるからだ。提供された回答や写真の質は、その売り手と引き続き取引を進めるべきかどうかを判断する優れた指標になることが多い。何も隠すことがなければ、彼らは喜んで協力してくれるだろう。しかし、常に相手を尊重し、相手にも潜在的な取引相手が多数いることを理解し、また、彼らを大切に扱わなければ、あなたが簡単に取引相手を変えられるのと同様に、彼らも他の取引相手との取引を進めることができるのだ。


最後に

 今、この記事を読んで、あなたがヴィンテージロレックスについて偏執的になっているかもしれないが、それはいいことなのだ。残念ながら、そうしたこだわりは、オリジナルかつ、最高の状態にあるヴィンテージロレックスを探しているときには必要となる見方である。ここで提示した、ダイヤルに注目する、他のパーツから情報を引き出す、そして、取引の制約を見直す、という3つのルールは、基本的で常識ともいえるものだ。また、ロレックスに特化した解説書があれば、あなたの次のロレックス探しの強固な基盤を構成することができる。

 私はまた、この現実的なヴィンテージロレックス収集の世界に関する現実的な解説が、非常に見事な時計を鑑賞し、コレクションすることへの意欲を喪失させていないことを望んでいる。正統なヴィンテージロレックスの美しさは、非常に分かりやすいため、関連画像が、情熱を再燃させるものだと信じている。このチェックリストから、時計を買うことが大変だと思われるかもしれないが、コンディションのいい、正しいモデルを探し、所有するため費やした努力を後悔することはないだろう。

 最後に、この記事がヴィンテージロレックスを知るための一般的な入門書であるということに留意していただきたい。特定のモデルについては、その詳細をよく調べよう。追加の知識が絶対に必要であり、それは専門書籍や、HODINKEEの記事の一部、そして、より幅広い意味でのコレクターズコミュニティなどで情報を入手することができる。ハッピーハンティング! 

Vintage Rolex Daytona

ヴィンテージ・ロレックス デイトナのダイヤル上に残る完全な状態の発光ドット。