オメガは男子100m決勝のフィニッシュをいかに写真に収めたか（そして、ノア・ライルズが優勝時につけていた腕時計とは）

今回のオリンピックに関連した今週末分のWatch Spottingを準備していた私は、途中でひと休みしてピザをひと切れ食べることにした。そしてまさにその瞬間、私の食生活とはまったく対照的な世界で最も速い8人の男たちが最高のショーを披露しようとしていた。ピザ屋の店員たちはみな作業を中断し、オリンピック史上最も接戦となったゴールを一緒に見守った。ゴールタイムは9.784秒。金メダルに輝いた米国のノア・ライルズ（Noah Lyles）とジャマイカのキシェーン・トンプソン（Kishane Thompson）との差はわずか0.005秒……、5mm秒だ。人間がまばたきするのにかかる時間の10分の1秒である。驚異的だ。そしてオメガのラインスキャン（またはスリットスキャン）フォトフィニッシュカメラ、オメガ　スキャンオービジョンの写真のおかげで、この0.005秒の差がどれほど僅差かを確認することができた。

Photo courtesy Omega.

　写真が奇妙に見えるとしたら、それはオメガのテクノロジー（試行錯誤の末に生まれたものだ）によるものだ。技術は年々進化していて、デジタルカメラは垂直方向の絞りを用いてゴールラインを1ピクセル幅で（カメラで可能な限りの枚数を）連続撮影する。これは時間の一瞬を捉えた写真ではなく、空間内の位置を捉えたものだ。実際、この写真全体は1ピクセルずつ見たゴールラインを示している（オメガとオリンピックのブランドロゴはその上部で引き伸ばされている）。

　フィルムの時代にはフィルムが“スリット”の後ろを通過しながら、ランナーと同じ方向に向かって動いていた。フィルムの動きが速すぎるとゴールした選手が圧縮されたように見え、遅すぎると選手がガンビー（アメリカで制作されたクレイアニメ、もしくはそのメインキャラクター。総じて馬鹿げた仕草を指す）のように見える。今回使用されたカメラはオメガ　スキャンオービジョンアルティメイトであり、かつて使用していた1万フレームレートのスキャンオービジョンミリアからのアップグレード版で、ゴールラインにおいて最大4万フレーム/秒の画像を撮影できる。この画像の赤い線は、審判が誰の胴体が最初にラインに到達したかを判定するために使用されるものだ。今大会の1位から3位はライルズ、トンプソン、そして米国のフレッド・カーリー（Fred Kerley）の順だった。これがライルズにとって初となるオリンピック金メダルである。

レースを前に気持ちを引き締める米国のノア・ライルズ。Photo from Getty Images.

　この瞬間はオリンピックの公式タイムキーパーであるオメガにとって大きな技術的成功を示すものであっただけでなく、ノア・ライルズがスピードマスターダークサイドオブザムーンアポロ8号を着用しながら偉業を達成したという追加のボーナスもあった。これは私が予想していた時計ではなかったが、オリンピックを1週間以上見ているなかで、ライルズがこの時計をつけているシーンを何度も見かけた。あまつさえ、彼がほかのスポンサーの広告でこの時計を着用しているのもだ。

オメガ　スピードマスター “ダークサイドオブザムーン” アポロ8号

　確かにライルズはオメガのブランドアンバサダーだが、それでも選手がレース中に時計をつけていることに私はいつも驚かされる。ライルズの勝利をさらに“数字”でチェックしたいなら、オメガはこんなデータも提供している。ライルズの反応速度は0.178秒、最高速度は時速43.6km（時速27マイル）だった。時計をつけていることは、ライルズにまったく影響を与えなかったようだ。彼は今や“世界最速の男”であり、2024年パリオリンピックの金メダリストである。

金メダルを獲得したノア・ライルズ。Photo from Getty Images.

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史上まれに見る接戦となった、今回のオリンピックのゴール。0.005秒の差がどれほどのものなのか、見てみよう。

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