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昨年の秋、2023年11月5日に予定されていたOnly Watchオークションが延期されたことを報じた。これは慈善団体の財政に関する疑問が生じるなかで、著名なブランドが参加を見送ったためだ。延期の原因となった問題を受け、Only Watchは財務監査を完了し、組織の構造とガバナンスを改訂した。監査終了に続いて、Only Watchは今日、オークションが2024年5月10日にジュネーブのパレクスポセンターで、クリスティーズのハンマーのもと行われると発表をしたが、同時に16のブランドが参加しないとも発表した。しかし、この疑惑がチャリティーオークションの結果や今後にどのような影響を与えるかはまだわからない。
この慈善団体は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療法の研究を支援するために、多くの時計師&製造業者たちから寄付されたユニークピースをオークションにかけるものであり、1本の時計につき数百万ドルを集めることもある。DMDで息子を亡くしたラック・ペタヴィーノ(Luc Pettavino)氏が創設したOnly Watchオークションは、2005年のスタート以来1億ユーロ(日本円で約164億4000万円)以上を集めている。Only Watchで集められたすべての資金は、ペタヴィーノ氏が設立したモナコ筋ジストロフィー協会(Association Monégasque contre les Myopathies、通称AMM)に寄付される。一方、AMMは資金の90%をSQYセラピューティクス(SQY Therapeutics)に寄付しており、SQYセラピューティクスはAMMが3分の2出資している。この事実は、財務の透明性の欠如と不正行為の可能性について、ソーシャルメディア上で疑問を呈し、注目を集めた。オーデマ ピゲはこれらの疑問が提起された直後、静かにオークションから撤退した。その後数週間で、参加企業の数社がペタヴィーノ氏とOnly Watchを支持する声明を発表したほか、HODINKEEの取材に対し、(匿名を条件に)財務状況に対する信頼感を高める可能性のある慈善団体から回答を待っていると答えた企業もあった。
この発表と監査報告書が公開されたにもかかわらず、いくつかのブランドはオーデマ ピゲに続き、参加を撤回した。昨年秋には63本がウェブサイトに掲載されていたが、現在は47ピースしか残っていない。チューダー、ショパール、フェルディナント・ベルトゥー、ドゥ・ベトゥーン、およびビバーは、参加リストに載っていない。驚くべきことに、しばしば記録破りの価格で最高額の入札を獲得するパテック フィリップだが、業界の多くは同社がチューダー(ハンス・ウィルスドルフ財団唯一の代表であり、ロレックスは参加していない)と歩調を合わせると予想していたにもかかわらず、依然として参加している。
また匿名を条件に、一部のブランドは、この大規模なオークションを成功させるには、1カ月という予告期間が短すぎることを懸念していると述べた。Only Watchの作品のほとんどは、入札への関心を高めるために世界中でプレスツアーを行ったが、その勢いの多くは失われてしまった。しかし、あるブランドの関係者によると、パテック フィリップとLVMHブランドの参加が、延期されたオークションを成功させるために、Only Watchにもう1度挑戦してみようという彼らやほかのブランドにとっての転換点だったと語ってくれた。詳細が明らかになり次第、この記事を更新する。