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10万円はちょっとした金額だ。初めてちゃんとした腕時計を購入するときの予算であれ、コレクションを始めて25年目に使う予算であれ、腕につけるにふさわしい、しっかりとした魅力的な腕時計を手に入れることができる。HODINKEEチームの尊敬すべきメンバーたちに、10万円の時計購入費をどう使うか尋ねたところ、さまざまな選択肢を提示してくれた。古いクラシックなものから新しいブランドまで、また予算を大きく下回るものから上限を超えるものまで、10万円以下の腕時計のベストチョイスをご紹介しよう。
※翻訳に際して1000ドルではなく、切りのいい10万円とした。一部10万円を超えているものがあるが、それはご愛嬌。1000ドルは超えていないのだから大目に見て欲しい。
セイコー プロスペックス アルピニスト SBDC135(海外ではSPB209)
Instagramのフィード、@Watches.of.Espionageを運営する引退した正体不明のCIA職員は、最高の言葉を残している。「(セイコーは)何十年も過酷な場所で屈強な男たちに着用されている 」と。私は、これは真実以外の何ものでもないと思う。10万円以下の選択肢は非常に多いが、最初に買う時計がセイコーなら後悔することはないだろう。セイコー プロスペックスのダイバーズモデルを選ぶのは王道だが、私はアルピニストを真剣に検討することをおすすめしたい。ダイバーズよりも汎用性が高く、タフで、目的意識と静かなエレガンスを併せ持つこの時計は、どの価格帯でも他の追随を許さないだろう。- ジャック・フォースター(Jack Forster)
セイコー プロスペックス アルピニスト SBDC135(海外ではSPB209)、8万2500円(税込)
ティソ PRX オートマティック(ブラックダイヤル)
ブレスレット一体型のブームに乗ろう。キャンセル待ちも7桁ドルの給料も必要ない。PRXの魅力は、ディテールにある。テーパードのブレスレット、印象的な“ワッフル”ダイヤル仕上げ、そして80時間のパワーリザーブはすべて、我々がここで語る“価格以上の実力”なのだ。ティソがPRX スポーツラインのおかげでクォーツショックを乗り切ったのも納得できる。この時計は洗練されていて、正確で、堅牢(そう謳われているように)だ。8万円以上も出して買うなら、この万能で信頼性の高い時計を買うべきだろう。- トレバー・ギルランド(Trevor Gilliland)
ティソ PRX オートマティック、8万2500円(税込)
ドクサ サブ 200(ダイビングスターイエロー)
ドクサのサブ 200は、確かに価格の限界に挑戦している。より安価で200m防水の、信頼性が高くて簡単に修理できるムーブメントを搭載したものはほかにもある。だがドクサはそのどれよりも優れていることがひとつある。それは、私を笑顔にしてくれることだ。
時計はしばしばスペックシートに集約され、コレクターはまるで過去の世代が野球カードの裏を語るかのように、そのスペックシートを鵜呑みにすることがある。しかし、私が時計を好きなのは、それが理由ではない。卓越したスタイルを持つ時計を見たとき、あるいはその背後にあるクラフトマンシップや歴史に思いを馳せたとき、感情的なつながりを感じるのだ。ドクサのサブ 200はまさにそういう時計で、自分の好みに合わせて7色のカラーバリエーションが用意されている。 私は不機嫌な人でも笑顔になれるような印象的なイエローの、ブレスレットタイプのダイビングスターが気に入っている。- マーク・ハックマン(Mark Hackman)
ドクサ サブ 200(ダイビングスターイエロー)、990ドル(約11万4000円)
タイメックス Q タイメックス マーモント
最初に断っておくが、時計鑑賞のロマンチックな神話を我々のような時計にハマった人間以外に伝えるのは簡単なことではない。昨年末、私の友人が初めて自動巻きの腕時計を購入するのを手伝ったという記事を書いたが、正直言って、説明するのは難しいかもしれない。
だから、誰かが時計を探している場合、目標はできるだけ簡単に、そして楽しくあるべきだと思う。10万円以下? 3万円以下ではどうだろう(それでも決して小さな額ではないが)。私がQタイメックスの1975復刻版を選んだのには理由がある。この時計は、クォーツウォッチの簡単さと親しみやすさ(つまり、巻き上げの必要がない)、そして歴史的な文献からインスピレーションを得たヴィンテージ風のスタイリングをすべて備えているのだ。この時計の新しいオーナーは、Qタイメックスにまつわるストーリーを学び、それを友人と共有することができる。電池切れしたら? ケースバックのコイン式の蓋を回すと簡単に直る。この時計はゴールドカラーのケースを採用した、価格以上の万能な時計だ。華やかで、スポーティで、レトロで、しかも2万円ちょっとしかかからない。趣味の世界へようこそ。- ダニー・ミルトン(Danny Milton)
タイメックス Q タイメックス マーモント、 2万3100円(税込)
ハミルトン カーキ フィールド メカ 38mm
10万円以下の腕時計を検討する理由は、お金をかけずに多様なコレクションを作りたい愛好家から、初めての“いい”腕時計を購入する人まで、いくつでもある。私がハミルトンのカーキ フィールド メカを選んだのは、バリュー志向の『Three On Three』などでも何度もお墨付きを与えている万能な時計だからだ。ミリタリーデザインをルーツとする紛れもないスポーツウォッチでありながら、コンパクトなサイズと手巻きの楽しさを維持している。まず機械式時計を1本持つなら、このモデルから始めるべきだろう。適切なストラップを合わせれば、ドレスウォッチのようにもなる。ストラップの交換もドリルドラグのおかげで楽々だ。- ジョン・ビューズ(Jon Bues)
ハミルトン カーキ フィールド メカ、6万9300円(税込)
スウォッチ システム51
10万円以下の価格帯のスターターウォッチには、驚くほど多くの選択肢がある。しかし、元祖スターターウォッチであるスウォッチに勝る時計はないだろう。スウォッチはもともと、クォーツショックへの回答として考案され、スイス製機械式時計のエントリーレベルを提供することを目的としていた。現在ではリサイクルプラスチックからステンレススティールまで、さまざまな素材のシステム51を見つけることができる。そして、新進気鋭の愛好家の興味をそそるのは、90時間(!)という信じられないパワーリザーブを備えた自動巻きムーブメントが搭載されていることだ。この数字は時計の部品点数、51よりも多い。シンプルで親しみやすいスイスウォッチの入門用として、たくさんの種類のなかから選ぶことができ、(比較的)低い参入障壁で始めることができるのだ。スウォッチハウスでは、低い賭け金で高い興奮を味わうことができる。- ジョナサン・マクウォーター(Jonathan McWhorter)
スウォッチ システム51、1万8700円(税込)から
セイコー プレザージュ SRPG05J1(海外モデル)
やっぱりセイコーに限るのでは? その1本1本に、たくさんの価値がある。どの価格帯でも価値あるセイコーを見つけることは可能だと思う。しかし10万円以下に抑えるなら、シンプルでクラシックなプレザージュのライン、なかでも“スタイル60s”シリーズに絞りたい。具体的にはSRPG05J1だ。500ドルちょっとで、美しいブルーかゴージャスなグリーンダイヤルを持つ40.8mmのSSウォッチを手に入れることができるのだ。また、シースルーバックから覗くセイコーのCal.4R35を搭載し、41時間のパワーリザーブを実現している。とにかく、この時計はすばらしくてシンプルな時計なのだ。ドレスアップにもカジュアルにも最適な時計だ。- ジョー・ワイアット(Joe Wyatt)
セイコー プレザージュ SRPG05J1、525ドル(約6万円)
サーチナ DS PH200M ブラックPVD
DS PH200Mがなぜ時計界でもっと愛されないのか、私にはよくわからない。3倍から5倍の価格の時計に匹敵する機能をすべて備えながら、価格は1000ドルを切っているのだ。通常、10万円超の時計はどうかと問われれば、答えは簡単。それはセイコーだ。私のなかでは、このサーチナはセイコーに挑戦できる数少ない時計のひとつなのだ。
ハワイやユタ州でサーチナをつけて潜ったことがあるが、快適だった。セラミックベゼル、80時間のパワーリザーブ、そして正当なダイビングの伝統を手に入れられる。この時計の前身はテクタイトⅠとⅡで使われていたものだ。サーチナはヨーロッパでは価値あるブランドだが、ここアメリカではまだその足場を固めていない。21年5月にアメリカへ上陸したばかりだから、まだ時間がかかると思う。だから、皆が知る前に参入しよう。- コール・ペニントン(Cole Pennington)
サーチナ DS PH200M ブラックPVD、990ドル(約11万5000円)
スカーファ トレジャーシーカー
僕が初めて10万円以下の時計にかかわったとき、通常の選択肢(セイコーのモンスター、SKX007など)や、比較的新しいマイクロブランド、そしてオーシャン7、ベナラス、ハリオスなどの小規模ブランドの両方で経験を積むということに大きな喜びを感じた。過去10年ほどのあいだに、マイクロブランドシーンはより快適な成熟度に達し、検討すべき非常に多くのすばらしいオプションが存在している。もしあなたが美しく、信頼性が高く、スペックの高いダイバーズウォッチをお探しなら、競争は激しいがスカーファのトレジャーシーカーを検討してはどうだろう。
約500ドル(368ポンド、付加価値税抜き)で、トレジャーシーカーはケース径41mm、300m防水、3時位置に日付の入ったミヨタのCal.9015を搭載。サファイアクリスタル風防、夜光セラミックベゼルインサート、マイクロアジャスト付き押しボタン式折り返しクラスプのSSブレスレット(ラバーストラップも)を備える。さらに、ラグからラグまでは49mm、厚さは12.6mm、ラグの幅は20mmだ。6色のなかから好みの色を選ぶことができる。オメガのシーマスターやIWCの歴代アクアタイマーなどの要素を取り入れたモダンなスタイルのトレジャーシーカーは、クローンやオマージュなしにすばらしい外観を実現している。スカーファブランドは、便利で美しいデザインのダイビングウォッチを愛する、イギリス在住の商業ダイバーの情熱で誕生したプロジェクトだ。これ以上のものは望めないし、予算的には2本買ってもいいくらいだ。- ジェームズ・ステイシー(James Stacey)
スカーファ トレジャーシーカー、495ドル(約5万7000円)
カシオ エディフィス EFRS107D-1AV
カシオのエディフィスといえば、素人には必要のない機能ばかりを搭載した重厚なクロノグラフというイメージがあった。EFRS107D-1AVに出合うまで、少なくとも私はそう思っていた。そんな私の先入観を覆すシンプルな3針デイト表示で、厚さ8.3mm、直径は40mm。縦方向の繊細なサテン仕上げに、ティールカラーのアクセントが生き生きした遊び心を添えている。カシオらしく、120ドルという価格をはるかに上回るフィット感と仕上がり。もちろん、内部にはクォーツムーブメントが搭載されているが、これだけの時計であれば気にならない。EFRS107D-1AVを購入してから2年、私が最もよく身につける時計のひとつになった。朝、何をつけようか迷っているときに、ついつい手が伸びてしまうのだ。- ローガン ベイカー(Logan Baker)
カシオ エディフィス EFRS107D-1AV、120ドル(約1万4000円)
オリエントスター モダンスケルトン
本当はブローバのアーカイブスシリーズ “ミルシップ”を紹介しようか、迷っていたことを告白しよう。とても気になっているが、この時計は実物を見ていないのだ。さすがに見てもいないものをおすすめはできない。一方、オリエントスターのモダンスケルトンは実物を見てよかったもの、そして何より自分でも欲しいと思った時計だ。これは自信を持っておすすめすることができる。
この時計はブランド誕生70周年を記念した限定モデルで、“星雲”をモチーフに宇宙の広がりと揺らめきを表現したダイヤルが特徴だ。トーンを微妙に変えたパーツを重ねて明るいグリーンから濃いめのグリーンへ変わるダイヤルに、ラメ加工を施すことで宇宙空間に浮かぶ無数の星を表現している。おすすめのポイントのひとつはもちろんこのダイヤルだが、魅力はそこだけではない。ゴールドカラーでまとめた12時位置のローマ数字インデックスやオリエントスターのロゴマーク、さらに時・分針とスモールセコンド秒針。磨き上げられたファセット面と筋目仕上げを施したアプライドインデックス。ディテールの仕上げレベルが抜群にいいのだ。ねじ込み式リューズではないが、10気圧防水を確保しており、日常的につけるのにも安心感のある数字を実現している。ぜひ、実物を手に取ってじっくり見て欲しい。「これが10万円以下なの?」と驚くはずだ。- 佐藤杏輔
オリエントスター モダンスケルトン、9万5700円(税込)
バルチック HMS(エイチエムエス)
近年、小規模な独立系時計メーカー、いわゆるマイクロブランドの勢いが増しています。手ごろな価格でマニアックな時計を手に入れることができるのが魅力で、僕もいくつか手に入れました。個人的に気に入っているのが、2017年にフランスで創業したバルチック。創業者のエティエンヌ・マレク氏は、ヴィンテージウォッチコレクターの父から受け継いだ時計コレクションにインスピレーションを受けたヴィンテージスタイルの時計をラインナップしています。バルチックのなかでもおすすめしたいのが、シンプルな3針モデルのHMS(エイチエムエス)。SSケースは直径39mm、厚さ12mmというサイズで、快適なつけ心地。時計愛好家にもファンが多いセクターダイヤルを備えています。質感はメタリックで、アワーマーカーと文字盤中央部には質感の異なる仕上げを施していて、コントラストの効いた時分針のブルーのアクセントが光ります。内部に搭載するのは、ミヨタの自動巻きCal.821A。特別なムーブメントというわけではありませんが、そのぶん価格はとても魅力的です。すばらしいデザインとつけ心地をもったヴィンテージスタイルを探している方は、一見の価値ありですよ。ダニーの「バルチック HMSとバイコンパックスを実機レビュー」記事もぜひチェックしてみてください。 - 和田将治
バルチック HMS、5万5440円(税込)
セイコー プロスペックス スピードタイマー SBDL085
小ぶりなサイズのクロノグラフモデルで、パンダダイヤルでありベゼルはブラック。現代におけるクロノグラフの必勝パターンとも言えるこのデザインを、10万円アンダーで楽しめるのはそれだけで救いだ。ご存知のように機械式クロノグラフを自社で製造するメーカーは数少なく、そのサイズは40mmを超えるものがほとん。セイコーはもちろんその製造技術を持つ稀有なブランドのひとつだが、“小ぶりクロノグラフ”というスイートスポットにあえてクォーツ(ソーラークロノグラフ)を投下する作戦に出たのだ。その結果、この時計は多くの人を揺さぶるデザインをつけやすい39mmサイズで実現しただけでなく、手にすることまで容易にしてしまった。世界広しと言えど、こんな芸当ができるのはセイコーだけだろう。しかも、実は同社が1969年に製造したクロノグラフであるスピードタイマーにルーツを持つという、由緒あるストーリーまで備えた時計となっているのだから。 -
- 関口 優
セイコー プロスペックス スピードタイマー SBDL085、7万4800円(税込)