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クイック解説
誰もが知っているストーリー:自動巻きクロノグラフが市場に現れたのは1969年のことだ。セイコーは、この全く新しい分野に自社製品を送り出した数多あるマニュファクチュールの一つで、その製品はキャリバー6139と6138だった。キャリバー6139に用いられた技術は疑いなく見事なものだったが、さらに特筆すべきは、セイコーが最初のクロノグラフ腕時計を発表したのはそれからたった5年前の1964年であったということである。1964年のクラウンクロノグラフは、初めての日本製クロノグラフ腕時計でもあった。今日のセイコーは、以下の2つのモデルによってこの二つの出来事を祝っている。1つはプロスペックスの、もう1つはプレザージュのラインに属するものである。
SARK015はセイコー初のクロノグラフ発表から、55周年の記念すべきときを祝うものである。一方SBEC005は、セイコー初の自動巻きクロノグラフに敬意を払うものとして作られた。両モデル共に、セイコー最新の自動巻きクロノグラフムーブメントであるキャリバー8R48が採用されている。外観における主要な変化は、スモールセコンドを含む3つのレジスターの導入だ。さらに、両モデルとも1000個限定の製造となっている。
ファースト・インプレッション
今年発表されたSBDX031は、 「ウィラード」として知られるモデルの復刻品であり、往年の名品にインスパイアされたセイコーが、オリジナルを忠実に再現したものだった。
その一方で、これら50周年と55周年を記念する時計は、過去の名品を自由に再解釈したものである。オリジナルのクラウンクロノはモノプッシャークロノグラフで、キャリバー6139は2レジスターの通称「パンダ」として知られる文字盤を特徴としていた。この両記念モデルはキャリバー8R48(2014年開発)を採用していることから、3レジスターを搭載している。最高級のムーブメントもさることながら、ケース全体には「スーパーハードコーティング」が、ラグにはグランドセイコーからもたらされた恵みともいえるザラツ研磨が施されている。
過去のセイコー製品たちに敬意を払うかのように、この二つの時計には反射防止コーティングがされたサファイアボックスクリスタルが取り付けられている。60年代の遺産である小ざっぱりとした意匠もすべて引き継がれ、そういった意味では、3レジスターという外見上の大きな変化にもかかわらず、オリジナル精神の多くが未だそこに残されているといえるだろう。
ここのところセイコーの内部では、自社の過去の名品を取り上げ、ザラツ研磨といった優れた技術に加えティ可能な限り最高品質のムーブメントを取り付ける、といった現代において最良の加工を施し、数量を限定して発売するというトレンドが続いているようだが、この製品もその一環としてみることができるだろう。
この時計について私が最も興味深く感じるのは、それがセイコーの歴史に限らず、現代におけるスポーツウォッチの歴史においても記念すべき一本である、という一瞥を加えているのが見て取れることである。セイコーは誰が最初に自動巻きクロノグラフのゴールラインを跨いだのか、といったようなつまらない議論には興味がないように見える。彼らは大規模なマーケティングキャンペーンを行うこともないし、貴重な金属で作った別バージョンを売るということもしない(私たちセイコーのファンにとっては、ステンレススティールは貴重なものであるが)、そして実際の製品も他のセイコーの時計と同じく、至って慎ましやかなものである。
キャリバー6139は69年に業界を一新したが、その後すぐに発表されることになる6139-6002といった重要な時計のために道を拓くという役割も果たした。6139-6002はウィリアム・ポーグが1973年のスカイラブ4号のミッションで装着したことでも有名で、初めて宇宙で使用された自動巻きクロノグラフであると広く信じられている。これもセイコーが控えめに一番を獲得した一例である。あと数年もすればこの歴史的出来事の50周年がやってくるが、その際もきっとセイコーは、私たちのために何かを用意してくれていることだろう。
基本情報
ブランド:セイコー(Seiko)
モデル:<セイコー プロスペックス>セイコー自動巻きクロノグラフ 50周年記念限定モデル(SBEC005); <セイコー プレザージュ>セイコークロノグラフ55周年記念限定品(SARK015)
型番:SBEC005/SARK015
直径:41.0mm (SBEC005); 42.3mm (SARK015)
厚み:16.0mm (SBEC005); 15.3mm (SARK015)
ケース素材:ステンレススティール
防水性:100m
ストラップ/ブレスレット:ステンレススティールケースとスーパーハードコーティングされたブレスレット (SBEC005); スーパーハードコーティングされたステンレススティールケースとコードバンストラップ (SARK015)
ムーブメント
キャリバー:キャリバー 8R48
機能:時、分、秒、日付、クロノグラフ(12時間まで)
パワーリザーブ:45時間
巻き上げ方式:自動巻き
振動数:4Hz (2万8800 振動/時)
石:34
その他詳細:コラムホイール式、垂直クラッチ方式
価格・発売時期
価格:38万円(SBEC005) / 35万円(SARK015)
発売時期:2019年12月
限定品:各1000個限定
さらなる詳細は、 セイコーウォッチ公式サイトへ。
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