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機械式時計と、その精密工学の結晶ともいえる魅力こそがHODINKEEの存在意義であり、私が時計学について書くようになったきっかけでもある。しかしときには、そこから完全に離れてみたくなる気分のときもあり、楽しく、タフで驚くほど軽やかなものを求めるときがあるのだ。デジタルウォッチは選択肢の多様さにおいては独自の世界があり、いまやデジタルウォッチはカシオだけでは語れない存在へと進化している。子どものころの懐かしい感覚を追い求めている人や、あるいは私のように子どものF-91Wを“ちょっと拝借”してサイクリングに出かけるような人に、デジタルウォッチは手ごろな定番モデルからより洗練されたモデルまで、シンプルなものがいかに至高であるかを思い出させてくれる。そんな魅力的なデジタルウォッチをご紹介しよう。
タイメックス アイアンマン オリジナル 30
レトロな信頼感に満ちたフィットネスウォッチ、タイメックス アイアンマンシリーズは、今日のガーミンやポラールといったフィットネス界の巨頭たちよりも数十年前から存在する。かつてはビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領のスーツの袖口から顔をのぞかせたことでも知られているが、このアイアンマンはスーツスタイルに合わせるタイプの時計ではない。むしろチャック・ノリス(Chuck Norris)氏やネイビーシールズの手首にこそふさわしい、語れる“背景”を持った実用性の高いツールウォッチである。100ドル(日本円で約1万5000円)以下という価格ながら、その価値はきわめて素晴らしい。過酷な使用にも耐える耐衝撃性のあるレジン製で、200mの防水性能を備え、暗所でも抜群の視認性を確保するタイメックス独自のインディグロナイトライトを搭載する。42mmのケースはしっかりとした存在感を持ちつつも大きすぎず、レジンストラップは汗や水にも強く、どんなシーンでも気兼ねなく使える。
レジンストラップ仕様で価格は93ドル(日本円で約1万4000円)。詳細はこちらから。
カシオ パックマン CA-53WPC-1BJR
40代以上の誰もが1度はカシオの時計を手にしたことがあるだろう。同ブランドはいまもなお、楽しくてタフなモデル、そして時にレトロでドレッシーな常に新しいデジタルウォッチを提案し続けている。ビル・ゲイツの手首にも見られた1万1000円(税込)で手に入るダイバーズウォッチ、デューロ(Duro) のようなアナログなものもあるが、カシオの持つ日本らしさを最も堪能できるのはやはりLCDスクリーンに映し出されたデジタル表示にあるだろう。このパックマンエディションは1980年代に登場した、細い指でしか操作できないほど小さな電卓付きのデジタルウォッチをベースにしたものであり、その画面の小ささゆえに視認性は決して高くないかもしれない。しかしそのぶん、そこには余りある楽しさが詰まっているのだ。鮮やかなイエローのレジンケースはまさにゲームセンターにあったパックマンの筐体を思わせ(気になる人はググってみて欲しい)、電卓部分はゲーム内の迷路を模したようなデザインであり、画面下部ではパックマンがゴーストを追いかける姿も見られる。幅34.4mmというサイズと、わずか25gという軽さによって装着感はきわめて快適。スーツに合わせて着けてみるという冒険もぜひ楽しんで欲しい。
レジンストラップ仕様で価格は8800円(税込)。詳細はこちらから。
アウトドローモ グループC
これまでもHODINKEEで取り上げてきた米国発のマイクロブランド、アウトドローモは、1980年代の鮮やかなデザインとモータースポーツへの情熱を貫く、デザイン志向のブランドである。グループCシリーズは外観以上に堅牢なつくりで、36mmという絶妙なサイズ感のスティール(SS)製ケースに価格に見合った確かなスペックを備えている。ストラップにはスムース面とストライプ面を使い分けられるリバーシブル仕様のFKMラバーを採用。液晶モジュールはELバックライト付きで、我々がよく知るデジタルウォッチの多くとは一線を画し、サファイアクリスタルでしっかりと保護されている。サテン仕上げが施されたダークグレーのケースは、ル・マンやセブリングを猛スピードで周回していたグループCレーサーたちの圧倒的なスピード感と造形から着想を得ており、そこにあしらわれた鮮やかな蛍光グリーンのディテールが1980年代のデザイン言語を深く掘り下げている。スプリットタイム機能付きのクロノグラフと、実用的なデイデイト表示を備えた本作は日常使いにぴったりの1本だ。夏にはネオングリーンのスウェットバンドと合わせて楽しむのも粋な選択だろう。
リバーシブルFKMラバーストラップ仕様で価格は399ドル(日本円で約6万円)。詳細はこちらから。
タイメックス Q TIMEX Q80 コンチネンタル
デジタルウォッチがすべて派手なカラーリングや遊び心満載で、スポーツ計時機能を備えているだけとは限らない。Q TIMEX Q80 コンチネンタルはそうした印象とは一線を画す、より洗練されたデジクールな解釈を体現している。これは短命に終わったティソ PRX デジタルの路線を引き継ぐ存在であり、角張ったクッションケースに、堂々たるゴールドトーンのドレッシーな外観を持つ。直径39mm、厚さ9.5mmというスリムな設計ながら、スプリットセコンド機能付きの多機能クォーツムーブメントを搭載し、しっかりとしたデプロイヤントクラスプや、夜間に映えるインディグロナイトライトも備えている。さらに注目したいのが、正真正銘のインテグレーテッドブレスレットを採用している点だ。いまなお人気の高いこのジャンルへの、ほどよくレトロなエントリーモデルとして、200ドル以下で手に入るのだからこれはかなり魅力的である。
ゴールドトーン仕上げのSS製ブレスレットにディプロイアントクラスプを備えたこのモデルの価格は2万6400円(税込)。詳細はこちらから。
G-SHOCK GMW-B5000D-3JF
数年前、カシオは300ドル超の価格帯という新たな領域に、定評あるG-SHOCKをより重厚に仕上げたSS製モデルで参入した。そのフルメタル仕様の5000シリーズはたちまち大ヒット。昨今、小振りな時計がトレンドになっているとはいえ、このSS製G-SHOCKの42.3mmというサイズは見事な存在感を放つが、簡単に使えるワールドタイマー機能に加え、カシオ独自のマルチバンド6とBluetooth®通信機能を備える安心感によって、本シリーズは、私を含めた多くの人にとって気軽に身につけられる優れたトラベルウォッチといえよう。さらに、タフソーラーによって通常使用時において約10年のバッテリー寿命を実現しており、高精度を維持しつつメンテナンス不要というのも大きな魅力だ。筋金入りのG-SHOCKファンであれば、軽量なチタン製モデルへの投資を検討するのもひとつの手だろう。とはいえ我々としてはレンガを積み上げたようなクラシックな模様があしらわれた液晶ディスプレイを、鮮やかなグリーンフレームで囲んだこの新モデルをおすすめしたい。ブレスレットは最初こそやや緩めでヴィンテージ感のある装着感かもしれないが、実際にはきわめて堅牢なつくりで、本モデルを確かな伝統を背負った優れたスポーツウォッチにしている。
SS製ブレスレット仕様で価格は8万4700円(税込)。詳細はこちらから。
RZE UTD-8000-MY
この夏、人気マイクロブランドのRZEが発表したUTD-8000-MYには驚かされた。RZEはこれまで、基本的には500ドル(日本円で約7万5000円)以下という価格帯で、レトロ感を排した現代的な雰囲気を放ちクリーンな直線を持つスポーツウォッチを展開しているブランドとして知られてきた。だが、デジタルウォッチには手を出してこなかったのだ。そんななか登場したこのUTD-8000-MYは、Bluetoothやソーラー充電といった機能こそ搭載していないものの、面取りされたビーズブラスト仕上げのチタンケースに、大きな数字の印象的なデジタル表示を備えている。さらに特筆すべきは、ARコーティングを施したサファイア風防を採用している点だ。私が見てきたなかでも、デジタルウォッチでは初めての試みであり、300ドル(日本円で約4万5000円)以下の価格でこれは驚異的といえるだろう。このカスタムされたデジタルモジュールは、極端な温度環境下での動作テストをクリアしており、さらに200m防水を備えている。ここで紹介している新色のイエローバージョンはアップルウォッチのような快適なベルクロストラップが付属しており、チタンケースの上側ラグに固定され、時計の下を通らずに折り返す構造により厚みが抑えられている。軽量で快適な着け心地のストラップではあるが、追加で180ドル(日本円で約2万7000円)を支払えばフルチタン製ブレスレットにアップグレードできる。もちろんそれによって価格はほぼ倍になるが、チタン製G-SHOCKという競合モデルと比べれば依然としてかなり手ごろであろう。
柔らかなイエローのファブリックストラップ仕様の価格は3万9900円(税込)。詳細はこちらから。
ファー&スウィット ミックステープ Vol.2
今回のセレクションの締めくくりはイリノイ州発のブランド、ファー&スウィットによる、1980年代カルチャーへの深いオマージュを込めた1本だ。しかもその価格はカシオの定番F-91Wシリーズを凌ぐ手ごろさである。同シリーズ同様に34mmの使いやすく魅力的なサイズ感であるにも関わらず、50ドル(日本円で約7500円)以下で手に入る。果たしてこれは本当に時計なのか? 視認性の面でも、カセットテープを思わせるデザインで縁取られたデジタルモジュールはとてもさわやかだ。また、フェスのリストバンドのように軽やかな装着感の裏には多彩な機能が隠されており、3つのシンプルなボタンで直感的に操作できる点も魅力的。本作はアラーム機能、日付表示、タイマー機能などを搭載しているが、巻き戻し、再生、録音、停止という儀式を覚えている誰かにとっては、この時計の真髄はかつて誰もが体験した、お気に入りの曲を大切な誰かのためにカセットテープに録音するという儀式にあろう。そんな失われつつあるアートの記憶を、手首を見るたびに呼び起こしてくれる。本作は鮮やかなカラーリングに包まれた、装着感がよく、ありがたいことに接続機能のないアナログな腕時計である。
レジンストラップ仕様で価格は34.99ドル(日本円で約5200円)。詳細はこちらから。
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