※本記事は2022年4月に執筆された本国版の翻訳です 。
私がジミー・O・ヤンのことを知ったのは、ドラマ“シリコンバレー”で彼が演じた、時に威嚇的で常にシーンを賑わす無表情なキャラクター、チアン・ヤン役がきっかけだった(このHBOのコメディドラマは必見だ)。その後、香港出身のこの俳優にしてコメディアン、作家は、映画(『クレイジー・リッチ!』)、Amazonのスタンダップスペシャル(『人生はお買い得』)、スティーブ・カレルとジョン・マルコヴィッチ共演のシットコム(『スペース・フォース』)、そして最近ではホリデーシーズンのロマンスコメディ映画『ラブ・ハード』で主演を務めた。
ジミー・O・ヤンは根っからの時計好きで、それは彼のコレクションからも一目瞭然だ。赤と青のベゼルが特徴的なGMTマスター “ペプシ”は、スタンダップパフォーマンス中に身につけるお気に入りの時計だそうで、『ラブ・ハード』ではマッチングアプリを駆使しながらなりすましをして相手を探すキャラクター、ジョシュ・リン用に、自ら選んだG-SHOCKを愛用している。
しかし、多くの時計コレクターが確固たる事実やリファレンスナンバーを蓄積することを趣味としているのに対して、ヤンはそのすべてを大らかに捉えているようだ。彼は時計を楽しんでいる。2本のヴィンテージロレックス(もう1本はティファニーのWネームの入ったデイトジャスト)であろうと、スタンダップパフォーマンスでテレビ初出演時に百貨店で買ったパネライ風のマーク・ジェイコブスであろうと、彼は自分の好みに忠実なのだ。確かに、最近手に入れたもののなかには、以前のものよりも値が張るものもあるが、このコレクションから気取っている感じはしない。
ヤンのコレクションは真摯で、多くの読者が共感するだろう。私もそう感じた。ただひとつ違うのは、我々の多くが初めて手にした時計を手放してしまっているのに対し、ヤンは香港で過ごした幼少期に観たアニメ『ドラゴンボールZ』のグッズなど、大切に保管していることだ。時計談義と笑い話にあふれたジミー・O・ヤンとのTalking Wathesをお届けしよう。
ドラゴンボールZウォッチ
ヤンの幼少期のドラゴンボールZウォッチ。ここからすべてが始まる。思い出のトランクからアニメにインスパイアされた腕時計を見つけたあと、アルコールティッシュで少しきれいにしようとしたところ、思わずストラップの表面が剥離してしまったという。ドラゴンボールZはヤンが幼少期に大好きだったアニメのひとつだ。彼はその腕時計を修理して、再び身につけるつもりだ。
マーク・ジェイコブスウォッチ
ヤンが大人になって初めて買った時計である。アーセニオ・ホールの番組で初めてテレビ出演することになったヤンは、新しい服を買いにノードストローム(米百貨店)へ向かった。派手なデザイナーズジーンズを選んだあと、店の宝石・香水コーナーにあった手ごろな値段の、パネライ風マーク・ジェイコブスウォッチが目に留まった。彼はその外観にひと目惚れし、その場で200ドルを支払った。番組出演から間もなくして電池が切れ、電池を交換しても時計は動かなかった。ヤンはレシートを手に再びノードストロームへ行き、新品と交換したそうだ。
ロレックス GMTマスター Ref.1675 “ペプシ”
この時計に見覚えがある読者は、Amazonの特番『人生はお買い得』でヤンの腕に光っていたのを覚えているかもしれない。ヤンのGMTマスター Ref.1675は彼のお気に入りの時計であり、本格的なヴィンテージコレクションの世界に足を踏み入れたきっかけの時計でもある。映画『クレイジー・リッチ!』の原作者であるケビン・クワンと親交を結ぶまでは、時計にはあまり興味がなかったとヤンは告白した。ヤンは、現行モデルのGMTマスターIIに比べて、ヴィンテージGMTマスターのバルキー(※大きくてかさばること)でないサイズ感が気に入っている。カラフルなベゼルインサートも遊び心にあふれ、シリアス過ぎない。この時計は、彼の腕に着用されているのを見た人たちから最も大きな反応を得る時計だ。
コンビのロレックス デイトジャスト ティファニーダイヤル
ヤンが次に手に入れたのは、ジュビリーブレスレットとティファニーダイヤルのコンビのデイトジャストである。ロサンゼルスのヴィンテージウォッチ専門店“Wanna Buy A Watch?”で試着したところ、ブレスレットのサイズを変更することなく、完璧にフィットしたという。DJはGMTマスターほど頻繁には着用しないが、ヤンはベージュの服に合わせたときのクリーンな印象が気に入っているという。もちろん、ダイヤルのティファニーの刻印が、このデイトジャストを際立たせている。
カシオ G-SHOCK GA900-1A3
ヤンは、Netflixのロマンス・コメディ『ラブ・ハード』でジョシュ・リンを演じるために、このアナデジG-SHOCKを選んだ。ヤンが香港で育った子どもの頃、本物のG-SHOCKが欲しいと思っていたのだが、ある夜彼はひらめいた。ヤン演じるジョシュがG-SHOCKをつけていたら最高じゃないか? と、小道具係と衣装デザイナーにメールを送ると、彼らはそのアイデアに大賛成してくれたという。ヤンは、この時計のすべての機能の使い方は知らないし、タイマーはここ2年くらい動いていたかもしれないと認めている。
セイコー5 ローイングブレザーズのコラボモデル
HODINKEEの友人であり、Reference Pointsの協力者であり、当サイトの元寄稿者でもあるエリック・ウィンド氏が携わったスタイリッシュなセイコーのモデル。セイコーとローイングブレザーズとのコラボレーションモデルで、セイコー5のカプセルコレクションがヒットしたあと、ウィンド氏はカナダでスペース・フォースの撮影をしていたヤンに、セイコー5が欲しいかと尋ねた。ヤンはエリックに、仲間のキャストたちに時計を提供できないかと頼んだところ、彼もそれに応え、さまざまなバリエーションの時計を送ってくれたという。ミントグリーンのストラップにチェッカーフラッグベゼルを備えたこのバージョンは、カジュアルな夏の日のために作られた。
オメガ スピードマスター38、スティーブ・カレルからの贈り物
そしてこちらは、スティーブ・カレルがヤンと『スペース・フォース』のキャスト一同に贈ったオメガ スピードマスター38である。ヤンはこの時計の美しさとエレガントさをタキシードに例えている。裏蓋には “For J.O Love S.C.”と刻印されている。番組のタイトルを考えると、このスピードマスターは最も適切で思慮深い贈り物であり、ヤンが大切にしている時計である。
Video editing: Will Holloway
Videography: Greyson Korhonen