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Introducing IWC ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・プロセット―前後方向に調整可能な小径のパーペチュアルカレンダーを初搭載(編集部撮り下ろし)

クルト・クラウス氏によるオリジナル設計をベースに、この新世代ムーブメントではリューズ操作でカレンダーを前後どちらにも調整できるようになった。

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Photos by TanTan Wang


我々が知っていること

IWCの新しいパーペチュアル・カレンダー・プロセットは、コレクターがまさに求めていたモデルかもしれない。まず、これまでのような直径46.5mmという巨大サイズではないビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダーが登場した点が挙げられる。Watches & Wondersで発表された3つの新作は、いずれも数mmサイズダウンされている。そして何より重要なのは、自社製のリューズで操作できるパーペチュアルカレンダームーブメントの新世代が搭載されたことだ。これが新たにプロセットと名付けられている。

IWC ProSet Perpetual Steel Layflat
IWC ProSet Perpetual Case Side
IWC ProSet Perpetual Clasp

 まずムーブメントを見ていく前に、ケースとダイヤルについて触れておこう。今回のプロセットシリーズには3つのモデルがある。今年は、IWCと“星の王子さま(プティ・プランス)”との関係において重要な年であるため、2モデルには深みのあるブルーダイヤルが採用されている。42mmのステンレススティール(SS)製モデルはクラシックなIWCらしさを体現し、5連ブレスレットが組み合わされる。一方で43mmのモデルは、ホワイトセラミック製のケースを採用し、よりカジュアルでモダンな印象だ。このスタイルが好みでない場合には、42mmのローズゴールド(RG)製のケースにグリーンダイヤルを組み合わせたモデルも用意されている。

 ではプロセットに話を戻そう。これは1980年代にクルト・クラウス氏が設計した伝説的な機構を大きく進化させたものだ。クラウス氏の設計は外部プッシャーを不要とし、すべてをリューズで操作できる点はとても優れていたが、大きな欠点もあった。それは“オーバーセット”の問題だ。彼のムーブメントは日付を前方向にしか進められないため、誤って進めすぎた場合、実際の日付が追いつくまで時計を止めるか、IWCに時計を送って手動で修正してもらう必要があった。

 しかし本作のプロセットでは、リューズによってパーペチュアルカレンダーを前後両方向に調整できるようになった。これによりオーバーセットの心配はなくなり、快適な操作が可能となる。もちろん、双方向で調整可能なパーペチュアルカレンダーは初めて登場したものではなく、その先例は1990年代にルートヴィヒ・エクスリン博士がユリス・ナルダンのために開発したキャリバーにさかのぼる。しかしブランドにとっては大きな前進であり、従来の唯一の欠点を事実上解消したと言える。さらに防水性能も100mへと向上している。

IWC ProSet Perpetual Gold Caseback
IWC ProSet Perpetual Le Petit Prince Medallion
IWC ProSet Perpetual Ceramic Wristshot

 新しいプロセットのキャリバーは、12時位置のダブルムーンフェイズと7時から8時のあいだに配置された4桁の年表示という、ブランドを象徴するレイアウトをキープ。ただしパワーリザーブインジケーターは省かれ、この小型モデルはより標準的な60時間のパワーリザーブを備えている。一方で内部構造は完全に刷新され、従来のプログラムディスクに依存する方式ではなく、完全に歯車ベースの構造となり、双方向での動作を可能にしている。

 またこのキャリバーには、ブランドが伸縮式の“フィンガー”と呼ぶ機構も採用されおり、月の長さやうるう年といった情報を搭載した多層構造のホイールと連動することで、パーペチュアルカレンダーの各表示を切り替える役割を果たしている。これらの層は各月末やうるう年の周期が切り替わるタイミングで、伸縮式フィンガーを作動させる。こうしたホイールや歯車は、その複雑さゆえにLIGAプロセス(Lithographie, Galvanoformung, Abformungのドイツ語頭文字)によって製造され、キャリバー内でより複雑な形状を実現している。これらすべては、シリコン製ヒゲゼンマイとニッケル・リン製脱進機によって現代化された、IWCの自社製ムーブメント Cal.82665の一部だ。

IWC ProSet Perpetual Gold Layflat

 IWCの新しいビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・プロセットの価格は、ブレスレット仕様のSS製モデルが570万6800円、セラミック製モデルが631万4000円、RG製モデルが819万7200円(すべて税込)だ。


我々の考え

これは間違いなくIWCにとって素晴らしい進化だ。サイズダウンされたパーペチュアルカレンダーでありながら、前後調整が可能で、防水性能も100mを確保している。まさにいいとこ取りと言える。もちろん42mmでも依然として大きめではあるが、ビッグ・パイロットである以上それは当然だろう。今後注目すべきは、本作に搭載されているキャリバーと従来ムーブメントをカタログ内でどのように共存させていくかだ。全モデルを新キャリバーへ更新していくのか、興味深く見守りたいが、それが簡単でないことも確かだ。実際、今回のWatches & Wondersでも従来の大型キャリバーを搭載した新作パーペチュアルカレンダーが発表されている。

 価格設定もきわめて妥当だと感じる。新しい小型ケースと改良されたキャリバーを備えながら、従来の46.2mmのSS製モデルよりわずか2000ドル(日本円で約30万円)強の上昇にとどまり、さらに今回はブレスレットも追加されている。ホワイトセラミック製モデルに至っては旧大型モデルより安価であり、使用する素材の量が少ないという理由はあるにせよ、新キャリバーを考えれば嬉しいサプライズだ。評価すべき点は評価すべきであり、IWCのこの判断は歓迎できる。

IWC ProSet Perpetual Gold Wristshot
IWC ProSet Perpetual Blue Macro
IWC ProSet Perpetual Ceramic Sideshot

 総じて言えば、いまはユーザーフレンドリーなパーペチュアルカレンダーの黄金時代にあると言える。昨年のオーデマ ピゲによるリューズで操作できるパーペチュアルカレンダーの発表に続き、H.モーザーやオックス・ウント・ユニオール(Ochs und Junior)といったブランドもリバーシブル機構を展開している。複雑機構でありながら安心して扱える選択肢が増えているのだ。そのなかでビッグ・パイロットは、いまなお唯一無二の美学を持つ存在であり、このスタイルでパーペチュアルカレンダーを求めるなら、ほかに代わるものはないだろう。


基本情報

ブランド: IWC
モデル名: ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・プロセット(Big Pilot's Perpetual Calendar ProSet)
型番: IW329601(SS製のプティ・プランス)、IW339601(セラミック製のプティ・プランス)、IW329602(RG製)

直径: 42mm(SS製とRG製)、43mm(セラミック製)
厚さ: 14mm(SS製とRG製)、14.3mm(セラミック製)
ケース素材: スティール、ローズゴールド、セラミック
文字盤色: ブルー(プティ・プランス)、グリーン(RG製)
インデックス: アプライド
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: SS製モデルにはブレスレット、そのほかにはストラップが付属


ムーブメント情報

キャリバー: 82665
機能: 時・分表示、センターセコンド、日付表示、曜日、月、ムーンフェイズ付きのパーペチュアルカレンダー
パワーリザーブ: 60時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 34
クロノメーター認定: なし
追加情報: リューズのひとつのポジションだけで前方向にも後方向にも調整できる、初のムーンフェイズ付き永久カレンダー


価格&発売時期

価格: 570万6800円(SS製)、631万4000円(セラミック製)、819万7200円(RG製/すべて税込)
発売時期: 発売中
限定: なし

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