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Hands-On オーデマ ピゲ ロイヤル オーク オフショア 43mm、自社製Cal.4404を搭載した2021年新作をレビュー

ビーストの異名を持つロイヤル オーク オフショアに、初めてオーデマ ピゲによる心臓部が与えられた。

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ロイヤル オーク オフショアは、1993年に登場して以来、賛否両論を巻き起こしてきた時計だ。オリジナルのロイヤル オークをデザインしたジェラルド・ジェンタは、このモデルを嫌ったと記録されているが、オフショアは常に好みが分かれるモデルである。その大きさ、重さ、そしてジェンタのオリジナルデザインに対するアグレッシブな姿勢は、ロイヤル オークを見事に再現しているようにも、パロディに近いようにも見えた。しかし、オフショアは長年にわたってオーデマ ピゲのコレクションの柱であり続けているだけでなく、デザイン、素材、複雑機構などの実験を行うための非常に汎用性の高いプラットフォームでもあり続けている。

 高級時計に慣れていない方や、オーデマ ピゲを知ったばかりの方には驚きかもしれないが、オフショアには自社製ムーブメントが搭載されていなかった。オフショアは基本的に、ベースキャリバーにクロノグラフモジュールを搭載してきたのだ。最初のモデルはジャガー・ルクルト製の自動巻きキャリバー(Cal.888と889/1)を採用していたが、最近ではオーデマ ピゲの自社製Cal.3126にクロノグラフモジュールを搭載した3126/3840を使用していた。同社は、フレデリック・ピゲのCal.1185(フレデリック・ピゲがブランパン傘下に入ったため、現在はブランパンCal.1185となっている)も採用しており、これは一体型の超薄型クロノグラフムーブメントだが、やはり自社製ではなかった。

 しかし今年、オーデマ ピゲは自社製ムーブメントを搭載したロイヤル オーク オフショアの新バージョンを発表。2型あるうちのひとつのケースサイズは42mmで、サブダイヤルは6、9、12時位置に、日付は3時に配置されている(1993年のオリジナルモデルのレイアウト)。もうひとつの43mmモデルでは、3、6、9時のサブダイヤルレイアウトが採用され、日付は4時30分位置だ。43mmモデルにはCODE 11.59 クロノグラフで初採用されたクロノグラフムーブメントCal.4401が、42mmモデルには、4401をベースとしてオリジナルのオフショアのサブダイヤルと日付のレイアウトに対応するよう再構成された、Cal.4404が採用されている。

2021年発売となる、ロイヤル オーク オフショアの43mmバージョン。

 1990年代に製造されたモデル、つまり1999年に製造されたRef.25721SAと並べてみると、デザインの変化が一目瞭然だ。ダイヤルレイアウトの変更に加え、43mmの最新モデルでは、より直線的なプッシャーが採用されている。また、最も注目すべき点は、日付表示窓にサイクロプスレンズが採用されていないこと(ただし、4時30分位置に日付表示が配置されていることは、これまでと同様にオフショアが論争の的になることを示していると言えるだろう)。

43mmの26420SO.OO.A002CA.01(左)と、1999年に発表された極めて希少なリファレンスである25721SA(右)。

 しかし、新しいムーブメントの発表という点において、おそらく最も大きな違いは日付のサイクロプスがないことだろう。モジュール式のロイヤル オーク オフショアでは、その構造上、日付の拡大鏡が必要だった。日付ディスクはベースキャリバー部分にあり、その上にクロノグラフモジュールを載せると、日付ディスクが文字盤からかなりうしろになってしまうためである。今年の42mmモデルではサイクロプスレンズが付いているが、ムーブメントが一体型のクロノグラフであるため、実際には必要ないものだ(ただし、日付のサイクロプスが付いているロレックスの時計でも同じ議論ができると言える)。

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 上の写真のツートンカラーのRef.25721SAは、オフショアの25年に渡る歴史がいかに複雑であったかを示す興味深い例だ。この時計は、友人の時計愛好家が所有しているもので、1999年に彼の父親が購入したものである(父親は身長が180cmあり、自分の大きな体に合った時計を見つけて感激したらしい)。このモデルは4本しか市場に出回っていないと言われており、数週間前にクローゼットの奥で発見するまでは、持っていることをほとんど忘れていたそうだ。なお、ベゼルはピンクゴールド製である。

非常に深い位置に設置されたRef.25721SAの日付表示窓。

 それを聞いて言葉にならないほどの魅力を感じたが、私の時計人生の最も大きな瞬間は、あこがれのひとつであった36mmのイエローゴールドのロレックス デイデイトを手に入れた瞬間であり(友人や家族が私に絶えず言うように、確かにこれは不機嫌な老人のための究極の時計だ)、Ref.25721SAが90年代の時計であることは疑いの余地がない。また、高級時計のなかでも最も有名な複雑機構のメーカーとしての歴史を持つオーデマ ピゲの時計に、モジュール式のクロノグラフムーブメントが搭載されていることは、2000年代から2010年代、2020年代へとゆっくりと移行していくなかで、ますます不適切なものに思えてきたことも疑いの余地がない。Cal.4401が発表されて以来、同社の時計の愛好家は、CODE 11.59 クロノグラフ以外の時計にこのムーブメントが搭載されることを待ち望んでいた。非常に印象的なリマスター01 クロノグラフはあったが、CODEコレクション以外の通常生産の時計シリーズにCal.4401と4404が搭載されるのは今回が初めてだ。

1940年代のAPのデザインをベースにした本機については、スティーブン・プルビレントによる記事「オーデマ ピゲ リマスター01(腕時計の評価の仕方への考察)」で詳細が記されている。

リマスター・クロノグラフに搭載されているCal.4409は、Cal.4401のノンデイトバージョンだ。

 新しい43mmのロイヤル オーク オフショアは、Cal.4401とCal.4404の2つのオプションのうち、より現代的な外観と雰囲気を備えるるが、これはもちろんデザインによるものだ。25年の歳月をかけて完成した新キャリバーは、モジュール式ムーブメントを採用したことで、これまで少なくとも私にとってはだが、そのワイルドな重厚感に若干の物足りなさを感じていたデザインを、非常に歓迎すべきものにしてくれた。キャリバーの直径は32mm、厚さは6.8mmで、今でもかなり大きくて人目を引くタイムピースにしっかりとフィットしていると感じる。

 この新しいムーブメントは、トランスパレントバックからもよく見えるだけでなく、全体的なデザインやレイアウトも43mmオフショアに非常によく合っている。このムーブメントは、時計のノスタルジーに浸るのではなく、現代的なキャリバーとして着用者に感動を与えることを明らかに意図している。この点において、このモデルは非常に成功していると言えるだろう。

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 CODE 11.59クロノグラフのハンズオンでご紹介したように、このムーブメントの現代性は肌で感じるものではない。70時間のパワーリザーブ、摩擦を最小限に抑えるように設計されたコラムホイールの歯の形、ローターのセラミックベアリング、そして一体化したシングルリセットハンマーを備えた垂直クラッチデザインだ。バランスコックではなくバランスブリッジを採用し、テンプはフリースプラングによる調整が可能なタイプとなっている。

 42mmモデルは、オフショアの自社製ムーブメントをより純粋に楽しむことができるモデルだが、私は43mmモデルがより最新のデザインに傾倒している点に非常に好感を持った。また、オマージュのためにCal.4401を変更するのではなくオリジナルの構成を維持している点でも、42mmモデルより少し私のなかでは勝っている点だ。

 ここに掲載されている3モデルは、スティールとブラックダイヤル、そしてチタンとブルーまたはグレーダイヤルだ。しかし、ブラックセラミックベゼルを備えたスティールモデルは、非常に魅力的だ。また、ブレスレットによる重量増がないため、選ぶとしたらおそらく私はこのモデルにするだろう。しかし結局のところ、少なくとも重さのないオフショアとはなんだろうか?

ファーストインプレッションとフルスペックについては、ジョン・ビューズの紹介記事「オーデマ ピゲ ロイヤル オーク オフショア 5つの新作モデル」をご覧ください。現在の販売価格は チタン(グレーダイヤル)473万円、スティール(ブルーダイヤル)473万円、スティール(ブラックダイヤル)445万5000円(すべて税込)。3モデルともに、自社製自動巻きクロノグラフCal.4401を搭載し、時刻・日付・スモールセコンド付きフライバッククロノグラフ。70時間のパワーリザーブ、自動巻き、40石、2万8800振動/時。

All photos, Tiffany Wade.

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オーデマ ピゲについての詳細は、同社のウェブサイトをご覧ください。