Introducing: オメガ スピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチ Cal.3861 2021年新作 - Hodinkee Japan (ホディンキー 日本版) trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Introducing オメガ スピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチ Cal.3861 2021年新作

オメガの最新かつ最高のエンジンを搭載した由緒あるムーンウォッチ。

アーサー・C・クラークがファーストコンタクトの長編SF小説『宇宙のランデヴー(Rendezvous With Rama)』の冒頭で書いたように“遅かれ早かれ、いずれは起きることだった”のだ。それはつまり、Cal.1861 ムーンウォッチから、コーアクシャルのCal.3861を使用した新バージョンへの置き換えである。オメガは2019年3月にCal.1861のアップグレード版を発表した ― 新しいバージョンであるCal.3861は、最初にゴールド・オン・ゴールドのスピードマスター アポロ11号記念限定版が登場。それ以来、さらに2つの時計に搭載されている ― 2019年5月には、ステンレススティール製の「スピードマスター アポロ11号 50周年記念限定版」で、そして2020年10月には、「スピードマスター “シルバー スヌーピー アワード”50周年記念モデル」として、それぞれ発表された(このモデルは異常な人気が証明されており、限定モデルではないにも関わらず入手困難だ)。

 今日、オメガはついに、我々全員が必然だと確信していたことを発表した。標準生産のムーンウォッチにおいて、コーアクシャル脱進機を備えたマスター クロノメーター認定のCal.3861を搭載させたのだ。これに伴い、Cal.1861は正式に製造中止となり、50年ほどに及ぶスピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチの生産期間を経て、これまでオリジナルのCal.321を継承していたものが最終的に引退することとなった(Cal.861/1861は、1968/69年に321に取って代わられた)。

ヘサライト風防のムーンウォッチ マスター クロノメーター。

ヘサライト風防の新しいマスター クロノメーター ムーンウォッチは、裏蓋のエングレービングもアップデートされている。

 新しいCal.3861を搭載したスピードマスターは、あらゆる面でムーンウォッチであることに変わりはない。これは、現代の時計製造の偉大なアイコンの1つとなったデザインを邪魔しないという単純な問題もあれば、実用的な面もある。オメガは明らかに3861 ムーンウォッチに飛行認定を受けた伝統を引き継いで欲しいと考えており、本機はNASAによる飛行認定を受けた構成を守っているおかげで、有人宇宙飛行での使用も認定されているのだ。また、船外活動に適した唯一の飛行認定時計でもある。クォーツウォッチ、特に液晶ディスプレイを搭載した時計は温度変化に非常に弱く、宇宙飛行中に日常的に遭遇する温度変化によって液晶ディスプレイが破壊される可能性があることから、ムーンウォッチは、Cal.1861のモデルとこの新しいCal.3861モデルの両方で、惑星間宇宙の過酷な環境下でも有用な時計として活躍し続けている。

サファイアクリスタルモデルのケースバックからの眺め。

 新しいムーブメントと共に、最新バージョンのムーンウォッチには新しいブレスレットが採用された。横一列に5つのリンクがあり、各リンクは以前のブレスレットよりも小さく、より軽く、より快適に着用できるように見える。ブレスレットは、ヘサライトモデルとサファイアモデルの小さな違いを見ることができるポイントの1つだ。サファイア風防モデルでは、ミラーポリッシュ仕上げになっているが、ヘサライト風防モデルではマット仕上げになっている。

 ヘサライト風防の3861に加えて、Cal.3861を搭載した3つのムーンウォッチが発表された。風防にサファイアクリスタルを使用したもの、18Kカノープスゴールドを使用したもの、そして18Kセドナゴールドを使用したものだ。

セドナゴールドモデル。

 Cal.1861のムーンウォッチとCal.3861のムーンウォッチの違いを見分けるのは難しいとお伝えしたが、実際のところ、多くの方がこれらの違いを見分けるのは難しいのではないだろうか。2つのムーブメントは一見すると(たぶん2度めでも、3度めでも)実質的に同じように見える。どちらも、Cal.321からCal.861への移行期にクロノグラフに初めて導入された同様のレバーとカム式の制御システムを使用しており、プレート、ブリッジ、石、その他のコンポーネントの一般的なレイアウトは、1861から3861までほぼ同じである。新しいCal.3861を搭載したムーンウォッチには、ヴィンテージのRef. ST 105.012に由来するドットオーバー90ベゼルやステップダイヤルなどのデザイン要素も採用されている。

カノープスゴールドモデル。

 しかし、注目すべき違いの1つは、ヒゲゼンマイの構成にある。Cal.1861では、ニヴァロックスタイプの平ヒゲのヒゲゼンマイの有効長を制御する非常に標準的な調速機構を使用しており、これが時計の調整に用いられている。Cal.3861を詳しく調べてみると、そのような機構がないことが明らかだ。代わりに、Cal.3861は調整可能なマスバランス(慣性モーメント補正ネジ)を備えたシリコン製ヒゲゼンマイをもつフリースプラング式を採用。これにより、新たなムーンウォッチは日差0/+5秒のマスター クロノメーター仕様となった(これは公式スペックであり、私がレビューのために手にした時計は、METASによるマスター クロノメーター認定を受けるほどの精度は備えていなかった ― 現実世界の条件下では、多かれ少なかれ1週間あたり約0.5秒前後の精度を行ったり来たりしているように見える)。

 未解決の問題の1つとして、この新しいムーブメントが、NASAがオリジナルのCal.321を搭載したスピードマスターに要求したテストをクリアしているかどうかという点が挙げられる。この点についてはオメガに連絡を取って明確にしたいと思っているが、Cal.3861が基本的にCal.1861のより堅牢なバージョンであることを考えると、以前のムーブメントの堅牢性を満たすことができない、あるいはそれを超えることができないとは想像できない。ただし、Cal.3861を搭載したスピードマスターのヘサライト風防版では、Cal.1861を搭載したムーンウォッチに見られる“Flight Qualified By NASA For All Manned Space Missions(全ての有人宇宙飛行計画で使用可能であるとNASAが認定)”ではなく、“Flight Qualified By NASA in 1965 For All Manned Space Missions(全ての有人宇宙飛行計画で使用可能であると1965年にNASAが認定)”と記載されていることは注目に値する。

 本機は、コーアクシャル脱進機とシリコン製ヒゲゼンマイにより、実際にはCal.1861よりも宇宙飛行の過酷な環境に適したムーブメントとなっている。Cal.1861の宇宙での使用実績は、他のどの機械式ムーブメントをも凌駕しているが、少なくとも1万5000ガウスまでの磁場に耐え、衝撃や温度変化への耐性が高く、より長い時間にわたってより精度を維持できるCal.3861には、機能的に太刀打ち不可能だろう(もちろん、メンテナンスサービスにおけるインターバルにおいてもCal.1861より優位に立っている)。

 それ以外の点では、ムーブメントは少なくともいとこ同士のようなものだ。パワーリザーブは、Cal.3861では48時間から50時間へとわずかに増加し、石数はCal.1861では18石だったものがCal.3861では28石と大幅に増加している(近日中に、これらの余分な石がどこでどうなったのかを調べてみたいと思っている)。しかし、両者の全体的な見ためや質感は非常に近いものであり、Cal.3861はその前進モデルとの劇的な破局ではなく、オリジナルのCal.321の進化における論理的な次のステップのように感じられるのだ。

クロノグラフの秒目盛は、Cal.3861の振動数を反映して更新されている。

 私はCal.1861搭載のムーンウォッチに非常に強い思い入れがある。私の1861は、私にとって最初の素晴らしいスイス製腕時計であり、そのムーブメントと時計はオリジナルの321 スピーディよりもはるかに幅広いミッションで活躍してきた。Cal.861/1861は、アポロ/ソユーズミッション、スカイラブ、シャトルミッションで活躍し、今日ではISSでロシア人宇宙飛行士が使用したフライトスーツの手首でも使用されている。しかし、機械式ムーンウォッチが、機能的なオーバーホールのために長い時間が経過していたことは疑いの余地がない。

 私は、このニュースによって、まだそこにCal.1861のための製造ラインが幾ばくか残されることを期待している。もしあなたが、宇宙で50年もの時間を過ごしたムーブメントをもつムーンウォッチを望むならば、確かに今がそのときだと思う。同時に、Cal.3861を搭載したムーンウォッチは変わらずムーンウォッチであるが、過去へのノスタルジーに根ざしたものというよりは、宇宙開発の未来に向けたものである。もし機械式のスピードマスターが宇宙船クルー・ドラゴンや、月に向かうアルテミスのミッションに携行されるのだとしたら、ムーンウォッチとしての論理的な選択はCal.3861を搭載したスピードマスターとなるだろう。1957年にスピードマスターが初めて発表された時には、その未来を予見することはできなかったが、本機は機械式クロノグラフムーブメントの長い歴史における最新モデルなのだ。Per ardua ad astra(逆境を越えて星々へ)。

オメガ スピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチ With コーアクシャル Cal.3861:ケースはSS、カノープスゴールド、もしくはセドナゴールド、42mm径。ヘサライトもしくはサファイアクリスタル風防; タキメータースケール付きアルミニウムベゼル。 ムーブメント、コーアクシャル Cal.3861、28石、2万1600振動/時; 50時間パワーリザーブ; 3レジスタークロノグラフ、METAS及びマスター クロノメーター認定。最大1万5000ガウスの耐磁性能。精度; 日差 0/+5秒。

販売価格: スティール with ヘサライト風防 67万円(ブレスレット) 、64万円 (ナイロンストラップ); スティール with サファイア風防 77万円(ブレスレット)、73万円(レザーストラップ); セドナゴールド 374万円 (ブレスレット)、264万円(レザーストラップ);カノープス ホワイトゴールド(ホワイトダイヤル)486万円(ブレスレット)、326万円(レザーストラップ)※全て税抜。詳細はオメガ公式サイトをご覧ください。