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スイスとアメリカは、スイス製品への関税を15%に引き下げる貿易協定に正式に合意した。これにより、高額な課税によって圧力を受けてきたスイスの時計産業にとって、一定の救済となる見通しである。スイス政府の発表によると、この関税引き下げは、両国間の合意が初めて公表された2025年の11月14日まで遡って適用されるという。
アメリカはこれまで、スイスに対して39%という主要な先進国のなかでも最高水準の関税を課していた。今回の引き下げにより、スイスは欧州連合(EU)や日本など、ほかの時計製造地域・国家と足並みをそろえることになる。今年4月に始まったアメリカの貿易政策の転換は、スイスの主要ブランド各社に一斉の価格改定を促す結果となった。これは、スイス時計輸出全体の約20%を占める最大の単一市場であるアメリカへの輸入コストを吸収するための措置であった。
11月、スイスの経営者らがホワイトハウスを訪問した。
スイス経済庁(SECO)は声明のなかで、この合意により「スイス企業による対米市場のアクセスが大幅に改善される」と述べた。
さらに同庁の担当者は「スイス企業は、EUやその他の類似した経済構造を持つアメリカの貿易相手国の企業と同様の条件を再び享受できるようになる。そのため、競争力も強化されるだろう」とコメントしている。
スイスの時計ブランド各社は、スイスフラン高と過去最高水準に達した金価格というコスト圧力にすでに直面しており、ロレックス、オメガ、パテック フィリップといった主要ブランドは、これを受けて時計の価格を引き上げた。また、多くのブランドが関税発効前に大量の在庫をアメリカへ出荷する動きを見せていた。
今回の合意と貿易関係の改善は、11月にホワイトハウスを訪問したスイスの経済界代表団による会談に続くものだ。この代表団には、ロレックスの最高経営責任者ジャン・フレデリック・デュフール(Jean-Frédéric Dufour)氏、リシュモン会長ヨハン・ルパート(Johann Rupert)氏、そしてブライトリングを傘下に持つ投資会社パートナーズ・グループの代表が含まれていた。参加者によれば、この会合は両国間の経済的な結びつきと関係強化を目的としたものであり、交渉の場ではなかったという。会談には、スイスの金精製業界やコモディティ取引業界の有力経営者たちも同席していた。
アメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、全米オープンでロレックスのゲストとして招かれていた。Photo Courtesy Getty Images
11月の発表を受け、スイスの時計メーカー幹部たちはこの協定案を歓迎した。オーデマ ピゲの最高経営責任者イラリア・レスタ(Ilaria Resta)氏は、ドバイ・ウォッチ・ウィークで行われたCEOパネルディスカッションのなかで「より現実的に管理可能となった関税水準によって、市場に“ある程度の秩序”が戻るだろう」と述べている。
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