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本日は、ネオヴィンテージウォッチ全般と、Hodinkee Private Salesで入手可能なイエローゴールド製ヴァシュロン・コンスタンタン Ref.47101 クロノグラフを紹介する。このヴァシュロンのネオ・ヴィンテージのカテゴリー、またはこのような入手困難な時計にご興味のある方は、リッチまで直接ご連絡を(rfordon@hodinkee.com)。
ああ、ネオヴィンテージ。編集ベースの時計ウェブサイトをクリックして、何もないところから作られた言葉に出くわすことはほとんどない。私が知る限り、ネオヴィンテージという言葉は、時計ディーラーがヴィンテージ感を求める買い手にとって興味深い価値を提案する、在庫のなかのヴィンテージでもなく中古品でもない時計を表現するために最初に使った言葉である。多くの時計用語がそうであるように、この言葉もロレックスとともに人気を博したのだろう。4桁のリファレンスは一般的にヴィンテージであり、5桁のリファレンスは主に1980年代と90年代のもので、ネオヴィンテージである。
ネオヴィンテージは、以前は“古い”ロレックスの代名詞であったが、実際には(そしてより正確には)ヴィンテージ風のモダンウォッチを表現するのに使われた。例えば、バルチックが2018年にキックスターターでローンチしたときのプロジェクトの見出しは“BALTIC Watches:フランスで組み立てられたネオヴィンテージウォッチ”だった。
この言葉はバルチックではもう使われなくなり、中古ロレックスの世界ではまだ使われているが、今ではネオヴィンテージは“80年代や90年代に素晴らしい時計を製造していた、あまり知られていない、あるいは意外なブランド”という意味で使われる傾向にある。過去10年ほどのあいだに、市場がこれらの時計を過小評価していたようであれば、それは役に立つ。ダニエル・ロート、レマニアベースのパテック フィリップ、ロジェ・デュブイなどを思い浮かべてほしい。
時計コミュニティのイベントに参加したり、オークションの世界に注目したりすると、このネオヴィンテージのカテゴリーで最も熱のこもった会話や入札が行われていることにすぐに気づくだろう。ここ数年、時計界全体がほかの分野に注目しているなか、ネオヴィンテージは一部のコレクターが情熱的に探求し、興奮するような新しいブランドを見つけ、なぜこのような古くない時計が重要なのかをコミュニティで啓蒙するために新しい情報を掘り起こしている場所なのだ。
世界中が異常に蒸し暑い真夏だというのに、私が日常的にコレクターから受けるリクエストやコレクターとの会話の大半は、カルティエ タンクやパテックのコンプリケーション(3940、5970、5050、さらには5004)といった、古い伝統的なスタイルのレザーストラッオプウォッチである。なぜだろう?
ラグジュアリースポーツ疲れ
ネオヴィンテージウォッチは、一般的に現代のラグジュアリースポーツモデルとは正反対である。コレクターは手に入らないものに振り回されるように無理やり適応してきた。“平均的な”コレクターは、たとえ地元のAPハウスに現金を持って行ったとしても、ロイヤル オーク 16202を買うことはできない。この現代の時計とゲーム感覚のAD環境から、ついに疲労が蓄積してきたのだ。しばらくのあいだ、特に現代のスティール製デイトナなどの価格が日々上昇していた2021年のあいだ、小売店での限られたアクセスは、これらの時計をより欲しくさせるだけのように思えた。しかし時が経ち、ブティックでブレスレットを装着した時計を購入することがさらに難しくなった今、多くのコレクターはもう終わりにしようとしている。
このような反発は、在庫状況や小売店の駆け引きに絡んでいるだけでなく、一般的に時計コミュニティはこれらの“人気”モデルに関して悪感情を抱いている。時計の世界では、2020年から2021年にかけて特定の時計の二次流通価格が上昇し、その後下落したことがトレンドとして取り上げられるが、それは的外れである。SS製のデイトナやロイヤル オークなどに焦点が当てられ、市場経済に基づいた議論となった。
それは最悪だ。
コレクターは、自分や他人の腕に巻かれた時計を金融商品のように眺めることになる。私は、時計愛好家たちは単にそれに飽き飽きし、ボールを持って家に帰り、何か別のもの、つまり正反対のタイプの時計に興味を持ったのだと思う。
私は決して、真のコレクターとは何かを定義しているわけでも、その人が好きな時計や身につける時計を批判して、その人の味を貶めているわけでもない。このサイトのコメントや、私に直接寄せられるコメントでは、そのような感情を軽蔑している。むしろここ数年、ひとつのカテゴリーに注目が集まった反動として、時計界は好きなものを楽しみ、好きなものを買うという方向に少しずつ戻りつつあると私は信じている。今、その模索はネオヴィンテージというカテゴリーに行き着くことが多いのだ。
インディペンデント思考
ネオヴィンテージがラグジュアリースポーツのアンチテーゼであるとすれば、このカテゴリーもまた、現代の独立時計師の世界との強い関連性と類似性によって追い風を受けている。トニーはオークションのプレビューで“90年代の時計の真髄は、伝統的な時計製造の再生にあった。独立系時計メーカーの誕生も、伝統的な時計製造と複雑機構に再び焦点を当てた大規模なメゾンも然り。”と述べている。現代の独立系コレクターが夢中になるものの多くは、1990年代のパルミジャーニ・フルリエやロジェ・デュブイ、あるいは“世界三大ブランド”の複雑時計に根ざしているか、少なくともそこに存在している。
“独立系の時代”などという言葉を使うのはもはや憚られるが、独立系ウォッチメイキングの影響がコレクションの隅々にまで定着し、浸透していることは否定できない。F.P.ジュルヌやレジェップ・レジェピの買い手は、時計収集の上層部にいることは確かだが、これらのメーカーだけでなく、グローネフェルト、レミー・クールズ、サイモン・ブレットなど、ほかのメーカーのものに対する評価も浸透している。これもまた、買えないものによる時計文化全体への影響であるが、それはポジティブなものである。時計の職人技に費やされた時間のために、真の希少性によって入手が制限される場合、コレクターは仕上げや最先端の時計学やデザインに同じような注意を払った別の選択肢を探し求める。
セレブリティの信者
信じられないかもしれないが、ジェイ・Zがおそらくユニークピースであるパテック 2499やグランドマスター・チャイムを身につけていることは重要だ。これは本当に重要なことなのだ。あるいは最近ロレックスのアンバサダーとなったロジャー・フェデラーの腕に巻かれたモデル、新しいロレックス 1908を見て欲しい。これらの時計はどれもネオヴィンテージという定義には当てはまらないが、エレガンスとアンチトレンドという、あらゆるコレクターがこのカテゴリーに求める感情を代弁している。ここHODINKEEでは、セレブリティを取り上げることは常に話題となるテーマだが、富裕層や有名人が何を身につけるかを観察することは、時計愛好家が何に引かれるかを示すことになる。ジェイ・Zが、ありえないほどレアなヴィンテージパテックの永久カレンダー クロノグラフを身につけているのを見ると、3970を少し見直すかもしれない。私たちがネオヴィンテージを愛し、引かれ始めているもののほとんどは、ほんの5~10年前には“老人の時計”として見向きもされなかったものだということを忘れてはならない。
では、我々はどうすればいいのか?
ネオヴィンテージへの関心がどのようにして生まれたのかを理解することは、“ちょっと、これ注目してみて”というだけでなく、時計への熱意が再び広がっていく一般的な変化を認識するためにも重要である。イエローゴールドのヴァシュロン・コンスタンタン Ref.47101 クロノグラフがあなたにそう語りかけるなら、それは素晴らしいことだ。クラシカルなスタイルとサイズのケースから、精巧に仕上げられたレマニア 2310ベースのキャリバーに至るまで、1990年代のヴィンテージにインスパイアされたこのリファレンスがなぜ興味深いのか、今なら情報を入手することができる。この時計は、Private Sales programを通じて購入可能だ。
ヴァシュロンのクロノグラフが好みでなくても、ネオヴィンテージという広大なカテゴリーにはたくさんの発見がある。この最近の“トレンド”は、時計収集に“掘り出し物”が戻ってきたことを示しているからだ。しかし、愛好家の欲求と一般消費者の欲求のあいだには明確な隔たりがある。だが、これはトリクルダウン理論の予測可能なケースとして見ることができる。閉鎖的な愛好家サブカルチャーは、有名人やソーシャルメディア、あるいは時計に熱中する友人を通じて最終的に増殖し、何がクールかを決定し、常に存在するようになる。そして、20年のトレンドの振り子は再び揺れるのだ。