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今週のヴィンテージウォッチ
HODINKEE Shopに入荷するヴィンテージウォッチの多くは、タイトルだけではその時計の情報が正しく伝わらないことがある。毎週お送りするヴィンテージウォッチ記事には必ずリード画像があり、トップページやサイト内の“新着情報”で大々的に取り上げられる。しかし、私たちは常々せめてクリックして写真だけでもご覧いただくことをおすすめしている。水曜日の朝、時間がない方は、ぜひ画像をご覧いただきたい。ヴィンテージウォッチの温かみのある色合いやユニークな個性は、何物にも代えがたいものだ。例えば、1970年代のギャレット byラシーヌ マルチクロン。名前だけではあまりピンとこない人もいれば、時計好きなら思わず手に取ってみたくなるかもしれない。しかし、この時計の姿を見れば、まったく別の物語が見えてくる。
サオリ・オオムラが担当するのは、70年代のファンクを感じさせるWネームのマルチクロンの詳細を紹介だ。ショーン・イーガンは、フランス軍のType21の仕様の詳細と、ブレゲや他社が手がけたType20の成功後、ドダーヌ(Dodane)がどのようにその要求に応えたかについて深く考察している。普通とは違うロレックスがお好みなら、リッチ・フォードンが1959年製のロレックス オイスターパーペチュアルをきっかけに、モノクロームなゴールドウォッチのファンになった理由を語ってもらった。なお、HODINKEE Shopのヴィンテージウォッチコレクションはこちらからご覧いただける。
1959年製ロレックス オイスターパーペチュアル Ref.6569 14KYG JBチャンピオン・ジュビリーブレスレット付属
私はもともとゴールドがあまり好きではなかった。例えば時計、マネークリップ、キーリング、または一般的に宝石類であれ、私はいつもスターリングシルバーとステンレススティール製に引きつけられる。もうおわかりだろう。この小さな1959年製ロレックスのOPが、私の考えを変えてくれたのだ。誰が想像できただろうか? 聞く価値を保証するので、私に説明のチャンスを与えて欲しい。
ニューヨークで時計好きとして生活していると、主要なオークションハウスの内覧会に参加できることも大きなメリットだ。HODINKEEのデスクではあまり見ることのない時計を、実際に見て、触って、理解することができるからだ。ゴールドウォッチを所有しているわけではないが、何年ものあいだ、何本かのゴールドウォッチが私の目をとらえてきた。私のゴールドウォッチリストの筆頭には、もちろん“ポール・ニューマン レモン”デイトナが挙がる。私の場合、どのみちゴールドウォッチのほとんどが「予算を超える」ことが多いので、いっそのこと高望みをしてみることにした。昨年6月、フィリップス・ニューヨークは、市場に出てくる最高の個体のひとつをオークションに出品した。それは、メキシコのワンオーナー品で、“メイド・イン・メキシコ(Hecho in Mexico)”のジュビリーブレスレットが完備されていることから、彼らはこの時計を“エル・リモンチート”と名付けた。
その時計は何と約200万ドルで落札された。なぜかって? “エル・リモンチート”は、誰の目にも究極のオールゴールドスポーツウォッチに映つたことだろう。オークションの内覧会でこの時計を手にしたあの瞬間は、まさに神秘的体験だった。あのとき以来、ゴールドのロレックスに心を奪われたことはない。もちろん、この比較的地味なRef.6569がHODINKEE本社に届くまでは……
正直、フィリップスのときよりも感動がほんの少し低くなってしまったが、それでも物凄いオーラである。このOPは、その“メイド・イン・メキシコ”ブレスレットとアメリカ製JBチャンピオンジュビリーブレスレットとほぼ同じ重量感であり、ダイヤルのトーンは、標準的なロレックスのシャンパンというよりは、レモンに近い色合いである。このダイヤルは、光の当たり方によっては、少しバラ色に見えるが、直射日光の元では、イエロー味の強いケースと相まって、よりレモンのような雰囲気を醸し出しています。14KYG、米国輸入マーク、米国製ブレスレットのRef.6569は、デイトナ“エル・リモンチート”Ref.6264のOP版的存在である。デイトナらしさ、ポール・ニューマンらしさを削ぎ落とすと、こんな時計になるかもしれない。画像と詳細情報はShopでご覧ください。
1970年代 ドダーヌ Type21 ミリタリーフライバック クロノグラフ
HODINKEEには、何度も読み返したくなる記事が何本かある。感動的な内容であったり、この不思議な世界に足を踏み入れたきっかけを思い出させてくれたり、情報量の多さに驚かされたり。ミステリアスなPH Zhou氏が手がけた最後の記事は、事実がぎっしり詰まっていて、少なくとも3ヵ月に一度は読み返しているほどだ。そこで今週は、このドダーヌが入荷したのを言い訳にして、お気に入りの記事を再読してみた。ドダーヌなのに、なぜ私はロンジンについての特集を眺めているのか? その答えは、フライバックの特許を最初に取得したブランドこそが、ご存知ロンジンだったからだ。フライバッククロノグラフとは何か、どのように機能するのかについては、PH氏がその記事で素晴らしい説明をしてくれているので、ここでは割愛するが、もしまだ読んでいないなら、このIn-Depth記事を読むことを強くお勧めする。そのなかで、13ZNムーブメントが誕生してからフランス軍用のType20が開発されるまでのあいだに、ほかのフライバックがあまり作られなかったことに触れている。
PH Zhou氏は、フライバックがいかに連続するイベントの経過時間を計測するのに有効であるかを説明しているが、これは私にもとても便利だとわかる。もし、このようなムーブメントの開発が難しいのであれば、なぜフランス軍はこの機能の必要性に固執したのだろうか? 私が調べたところでは、この機能によって通過点から通過点への移動が容易になるとのことだった。これは飛行機のパイロットよりもヘリコプターのパイロットのための機能だと私は考えているが、それでも両方のパイロットにとって非常に便利だ。もうひとつ興味深いのは、ケースバックにFGと日付が刻印されていることだ。これはFin Garantie(保証終了)の略字だ。この時計には2-4-81とあり、少なくともその頃まではこの時計を使いたかったのだろうということが読み取れる。耐用年数が長く、生産数も多いことから、ヴィンテージの複雑系クロノグラフのなかでは、入手しやすい部類に入る。また、現代の民間人にとっての機能の有用性はともかく、スゴいヴィンテージウォッチが予算内で手に入れることができるということが重要だ。ここで是非チェックしてみてほしい。
1970年代 ギャレット by ラシーヌ マルチクロン
私たちは誰でも、好きなことや知っていることに固執し、繰り返すことは簡単です。けれども、ときには新しいことに挑戦することも必要ですよね。このギャレット by ラシーヌは、私にとってそのような存在です。普段はあまり取り上げることのない時計ですが、だからこそ、この時計に注目したいと思いました。
この時計は、スイスの時計製造史において興味深い時代を象徴するものでもあります。当時、スイスの時計メーカーは、ロンジン、ヴァシュロン、ルクルトなどがウィットナー(Wittnauer)社と、ブライトリングがワックマン(Wakmann)社と提携するなど、アメリカに拠点を置く事業者と共同で事業を行うことが多い時代でした。このパートナーシップは主に輸入販売目的であり、このギャレット byラシーヌもスイスのギャレットとニューヨークを拠点とするアメリカの輸入業者ジュール・ラシーヌ(Jules Racine)とのあいだで同様の形態がとられたものです。そのため、ギャレットにムーブメントを供給していたスイスのエクセルシオパーク社製ムーブメントには、ギャレットとラシーヌに指定されたアメリカの輸入刻印“JXR”が打刻されています。この時計が世に出るためのさまざまなコラボレーションがあったのです。
サンバースト仕上げの大型トノーケースに、テレメータースケールやクロノグラフ針のオレンジ色のアクセントなど、一見すると1970年代らしい時計です。ところが、それ以外の点では、ブラックアクリル製のベゼル、3レジスターのレイアウト、そしてオメガ スピードマスターを彷彿とさせる夜光のアワーマーカーなど、その前の時代のクラシックな要素を受け継いでいます。不思議と装着性に優れています。“未知”に挑戦し、好奇心を持つことは悪いことではありません。あなたのコレクションに加得たいと思うような、予想外の発見があるかもしれません。
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