Introducing ブルガリ　オクト フィニッシモ 2022 10thアニバーサリー “スケッチ”リミテッドエディション

　そのデザイン、そして図面を担当したのは、ブルガリのプロダクト クリエーション エグゼクティブ ディレクターであるファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ（Fabrizio Buonamassa Stigliani）氏だ。彼はナポリに生まれ、インダストリアルデザイナーとして訓練を受けたのち、最初に取り組んだのが自動車デザインだった。彼のデザインはいつも手描きのスケッチから始まるが、私は何度か彼が絵を描くところを見ることができた。ほかの偉大なドラフトマン（製図者）と同様、彼の描くシェイプとプロポーションのレパートリーは神経学的に筋肉に記憶され、彼の絵は滑らかさ、優雅さ、そして正確さを与えるものとなっている。

　このふたつの限定モデルは、それぞれの時計の初期デザイン画をチタン製のダイヤルにプリントしている。そのふたつの時計とはオクト フィニッシモ オートマティックとオクト フィニッシモ クロノグラフ GMT オートマティックだ。どちらもそれぞれのカテゴリーで超薄型時計の記録を樹立し（最薄の自動巻きと最薄のクロノグラフ）、ケース、ダイヤル、ブレスレットともにフルチタン製となる予定で、どちらも世界限定200本だ。

　もちろん、これらの作品はオクト フィニッシモの歴史やスティリアーニ氏の作品をすでに知っている人たちに最もアピールするものだろう。しかし、彼が誰であるかを知ったばかりの人が、そのアイデアに説得力を感じないというわけではない。ロジャー・スミス（Roger Smith）氏の最初のハンドメイドウォッチを見たダニエルズの最大の批判は「ハンドメイドすぎる」というものだったという話もある。手作業で描かれたデザインスケッチのおおらかさとプロセスに根ざした外観は、その考えとはまったく正反対であり、私はこの時計がクールなものだと思うのだ。

　美術の世界では何世紀にもわたって、おおらかで編集されていないものと、綿密に仕上げられた複雑なものの両方が存在してきた（例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチ〈Leonardo da Vinci〉のスケッチのいくつか、対して彼の傑作『聖アンナと聖母子』のように高度に計算され洗練された作品を思い浮かべて欲しい）。最も近いのはエナメル細密画で、これは明らかに手作業で描かれているが、最高レベルではその複雑さにおいてレオナルドにまったく引けを取らない。このスケッチの使用は、世界で最も都会的で洗練された時計デザインに、思いがけない温もりと人間味を与えている。

オクト フィニッシモ オートマティック 10thアニバーサリー Ref.103672：ケース／40mm、サンドブラスト仕上げチタン、シースルーバック、サンドブラスト仕上げのマットグレーチタンダイヤル、時計デザイナー、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏による最初のデザインスケッチを取り入れたエングレーブインデックス。ムーブメント／Cal.BVL138、プラチナ製マイクロローター、厚さ2.23mm、パワーリザーブ65時間。防水性／30m。

オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT オートマティック 10thアニバーサリー Ref.103673：ケース／40mm、サンドブラスト仕上げチタン、シースルーバック、サンドブラスト仕上げのマットグレーチタンダイヤル、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏による最初のデザインスケッチを取り入れたエングレーブインデックス。ムーブメント／Cal.BVL318、厚さ3.3mm、クロノグラフ GMT、パワーリザーブ55時間。防水性／10m。

両モデルとも各200本の限定生産。オートマティックは185万9000円、クロノグラフ GMT オートマティックは228万8000円（ともに税込）