VINTAGE WATCHES 1930年代のオメガ　トライデント、1950年代のヴァルカン　クリケット、1950年代のジラール・ペルゴ　ジャイロマティック

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HODINKEE Shopのヴィンテージウォッチコーナーに、オメガ、ヴァルカン、ジラール・ペルゴのシンプルかつ興味深いみっつのモデルが追加された。これらは大人気というほどではないが、先週はロレックスのスポーツウォッチにフォーカスしたことだし、今週はヴィンテージウォッチのカーブボールを投下することにした。これは飽きさせないための変化球と思って欲しい。

　ヴィンテージ・チームが選んだのは以下の通り。サオリ（Saori）はコレクターが好むディテールを備えたオメガを、ショーン（Sean）はヴァルカンのフラッグシップモデルであるクリケットを、そしてリッチ（Rich）はジャイロマティックを特別なものにしている理由をそれぞれ紹介している。上のスライドショーでは、現在ショップで販売されているヴィンテージウォッチのセレクションをご覧いただける。驚くような3本の時計にまつわる全ストーリーについてはこのまま読み進めて欲しい。

　ロレックス スポーツモデルのクラシックなヴィンテージを取り上げる数が多いのは、必然的なことだ。好き嫌いにかかわらず、ヴィンテージのサブマリーナー、GMTマスター、エクスプローラーを見たがる人や話題にしたがる人が多いのだから。その証拠に、先週は50件以上のコメントが寄せられた。私たちは読者の方々の声を聞くのが好きだし、また、我々は今、同じように魅力的な会話を楽しんでいるので、これからもどしどしお願いします。しかし、ときには、このファンキーなトライデントのような、思いがけないヴィンテージピースを手に入れることもあるのだ。「サブマリーナー vs GMTマスター」を特集した翌週に、このオメガが登場するとは思わなかったのでは？

　文字盤のパティーナなど、まごうことなきヴィンテージモデルを見るのは爽快な気分だ。最近のヴィンテージに求められるような完璧さはなく、そこがこの作品の魅力だと思う。私はいつもレイアウトのプロポーションに注目している。ケース径は29mmと控えめだが、伸びたラグと段差のあるベゼルが、よりワイドな印象を与えている。文字盤のパティーナについては、意見が分かれるとは思う。しかし私は、この時計に個性を与える素直なパティーナだと思っている。しかし、私が特に気に入っているのは、魅力的な三叉型の時針とアワーマーカーだ。控えめに見えるかもしれないが、私にとっては、薄く褪せたアプライドのローマ数字のアワーマーカーが、文字盤全体のパティーナの力強さにエレガンスをもたらしていると思えるのだ。ヴィンテージファンの方ならおわかりだと思うが、ヴィンテージアクセサリーも一緒に手に入るのはとても嬉しいことだ。この時計にはグレーのヴィンテージストラップとボックスが付属しているのも嬉しいサプライズだ。

　テクニカルな面では、このトライデントは、オメガが初めてセンターセコンドを搭載した1937年発表のメディカスモデルと非常によく似た外観を持っている。メディカスのデザインは、6時位置にある一般的なスモールセコンド針よりも大きな秒針によって視認性を高め、第2次世界大戦中に医師や看護師がより正確に脈拍を測定できるよう支援する、独創的な機能があった。このように、現在では当たり前のように使われている機能の多くが、身近な問題を解決するために開発されたものであることが、ウォッチメイキングの素晴らしさなのだ。私は時々、基本に立ち返り、忘れかけていた大切なディテールを再発見したくなることがある。そして、この端正なヴィンテージのトライデントは、私がそもそもヴィンテージウォッチを好きになった理由、そして今日までヴィンテージウォッチを愛し続けている理由を思い出させてくれた。

　ヴィンテージウォッチにおける価値提案の例として、クリケットほどふさわしいものはないだろう。使い勝手のよい（少し面倒だが）複雑機構を搭載しているだけでなく、重厚な歴史を感じることができる。この50年代のモデルは、1947年にデビューしたオリジナルのクリケットケースを使用しており、追加された多くの計器の割には美しくシンプルな文字盤を持っている。1016風の3、6、9の数字の文字盤に加え、黒いミニッツトラック、そして一番外側には、ユーザーがより正確にアラームを設定できるよう、各時間を10分単位で区切った青い目盛りがついている。シャープなケースに収められたこの時計は、それ自体に力強い主張がある。

　そして、この話題の時計に強い親近感を抱いているのは、私だけではないだろうということも指摘しておきたい。トルーマン以来、ジョージ・W・ブッシュを除くすべての大統領は、このブランドから時計を贈られているのだ（彼が悪いわけではなく、当時、このブランドは営業していなかった）。映画スターのランドール・パーク（Randall Park） は、このローズゴールド製でツートンダイヤルの素晴らしいモデルを所有している（今日ご紹介するケースと同じもの）。Strictly Vintage Watchesのチャーリー・ダン（Charlie Dunn）氏は、この最も正確な時計の光り輝く1本をWatch of the Weekに選んだ。最後に、最も重要なのは、紳士的なディーラーであるエリック・ウィンド（Eric Wind）氏が、コレクションのなかで60年代の（私の理解では、さらに多くあると思う）グレーダイヤルのモデルを持っているということだ。これらの事実から、ショップに足を運び、知る人ぞ知るこの時計をチェックすることをお勧めしたい。

　1957年にデビューしたGPのジャイロマティックシリーズは、エボーシュ・ムーブメントにシンプルで信頼性の高い自動巻き機構を付加して販売された。今回ご紹介するのは、ジラール・ペルゴの刻印と仕上げが施されたETAキャリバー1256を搭載したモデルだ。まず目を引くのは、そのルックス。ケース径33.5mmという控えめなサイズに、強烈なパンチが効いている。手首に装着すると、ワイドベゼルとライトゴールドとサーモンの中間のような華やかなダイヤルトーンのおかげで、その存在感はいっそう増してくる。

　ボンネット（またはケースバック）を覗き込むと、きれいに仕上げられたムーブメントと、巻上げローター全体に筆記体で書かれたクールなGPのサインに引かれた。輸入コード「GXM」は、この時計がもともと米国で販売される予定だったことを示している。これは少し言い過ぎかもしれないが、アメリカの輸入コードは、ベン・クライマーがヴィンテージ・パテックのティファニー刻印入り文字盤について語ったのと同じように、私の心を打つものなのだ。どちらも、希少性という点では大きく異なるが、私がホームと呼ぶマーケットでヴィンテージウォッチが販売されているということは、私にとっては確かに意味があることなのだ。今、私はジラール・ペルゴの米国輸入コードとティファニーの刻印が入ったパテックを比較した？　そう、確かにした。

　この時計はシンプルで頑丈な時計で、手に取り着用すると、明らかによくできているとわかる。特に文字盤の保存状態がよく、私がこの時代のドレスウォッチに求める特徴である。文字盤と針の夜光が元々無いことも手伝ってか、とても綺麗な状態だと言える。HODINKEE Shopで写真と詳細を見ていただきたい。

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