Introducing H.モーザー　レッドゴールドのストリームライナー・トゥールビヨン ベンタブラック®︎（編集部撮りおろし）

Photos by Kasia Milton

　モーザーの野心的な革新者たちは、2018年のパーペチュアル・ムーン・コンセプトから今年のWatches & Wondersにおける非常にゴシックなストリームライナー・フライバック クロノグラフ “Blacker Than Black”まで、いくつかの時計にベンタブラック®︎を使い、発表してきた。そして今回、オニキスの色合いと非常に魅惑的なレッドゴールドを合わせたストリームライナー・トゥールビヨン ベンタブラック®︎で、彼らは漆黒に戻ってきた。

　クラシックなストリームライナーのケースと一体型のブレスレットは、ローズゴールドやピンクゴールドに似た5Nレッドゴールド製で、銅の含有量がやや多く、より赤みのある色合いをしている。サテン仕上げとポリッシュ仕上げのレッドゴールドをミックスしたケースとブレスレットは、ダークなダイヤルとの豊かなコントラストを演出する。モーザーのプレスリリースよると“角度によって、ベンタブラック®︎の上に見え隠れする ”というレッドゴールドのインデックスが無限の黒を分断している。私はこの時計を手に取り貴重な数分間を過ごし（hands-onとは違うが）、この理論を検証するためにあらゆる角度から時計を見たわけではないが、このインデックスはかなり印象的だ。

　主役は間違いなく6時位置のミニッツフライングトゥールビヨンだ。このトゥールビヨンは針と同様に目の錯覚を利用し、ダイヤルの下半分に浮かんでいるように見える。搭載される自動巻きCal.HMC 804は、モーザーの関連会社であるプレシジョン・エンジニアリング社製のもので、精度を高めるためにダブル・ヘアスプリングを採用している。40mmと大きめだが、印象的なダイヤルデザインと重厚なメタル構造により、見ることと身につけることに感謝したくなるような時計に仕上がっている。

　この時計は私の大好きなものをふたつ、ブラックダイヤルとローズ/レッド/ピンクゴールドを組み合わせたものだが、私が普段避けているもの、つまり複雑機構と高度に専門化したデザイン要素を表す用語である“めんどくささ”が含まれている。ドレスウォッチは好きだ。時間を守ったことのない私に、ミニッツトゥールビヨンが必要？　しかしこのモデルでは、それはまさに催眠術のようなものだ。静かなダイヤルの上で、これほど小さく、これほど見事に作動し、思わず引き込まれてしまうのだ。トゥールビヨンをとおして、この時計を前にしている見物人（私の場合はダニー）の驚く顔が目に浮かぶようである。

　レッドゴールドはヘビーで40mmは決して小さくはないが、シンプルなデザインのため、この時計に派手さは感じられない。トゥールビヨンは技術的な驚嘆に値するため、そこに目が行きがちだが、ダイヤルの深み、インデックスの輝き、そしてよくできたブレスレットも同様に注目すべきものだ。モーザーがベンタブラック®︎を使うのは自然なことだが、少し意外な進化を遂げたともいえる。ストリームライナーコレクションは、モーザーがクラシックな一体型ブレスレットのデザイン（通常はステンレススティール）にひとつかふたつ外したデザインチョイスを投入し、技術的な革新をもたらした。主流とは言えない色合いの貴金属に傾倒する選択は、私たちがモーザーに期待する小気味よさを感じさせる。

　1677万5000円（税込）という価格のため、この記事と同じように“私のもの“と言えるかはわからないが、革新的で目に優しいものを求めるこのブランドの裕福なファンは、これ以上探す必要はないだろう。

ブランド： H.モーザー（H.Moser & Cie.）
モデル名： ストリームライナー・トゥールビヨン ベンタブラック®︎（Streamliner Tourbillon Vantablack®︎）
型番：6804-0400

直径： 40mm
厚さ： 12.1mm
ケース素材： 5N レッドゴールド
文字盤色： ベンタブラック®︎
インデックス： 5N RG
夜光： グロボライト®︎インサート
防水性能： 12 気圧
ストラップ/ブレスレット： フォールディングクラスプ付きRGの一体型ブレスレット

キャリバー： HMC 804
機能： 時・分表示
直径： 32mm
厚さ： 5.5mm
パワーリザーブ： 72時間
巻き上げ方式： 自動巻き
振動数： 2万1600振動/時
追加情報： フライングトゥールビヨン

価格： 1677万5000円（税込）
発売時期： 9月発売予定
限定： 通常ライン