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Photos by Kasia Milton
我々が知っていること
1854年に創業したルイ・ヴィトンだが、同社の時計部門はちょうど20年前、2002年に発表されたタンブールコレクションからスタートした。ルイ・ヴィトンは時計製造の分野で“正式な”スタートを切ってから20周を迎え、そして最も認知度の高いケースデザインの20周年を記念して、タンブール トゥエンティ リミテッドエディションが発表された。
この新作は200本の限定生産で、タンブールの真髄ともいえるケースシェイプにサンバーストブラウンダイヤルを備え、ゼニスのエル・プリメロをルイ・ヴィトン仕様に変更したクロノグラフを搭載している。
今回のリリースは、タンブールケースにスポットを当てたもののため、それについて少し話をしよう。タンブールケースは、常に精巧でバロック的な美意識を持つ。その複雑な構造は太鼓の形(タンブールはフランス語で太鼓の意味)からインスピレーションを得ており、ベゼルからケースバックにかけて一貫して丸みを帯びたテーパー形状になっている。
ルイ・ヴィトンが時計製造に進出した最大の理由は、社名が12文字であるため、アワーマーカーとして使いやすいからだと、私は半分確信している。タンブール トゥエンティでは、ルイ・ヴィトンの社名がケースサイドの滑らかで広い面積の最上部に記されており、それぞれの文字がダイヤルのアワーマーカーと一直線に並ぶように配置されているのだ。ルイ・ヴィトンのブランドに対する情熱は、1896年にルイ・ヴィトンのひとり息子であるジョルジュが初めて開発した有名なモノグラムロゴを中心に構築されている。
タンブールケースは、そのどっしりとした形から、ルイ・ヴィトンの複雑機構に関する実験の場ともなってきた。このデザインを手がけた伝説の時計師ミッシェル・ナバス(Michel Navas)氏によれば、スピン・タイムは当初、外部の意見を取り入れずに開発されたが、最初のプロトタイプの製作を終えたあと、パートナーとなったエンリコ・バルバシーニ(Enrico Barbasini)氏とともに、このシステムがブランドの特徴あるケース形状に完璧にフィットすることに気付いたそうだ。
「スピン・タイムのムーブメントはかなり厚みがあり、ホイールやキューブなど立体的な構造になっています」と、今年初めに話をしたときにナバス氏は語ってくれた。「プロトタイプはタンブールの形をしていました。だから、当時ルイ・ヴィトンに連絡して提案したんです。そして、彼らはそれを気に入ったのです」
これが、ナバス氏、バルバジーニ氏、そしてルイ・ヴィトンとの関係の始まりだ。2009年にタンブールコレクションにスピン・タイム機構を採用したのち、2011年にはふたりのハイコンセプトムーブメントメーカー、ラ・ファブリック・デュ・タン(La Fabrique du Temps)を買収。現在はルイ・ヴィトン高級時計部門の中核を担っている。ラ・ファブリック・デュ・タンを買収して以降、ミニッツリピーターや、トゥールビヨン(本当に数多くのトゥールビヨン)、スプリットセコンドクロノグラフ、そして数々の賞を受賞した、人生について考えさせられるハイコンセプトなジャックマール(機能的オートマトン)機構まで、タンブールコレクションに加わっている。
新作のタンブール トゥエンティは、もう少しシンプルなデザインだ。ゼニスのクラシックなハイビート一体型自動巻きクロノグラフムーブメントを搭載し、LV277のトレードマークが入った22Kピンクゴールドのローターを備えている。ほかにどんな特徴があるだろうか? ルイ・ヴィトンの“LV”モノグラムがあしらわれている。モノグラムといえば、このタンブール トゥエンティは、革張りのルイ・ヴィトンのミニチュアトランクのなかに納められており、この記事のために一緒に撮影することができた。
この時計は合計200本の限定生産で、ルイ・ヴィトンのブランドブティックでのみ販売され、価格は233万2000円(税込)だ。
我々が思うこと
今年いちばんの収穫といえば、ジュネーブ郊外にある、ミッシェル・ナバス氏とエンリコ・バルバジーニ氏のダイナミックなデュオが率いるルイ・ヴィトンの高級ムーブメントを製造するラ・ファブリック・デュ・タンを訪問できたことだ。その訪問をもとに私が明らかにしようとしたのは、ナバス氏とバルバジーニ氏が、長い歴史と同業者への広い影響力を持つ、時計製造における真の巨人であるということである。彼らの現在の仕事は、ルイ・ヴィトンの時計製造の名を、レザーグッズ、ラゲージ、プレタポルテ、そしてフレグランスといったルイ・ヴィトンの主力商品群と並ぶ高級品として確立させることにほぼ集中している。
2000年代後半にナバス氏とバルバジーニ氏がルイ・ヴィトンに入社したのは、このタンブールケースのデザインに魅せられたからだ。そして、そのプラットフォームが、さまざまな複雑機構に対応できる柔軟なものであることは注目に値する。タンブール トゥエンティ リミテッドエディションを理解するには、ルイ・ヴィトンの原点、つまり2000年代初頭、ルイ・ヴィトンの時計製造が、ETAやゼニスといったメーカーから供給されるムーブメントに依存するエタブリスールとしての側面が強かったころに立ち返ることが最もいい方法だと思っている。
サンバーストブラウンのダイヤル、ハイライトイエローのアクセント、そしてツイステッドラグなど、タンブール トゥエンティ リミテッドエディションは、ルイ・ヴィトンの時計製造における最初期の時代に回帰するようなモデルだ。しかし、この時計はタンブールケースのデザインの重要性を強調するものでもある。ルイ・ヴィトンがいかに時計づくりの手法を進化させても、タンブールは変わることがないのだ。
基本情報
ブランド: ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)
モデル名: タンブール トゥエンティ(Tambour Twenty Limited Edition)
直径: 41.5mm
厚さ: 13.2mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ブラウンサンバーストダイヤル
インデックス: アプライド、アラビア数字とバトン
夜光: あり。スーパールミノバ
防水性能: 100m
ムーブメント情報
キャリバー: LV 277(エル・プリメロベース)
機能: 時・分表示、スモールセコンド、日付表示、クロノグラフ
パワーリザーブ: 50時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時
石数: 31
クロノメーター: なし
追加情報: 22Kピンクゴールドローター
価格 & 発売時期
価格: 233万2000円(税込)
発売: ルイ・ヴィトンブティックにて
限定: あり。世界限定200本
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ラ・ファブリック・デュ・タンとルイ・ヴィトンのハイウォッチメイキングについては、オンラインで詳しく知ることができます。
ルイ・ヴィトンはLVMHグループの一員です。LVMH Luxury VenturesはHODINKEEの少数株主ですが、編集上の完全な独立性を維持しています。