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本稿は2018年6月に執筆された本国版の翻訳です。
時計コレクションにはさまざまなやり方がある。セイコー5のようなものから始める人もいれば、お金を貯めてすぐに沼にはまる人もいる。そんななか、我々がよく聞かれる質問のひとつに、“初めてのヴィンテージウォッチは何を買えばいいのか?”というのがある。これはなかなかに難しい質問だが、秀でた回答がたくさんあるのはいいことだろう。しかしベストな回答と言えるものは、いくつかの重要な基準に合致する。まずは、最初に買うヴィンテージウォッチは手頃な価格であること、またウォッチマニアの信頼を得ていて誰にでもそれを話したくなるものであること、そしてコレクションの拡充・進化に合わせて、誇りを持って身につけられるものがいいということ。今回は自身が理想とするファーストヴィンテージウォッチは何か、各エディターに選んでもらい、非常に優れた選択肢として用意してもらった。
カーラ・バレット – ロレックス デイトジャスト
当然のことながら、わたしの初めてのヴィンテージウォッチはロレックス デイトジャストだ。なぜかって? ヴィンテージのロレックス デイトジャストほど身につけやすくて普遍的で、長く愛用できるものはないからだ。1960年代、70年代、80年代までの製造年や、ダイヤルの色、インデックスのレイアウトが異なる、素晴らしい個体を見つけることができる。わたしからのアドバイスは、オイスターブレスレット付きの1601がおすすめだということ。それを選べば、ホワイトゴールドでできたフルーテッドベゼルとインデックスという追加のボーナスも手に入る。この時計は36mmのケースサイズとデザインを備えたジェンダーニュートラルなものでもあり、わたしが選ぶレディスモデルのナンバーワンだ。確かに値段は高めだが(高額ではないヴィンテージウォッチを教えて欲しい)、自分自身へのご褒美にいかがだろう。
コンディションやダイヤルの色によって異なるが、おおよそ2000~3000ドル(現在の相場で約28万6000円~約42万9000円)。
ジョン・ビューズ – IWC Cal.89
私はここ5年ほど、ゴールド製IWC Cal.89を所有しており、今でも愛用して楽しんでいる。20世紀に誕生し、大衆向けの優れた手巻きムーブメントのひとつであったIWC Cal.89の名を冠したこのモデルは発表当時、入手しやすい量産型の腕時計だった。現在はステンレススティール製で1000ドル強(現在の相場で約14万3000円)、18Kのローズゴールド製だと3000ドル(現在の相場で約42万9000円)以下で手に入る。クロノメーターそのものはないが、かなり厳格な精度内で時間を刻むシンプルなムーブメントを載せた、シンプルな時計である。なかでもおしゃれで凝ったラグを使用した少し派手なバージョンを探して見て欲しい。
ゴールド製で約3000ドル(現在の相場で約42万9000円、SS製はそれ以下)。
ジャック・フォースター – オメガ 自社製30mmムーブメント スティール製
これらの(30mm)ムーブメントは、これまでに製造された時刻表示のみの手巻きムーブメントのなかでも最高品質にあたるが、私の言葉を鵜呑みにする必要はない。またロジャー・スミス(Roger Smith)のお気に入りのムーブメントであり、時計職人の立場からすれば夢のようなものだとも彼は語っている。私はロジャー・スミスではないし、これからもそうなるつもりはないが、かつて趣味レベルで時計づくりをしていたことがあり、そのときに30mmムーブメントを扱ったことがある。30T2RG、30T2RGSC(センターセコンド)、Cal.266を含む、30mm径のムーブメントは実際にほとんど自分で組み立てることができるようで、定期的にケアをすれば基本的には永遠に使用ができる。唯一の注意点は、オリジナルの状態でいいものを見つけるにはある程度探索しなければいけないということだ(特にケースは耐湿性があったわけではなく、リダンダイヤルだったり、磨きすぎて瘦せたケースも数多く出回っている)。ただ少しでも探し回れば、現代における時計製造の偉大な、そしてまだ手頃な古典的作品のひとつを手に入れることができるはずだ。
コンディションによって異なるが、おおよそ1000~2000ドル(現在の相場で約14万3000円~約28万6000円)。
ジェームズ・ステイシー – スキンダイバー
明らかにこれは特定のモデルというより時計ジャンルのうちのひとつだが、それでも少し我慢してお付き合いを。“スキンダイバー”とは、60年代のスキューバダイビングブームのなか、より安価でカジュアルな代替案として開発された、身につけやすいダイバーズウォッチという位置づけだ。薄くて傾斜が設けられた約38mmのSSケースに角張ったラグ、フラットなフロントシェイプなどが特徴で、これらのケースはスクワーレ(Squale)やEPSA社などの少数の企業によって生みだされた。多種多様なブランドから発売され、僕のシルヴァーナ(写真) のようにあまり注目されないものから、アクアスター ディープスターのように信じられないほど聖杯にふさわしいものもある。いずれにせよ、スキンダイバーのケースは重要なポイントであり、快適さ、プロポーション、カジュアルでスポーティな魅力を与えてくれる。NATOストラップと相性がいいが、ヴィンテージのトロピックラバーであればもっと相性がいい。スキンダイバーはヴィンテージウォッチワールドに入るための完璧な入門機である。
ブランドによって異なるが、約600ドル(現在の相場で約8万6000円)から。
スティーブン・プルビレント – ユニバーサル・ジュネーブ ポールルーター デイト
これは個人的な感情によるものです。僕は大学院を卒業する頃、卒業祝いにヴィンテージウォッチを手に入れたいと考えていました。ほかならぬジェラルド・ジェンタがデザインしたスペシャルなものが、比較的手ごろな金額(ええ、そのあと少し値上がりしてしまいました)で手に入るとわかったとき、とても納得しました。さらにこの時計が、実はジェンタが学校を卒業して最初にデザインした時計であると知ったとき、もっとこの時計が魅力的なものに映りました。それから6年経った今でも、僕はこの時計を毎週のように身につけており、初めて買ったときよりもずっと愛着が湧いています。またこの時計は尊敬する高名なコレクターたちから多くの称賛を得て、その来歴に恥じないよう、できる限りのことを学ぼうと励まされた時計でもあります。ヴィンテージゲームに興味のある方には、ぜひおすすめしたいです。
コンディションや仕上がりによって異なるが、約2000ドル(約28万6000円)。