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クイック解説
香港のシティチャンプ・ウォッチ&ジュエリー・グループ・リミテッドが保有していたコルムが、MBOによってスイス資本に復帰したと報じられたのが2025年5月のこと。その際、来日していた新CEO、ハソ・メフメドヴィッチ(Haso Mehmedovitch)氏にHODINKEE Japanでもインタビューを行っていたが、いよいよ今年から彼の指揮によるコレクションが発表され始める。4月のWatches & Wondersにはブランドの今後の方向性を示すモデルも発表されるようだが、まずはその露払いとして、メテオライトダイヤルのアドミラル 38 オートマティックがこの2月に届けられた。立ち位置としては、2024年にメテオライトダイヤルのモデルとして登場して人気を博した42mm径のアドミラル 42 オートマティックの小径版となる。なお、本作の企画を本国に打診したのは、日本のチームであったという。
今回のメテオライトモデルにも、ウィドマンシュテッテン構造と呼ばれる網目状の独特なパターンを見ることができる。アドミラルに特徴的な国際海洋信号旗をフランジに配置し、バー型のインデックスを配置したダイヤルデザインは、従来のアドミラル 38 オートマティック同様だ。ただ、ケースおよびブレスレットにはグレード5チタンを使用しており、過去の38mm径モデルと比較しても大幅に軽量化がなされている。また、施された仕上げの質感もよく、ポリッシュもステンレススティールと遜色ない輝きを放つ。
本作で特徴的なポイントとして挙げられるのが、ベゼル下にインターレイヤーとして挟み込まれた“ガラス繊維強化ポリアセタール複合材”である。エンジニアリングプラスチックの代表格であるポリアセタールにグラスファイバーを配合した素材で、軽量ながら荷重に強く、変形しにくいという特性を持つ。カメラなどでも、耐久性が求められる内部のギア、レバー、ハウジングなどに使用されており、ブランド曰く割れやすいメテオライトを衝撃から保護する役割があるという。本作では目に見える形で使用されており、透明感のある乳白色のパーツが程よいカジュアルさと、チタニウムウォッチらしい軽快さを演出している。
ムーブメントには、セリタ社のCal.SW300をベースとするCal.CO 082を採用。ベースムーブメントの設計が非常に薄型であるため、アドミラルのようにダイヤル上の装飾が多く、厚みが出やすいモデルに取り入れられてきた。コルムではそこにオリジナルの回転垂と仕上げを施して使用している。振動数は2万8800振動/時で精度的にも安定感があり、約42時間のパワーリーザーブを保持。ケースバックは12方向に刻みの入ったねじ込み式で、10気圧防水を有している。ちなみに写真の右上に見えているとおり、ブレスレットは交換の際に工具のいらないイージーチェンジャブル式だ。
カラーは2024年にもあったグレーと、今回初となるベビーブルーの2色で用意。素材が演出する見た目のライトさを、より後押しするようなセレクトだ。ブレスレットもグレード5のチタン製で、両サイドのコマがサテン、中ゴマがポリッシュ仕上げとなっている。
価格はともに187万円(税込)で、2月11日(水)本日より販売が開始される。
ファースト・インプレッション
まずは手堅いスタートに見える。2024年に評価を得たメテオライトウォッチを、もうひと回り小さなサイズで──というアジア市場の声に応えたモデルだ。新体制の船出としてはやや保守的にも映るが、ブランドは今年の山場をWatches & Wondersに定めているという。本作はまさに、その転換期を象徴する1本である。
だが、少し語らせてもらうなら、隕石をダイヤルに初めて用いたのはコルムである、というのが定説だ。初お披露目は1986年のEuropean Watch Clock and Jewellery Fairである。もちろん、それ以前にも依頼を受けた時計師が一点ものとして製作していた可能性は否定できない。とはいえ、カタログに掲載し、一般の場へ向けて公開したのはコルムであったようだ。もともとコインウォッチなどで“厚みのあるものを薄く削る”技術に長けていたことも、当時の挑戦を後押しした背景にあったのかもしれない。2024年の42mm径メテオライトモデルは、まさにその偉業に敬意を表して企画されたものであり、今回の小径モデルもそのDNAを受け継いでいる。
昨年のインタビューでハソCEOは、「まだコルムを知らない、あるいはその魅力を十分に理解されていない方に向けたアプローチにも、今後は一層力を入れていきたい」と語っていた。新体制の第一作としてメテオライトウォッチを、しかもブランドのアイデンティティであるアドミラルとして発表したことには、そのメッセージが込められているのかもしれない。その真意が見えてくるのはWatches & Wonders後になりそうだが、できることなら直接確かめてみたいところである。
ちなみに今回の2作では、個人的にはベビーブルーが気に入った。メテオライトの色味を生かしたグレーも捨て難いが、ベビーブルーは白いインターレイヤーとの相性がよく、爽快さとオリジナリティを両立している。今回着用したカーキのアウターやブラックのアウターとも合わせやすく、インパクトのわりに身に着けやすそうだ。
一方で、メテオライトダイヤルやフルチタンケースという要素を備えてはいるものの、200万円近いプライシングとなると現在の市場には競合が多い。ムーブメントのマニュファクチュール化なども、視野に入れる必要が出てくるかもしれない。コルムが今後、どこに強みを置き、どのように価値を正当化していくのか。ハソCEOは自社サイト上で「スイス時計製造におけるコルムの正当な地位を取り戻す」と掲げているが、その言葉がどのようなクリエイションとして結実していくのか、期待は高まるばかりである。
基本情報
ブランド: コルム(CORUM)
モデル名: アドミラル 38 オートマティック
型番:A082/04544(グレー)/A082/04545(ベビーブルー)
直径: 38mm
厚さ: 8.95mm
ケース素材: グレード5チタン(インターレイヤーに高耐久複合素材を使用)
文字盤色: メテオライトにグレー、べビーブルーの着色
インデックス: アプライド
夜光: スーパールミノバ®︎
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット: 両開きDバックル付きグレード5チタン製ブレスレット
ムーブメント情報
キャリバー: CO 082
機構: 時・分・秒表示、デイト表示
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
クロノメーター認定: なし
価格 & 発売時期
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