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2021年はグリーンウォッチの年だったが、ライムからパインまでのダイヤルカラーだけではない。今年は、グリーンダイヤルがたくさん生まれただけでなく、時計業界におけるサステナビリティの重要なムーブメントのひとつとなったようだ。
機械式時計は本質的に持続可能な製品であり、数十年以上、さらには元の所有者よりも長生きすることを目的としている。時計メーカーは、このコンセプトをさらに推し進め、太陽エネルギーやリサイクル素材などの技術や手法を用いて、可能な限りサステナブルな製造方法を取り入れようとしている。
かつてフェイマスフロッグが言ったように、環境に配慮することは必ずしも容易ではない。ラグジュアリーと永続性に満ちた業界にとって、リサイクルボックスをあさって新しい製品を作ることは、ブランドにとってはふさわしいことではないかもしれない。しかし、時代と消費者の嗜好は変化しているのだ。
今年のアースデイに伴い、2021年に発売されたサステナブルな時計製品をご紹介する。
カルティエ 「タンク マスト」ソーラービート™️
どうしてもクォーツ式の時計を作らなければならないのなら、太陽の力を借りればいい。カルティエの新作「タンク マスト」ソーラービート™️は、まさにそれを実現した。クールなグリーンテクノロジーを、クラシックなシェイプの時計に詰め込んでいる。
リューズを回したり手首を振ったりすることでエネルギーを得る機械式時計は、本質的に環境に優しいが、クォーツウォッチは長期間、作動させるために使い捨ての電池に依存してきた。カルティエのソーラービート™️は、消費者がクォーツに期待する精度と価値を提供すると同時に、最終プロダクトに魅力的なグリーンアプローチを提供する。ここで紹介するサステナビリティのテーマに沿ったカルティエのストラップは、食品産業用に栽培されたリンゴの端材を使って製造されている。
カルティエ 「タンク マスト」ソーラービート™️: 28万8200円 (スモール)、 30万3600円(ラージ)(全て税込)
パネライ サブマーシブル eLAB-ID & ルミノールマリーナ eSteel
パネライはサステナビリティをWatches & Wondersの主な焦点として、98.6%リサイクル素材を使用した30本限定のコンセプトウォッチをサブマーシブルコレクションで発表した。パネライは、これまでで最もリサイクルされた時計であるサブマーシブルのコンセプトモデルと共に、サプライヤーのリストを公開し、各企業が最終製品にどのように貢献したかを発表した。この意図的なオープンソース化は、他の時計メーカーにも同様のことをしてもらい、サステイナビリティの向上に繋げたいという思いが込められている。人気と知名度の高い高級時計メーカーの、たった1つのモデルが与える影響は、結局のところそこまでしか及ばないのだ。
商業ベースのものとして、パネライは新合金であるeSteelを発表し、リサイクル素材を使用した時計を商業的にリリースすることを可能にした。今年10月に発売されるルミノールマリーナ eSteelは、重量比で98.6%のリサイクル素材を使用しているわけではないが(89gの部品にリサイクル素材が使用されており、総重量の58.4%を占める)、高級時計メーカーにとって循環型製造がより大きなスケールで実現可能であることを示している。
パネライ サブマーシブル eLAB-IDは30個限定で2022年発売: 745万8000円(税込)、ルミノールマリーナ eSteel: 105万6000円(税込)
スウォッチ ネクスト バイオセラミック ビッグボールド
1983年に発売されたスウォッチは、クォーツ、プラスチック、そしてスイスの製造業が共存できるだけでなく、繁栄することを実証するものだった。慣れ親しんだ方法で時計を作ることは、スウォッチを世に広めた考え方ではなかったし、この38年間、スウォッチはそのような方法でブランディングされてきたわけでもない。最近のスウォッチはというと、バイオ由来の素材を使って時計を作ることに注目している。
それは数週間前にカプセルコレクションとして発表されたバイオセラミックで、スウォッチはセラミック(3分の2)とバイオ由来のプラスチック(3分の1)を混合した時計を作り上げた。プラスチック部分は、ヒマワリの種を使って作られている。シンプルなブラックとホワイトのほか、ブルー、ピンク、グレーがあり、価格はそれぞれ1万5400円(税込)だ。この時計はサステナビリティにはお金がかからないことを証明している。
スウォッチ ネクスト バイオセラミック ビッグボールド: 1万5400円(税込)
IWC TimberTexストラップ
Watches & Wondersの直前に、IWCはTimberTexと呼ばれる紙ベースの素材で作られたサステナブルなストラップのコレクションを発表した。イタリアの天然植物繊維を80%使用し、天然染料を使って手作りされたTimberTex製ストラップは、IWCのポルトギーゼとポートフィノの一部のモデルで選択することができる。
IWCは2018年、ヴィーガンかつグリーンな素材を見つけることを目標に、レザーストラップに代わる高品質な素材の検討を開始した。ストラップに使用されている植物繊維は管理された森林や樹木の農場から、ステッチやライニングはリサイクル素材から作られている。
最も興味深いのは、TimberTexストラップが耐水性を備えていること。耐水性は、一般的なレザーストラップでは主張できないものだ。サステイナビリティの面でも評価できる。IWCのTimberTexストラップには、ブルー、ブラウン、ブラックの3色が用意されている。
IWC TimberTexストラップ: 1万8700円(税込)
スカーゲン アーレン・ナチュラルズ
アースデイに合わせて、スカーゲンのアーレン・ナチュラルズコレクションに新しいコレクションが登場した。ケースには50%以上のリサイクルスティールを使用し、コルクまたは100%リサイクルペーパーのダイヤル、ストラップにはクワ、リンゴ、コルク、コットンにLWGヌバック(レザー・ワーキング・グループと呼ばれる、国際団体の評価を受けたタンナーで生産されたプレミアムレザー)を裏打ちしたものを使用している。このストラップは、スカーゲンの従来のレザーストラップと同じ構造だが、スカーゲンが“Pro-Planet素材”と呼ぶものを初めて採用している。スカーゲンによれば、コルクやリンゴを使用したレザーの代替ストラップにも人工素材が使用されているとのことだ。クォーツ式の3針時計、アーレン・ナチュラルズには、40mmと36mmのサイズがある。
スカーゲン アーレン・ナチュラルズ: 1万8700円(税込)
ボーナス:HODINKEE ShopのAmagohストラップ
アースデイにちなんで、HODINKEE Shopはヴィーガンの“レザー”ストラップコレクションを発表した。Amagohコレクションは、5つのカラーで構成されており、それぞれ米国の国立公園の名前が付けられている。キラウエア(ブラック)、カールズバッド・カヴァーン(ダークブラウン)、メサ・ヴェルデ(ミッドブラウン、上)、グレイシャーベイ(ブルー)、デスヴァレー(レディシュクレイ)の5つだ。この新しいストラップは、パイナップル植物の繊維のみを使用した真のヴィーガン製品で、100%生分解性だ。このクールなパイナップルストラップがどのように作られているか、詳しくはHODINKEE Shop Journalの記事をチェックして欲しい。
HODINKEE ShopのAmagohストラップ: 110ドル(約1万2000円)