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Editors' Picks 親友の結婚式につけて行きたい腕時計

結婚する彼らに対して、私たちも真剣に臨むべきだろう。

世界の多くの地域では、夏の長く晴れわたった日々がまもなく終わりを迎えようとしている。しかし結婚式のシーズンはまだ花盛りだ。そしてその結婚式が私たちにとって親しい人々のものであれば、絶対に見逃せないイベントである。多くの場合、新たな人生の章が始まるこの特別な日に最善を尽くして身だしなみを整え、祝福の意を表する義務があると感じるものだ。またその特別な日に選んだ腕時計を通じて、その経験を記憶に留めることができる。

 ではさっそく、HODINKEEチームのメンバーが親友の結婚式につけたい腕時計(そしてその理由)を紹介しよう。

アンオーダイン(AnOrdain) モデル3/トニー・トレイナ

 もしロレックスや結婚式のギフトリストに必ず載っているあの悩ましいキッチンエイドより高価なものを私が友人の結婚式に私が身につけていたら、Netflixでトム・ブレイディ(Tom Brady)がボロクソに言われているようにからかわれるだろう。しかし柔術のインストラクター(トム・ブレイディの元妻、ジゼル・ブンチェンのインストラクターのことだろう)に何を言われようと、私は結婚式に腕時計をつけていくつもりだ。

 私にとって、この最も神聖な日の腕時計選びで最善のシナリオは誰にも気づかれないことである。誰にもどこの時計か聞かれないことだ。この日は私や私の腕時計のための日ではなく、幸せなカップルのための日なのだから。しかし“時計好き”として、もちろん誰かにいつかは聞かれるだろう。たとえ、それが新婚カップルにちなんで名付けられた特製カクテルを何杯か飲んだ後のことだとしても。

 そのときが来てしまったら、“ロレックス”や”カルティエ”などおどおどしながらに答えるだけではなく、もう少しおもしろい話をしたいと思っている。時計と人々についての簡単な物語を語り、なぜそれを仕事にしているのかを伝える。それはもしかしたら、誰かにとって腕時計がただの派手で高価な手首飾り以上のものであるということを伝えるきっかけになるかもしれない。

 このような目的に合ったマイクロブランドがいくつか頭に浮かぶが、アンオーダインはその筆頭だ。スコットランドのこのメーカーは過去10年間にわたって職人技と職人を支え、特にエナメル加工に重点を置いてゆっくりと時間をかけて成長してきた。「エナメル加工に限らず、私たちがほかのブランドとは違い特別である理由はクラフトやウォッチメイキングへのアプローチにもあります」と、最近ヒース(Heath)氏は私に語った。これはアンオーダインの最新作、モデル3におけるメソッド・スタジオ(Method Studio)とのコラボレーションによって示されている。

 メソッド・スタジオはスコットランドの真ん中にある古い森林委員会の木材置き場に位置し、昔ながらの方法で木箱を製造している。アンオーダインはこれらの箱をインスピレーション源に、美しい波模様を持つエナメルダイヤルを作り上げた。これはなかなかどうしてからかいにくい話じゃないか。

オーク&オスカー(Oak & Oscar) オルムステッド 38/リッチ・フォードン

 時計業界で働いていると、結婚式に出席した際に必ずといっていいほどどんな時計をつけているのかと興味を持たれる。私もこの状況に何度も直面し、あることに気づいた。時計に興味がない人々はニッチなヴィンテージロレックス(たとえばRef.1016のギルトダイヤル)や、あまりにも“ラグジュアリー”なものについての話を聞きたがらないということだ。個人的にパテックのRef.5004Pを結婚式につけたいとは思うが、その選択をほかの人々が喜んでくれるとは限らない。「腕に何をつけているの?」という質問に対する答えが、A)比較的手に取りやすく、B)多くの“普通”の人たちが聞いたことのないブランドのものであるときに、最も興味深い会話が生まれる。親友の結婚式、つまりこのような会話が多く生まれるであろうイベントに最適な時計はオーク&オスカーのオルムステッドだ。

 オーク&オスカーのデザイン言語はややツールウォッチやフィールドウォッチ寄りだが、私はシンプルな選択肢ならスーツにも十分対応できると常々感じている。たとえば親友が夏に結婚することを想像してみよう。屋外での結婚式なら、オルムステッドは十分に適している。

 オルムステッドの物語は非常に魅力的だ。ヴィンテージロレックスのダイヤルについて2年間しか生産されなかったと長々と話す代わりに、シカゴ(私の故郷)を拠点とし、友人(創業者のチェイス・ファンチャー)が運営しているブランドを紹介することができる。オーク&オスカーのブランドストーリーは普段あまり会わない相手とでも共有したい話であり、今日でも5年後でも、いい時計を探しているならおすすめしたい製品である。

カルティエ(Cartier) タンク ルイ カルティエ(グリーン)/ヴィック・オットマネリ

 私の親友と私はしばしば自分たちを好きな色、赤と緑で表現することがある。まるで任天堂の象徴的な兄弟、マリオとルイージのように、私たちは家族そのものだと思っている。私たちはお互いに最も困難なときは支え合い、そして最も幸せなときはともに祝うのだ。

 彼女の人生でとびきり幸せな瞬間のひとつになることを願い、私はゴールドケースにグリーンのストラップを持つ、グリーンダイヤルのタンク ルイ カルティエをつけて行くつもりだ。お祝いの場で、彼女がこの時計の赤いモデルをつけてくれることを期待している。そうすれば私たちはおそろいになる。いつかこの時計をふたりで購入し、私たちの友情を記念するのが私の夢だ。それを身につけるのに、これ以上の機会は思いつかない。

グランドセイコー(Grand Seiko) ヘリテージ コレクション 44GS SBGW297(手巻き式)/ジェームズ・ステイシー

 結婚式にふさわしい腕時計(たとえ自分が結婚するわけでなくても)を考えるのは、楽しい思考実験だ。その時計は現代の結婚式で必要とされるさまざまなドレスコードに対応できるほどの汎用性を持ちながら、特別な場面を祝うにふさわしいものでなければならない(ただし、あまりにも特別すぎて主役である親友よりも目立ちすぎないように)。これらの観点から、私の頭にはすぐにグランドセイコーが浮かんだ。このブランドは“控えめで特別、そして派手すぎない”時計をつくるのが非常に上手いからだ。

grand seiko

 堂々としていて、着実に成長を続けているグランドセイコーのコレクションから僕が選ぶのはヘリテージ コレクションの44GS SBGW297だ。2023年に発表されたモデルだが、最近ようやくニューヨークのマディソン・アベニューにあるグランドセイコーの新しいブティックで、この質感ある白文字盤モデルを直接見る機会を得た。36.5mmの直径と11.6mmの厚さでSBGW297はドレスウォッチとしてのプロポーションを持ち(44GSモデルのなかで径は最小)、SS製である。そのシャープなホワイトダイヤルには本当に美しい放射状のパターンが施されており、インデックスと針がその舞台上に配置されている。僕はそのダイヤルから目を離すことができなかった。

 何か特別な要素をお求めなら、この44GSモデルは小さくて非常に美しいだけでなく手巻きのGSキャリバー9S64を搭載している。これにより-3〜+5秒/日の精度、2万8800振動/時の振動数、そして72時間のパワーリザーブが実現されている。より特別でドレッシーな選択肢がお望みならば、手巻きのムーブメントはより伝統的でロマンチックな体験を提供するだろう。僕はおそらくレザーストラップを選ぶだろうが、このグランドセイコーには得てしてとらえどころのない“家宝のような魅力”があり、結婚式シーズンにはぴったりだ。

チューダー(Tudor) ブラックベイ 58/マーク・カウズラリッチ

 以前にも友人の結婚式につけたい腕時計について考えたことがある……、ああいや、それは別のEditor's Picksだったかもしれない。

 結婚式につける時計を選ぶ際には、その場の雰囲気や場所、ドレスコードを考慮するべきだと思う。しかし私には億万長者の友人(もしくは億万長者向けの結婚式にふさわしい時計)がいないので、たとえばパテック フィリップ Ref.1518のように過度にラグジュアリーな時計は除外していいだろう。実際、私は信頼がおけるブラックベイ 58を手に取るつもりだ。これは私が初めて“真剣”に購入した時計であり、緊張で胃をキリキリさせながらも長く愛用できるという確信のもとに決断したのだ。私はまだ結婚していないが、結婚式当日もきっとそんな気持ちなのだろうと想像している。

 ドレスコードがどうであれ、この時計はどんなスタイルにも合う。スポーツウォッチをブラックタイでつけるなんて、という人もいるだろうが、私は「もう21世紀なんだから、そんなことは気にするな」と言ってやりたい。ボンドがタキシードにサブマリーナーを合わせ、ポロシャツにも同じ時計をつけているように、私は親友の結婚式でもこのチューダーを自信を持ってつけて行くつもりだ。もちろん、ほかの場所でも同様に。

ジャガー・ルクルト(Jaeger-LeCoultre) 101 レーヌ/マライカ・クロフォード

 これは親友の結婚式なのだから、彼女を差し置いて目立つようなことは一切しないように気をつけなければならない。彼女がその特別な日にどんな時計をつけるのかは知らないが、親友として背景に徹する役割を考えると、私がダブルラップのYG製セルペンティを選ぶのはあり得ない。

 この特別な場では、ジュエリーに近いものに留めるつもりだ。何と言われようとも私はフォーマルな場面では伝統主義者であり、スポーツウォッチは絶対に許されない。そしてこれは仮想の結婚式なので、私はゴールドとダイヤモンドのものを選ぶことにした。ジャガー・ルクルトの101 レーヌはまるでテニスブレスレットのように見える時計だ。全体にジェムセットされているが、それでも控えめな印象を保っている。少しゆるめにつけることで、あえてちょっと無頓着な感じを演出することも可能である。もし誰かがこの小さな文字盤に気づいたなら、話のきっかけにもなるだろう。そのうえ101はエリザベス女王が1953年の戴冠式でつけていたものであり、結婚式の見知らぬゲストとのあいだで英国に関する話題を(私の非常に英国的なアクセントとともに)さらに膨らませることができる。

 小さめの時計ブームには敏感な私だが、自分の手首に小型で繊細な時計を選ぶことはあまりない。しかし101レーヌは時計としては控えめだ。豪華でありながら洗練されており、仮想の人生の一部において採用してもいいと思うようなスタイルである。親友が私に気を遣って、豪華で洗練されたブライズメイド(花嫁のサポート役。式に立ち会うだけでなく、準備段階から花嫁を助ける)ドレスを着させてくれることを願うばかりだ。

パテック フィリップ(Patek Philippe) ゴールデン・エリプス Ref.5738/1R/ジョナサン・マクウォーター

 親友の想像上の結婚式にも、その場にふさわしい時計が必要だ。この仮のシナリオでは、私の親友はおそらく次のふたつのうちどちらかのことをするだろう。秘密の式を挙げて駆け落ちするか(正直、私はこれに賭けている)、もしくはすべてのディテールが完璧に計算された華やかで大規模なパーティを盛大に開催するかだ。その中間はない。したがってこのシナリオを成立させるためには、私は結婚式のゲストとしての空想を後者のストーリーにもとづいて展開する必要がある。

 この仮想世界では本当に全力を尽くしているので、時計も最高のものを手にしなければならない。選ぶべきはほかならぬパテック フィリップ、特にゴールデン・エリプス Ref.5738/1Rだ。もっとも、もしどんな時計でも自由に選べるとしたらケースの寸法がもう少し小さければとは思うが……。それはさておきブラックダイヤルとRGのブレスレットは、間違いなくドレスコードであるタキシードを完璧に引き立ててくれるだろう。パテック フィリップのドレスウォッチは必要なポイントを正確に押さえていて、余計な説明は必要なく、多くを語る必要はない。控えめで洗練されておりエレガントだ。加えてこのRef.5738に特徴的な手仕事によるブレスレットは、確かな存在感を示すための少しの追加要素となっている。

 何年にもわたってエリプスのドレスウォッチに憧れを抱いてきたが、この最新モデルはパテック フィリップのエレガンスの頂点にあり、アーカイブをほうふつとさせるチェーンリンクのブレスレットがこの時計を見たときの感動を最大限に引き上げてくれる。それはまさに結婚式にふさわしく、シックでありながらその場にふさわしい華やかさも演出してくれる。

ノモス(Nomos) オリオン・ネオマティック・ニューブラック/タンタン・ワン

 普段クローゼットで埃をかぶっているブラックタイとそのスタイルを引っ張り出すのに結婚式は最高の機会だが、また次に誰かが結婚するまで出番を待つことになる。だからこそタキシードに合うだけでなく、リハーサルディナーや結婚式の週末に行われる恒例のアクティビティでも素晴らしく見える時計を選ぶべきだと思う。今年の初めに発表されたノモス オリオン・ネオマティック・“ニューブラック”のトリオは、まさにブラックタイにぴったりの時計に見えた。“ブラックタイ”と“時計”という言葉を同列に語るのはおかしいと思う人もいるだろうが、ここは時計サイトだ。どうしても時計は身につけなくてはいけない。

 私はオリオン・“ニューブラック”のゴールドのアクセントが気に入っている。ノモスのカラーパレットは基本的にクールなトーンに寄りがちだが、この温かみのあるゴールドのアクセントが、もともとは非常に冷静な印象の時計をよりドラマチックなものに変えている。これはよく練られた汎用性の高いデザインだ。

 私としてはタキシードに合わせる時計は小振りなものがいいので、36.4mm径のモデルを選びたい。ノモスはこの3つのサイズそれぞれに微妙に異なるゴールドのアクセントを施しているが、個人的にはゴールドのインデックスとダイヤル上に“Neomatik”のゴールドプリントが施された36mm径モデルのデザインが最も優れていると思う。ノモスの典型的なラグのプロポーションと45mmのラグ・トゥ・ラグの寸法を考えると、この時計は私の手首では38mm径に近いサイズ感でつけられるだろう。幸いなことに、8.5mmの厚みはフレンチカフスの袖の下でも問題はないはずだ。

 もっとも重要なのは私が親友の結婚式に出席することであって、注目を集めるためではない。その点でノモスは非常に優れている。これはよく作られたエレガントな時計で、必要なときには背景に溶け込むようになじんでくれる。人の結婚式に白のタキシードを着ていくようなまねを、時計愛好家としてするわけにはいかないのだ。ちなみに同僚の誰かがRM 055 バッバ・ワトソンを選んだりは……、していないよね?