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Business News オーデマ ピゲの前CEO、ベナミアス氏が新たなラグジュアリーグループを率いて復帰。時計事業も展開予定

ベナミアス氏が、ザ・オナラブル・マーチャンツ・グループ(The Honourable Merchants Group)を設立。ラグジュアリーベンチャーとして時計事業も展開予定だ。

フランソワ-アンリ・ベナミアス(François-Henri Bennahmias)氏。10年以上にわたりオーデマ ピゲのCEOを務め、同ブランドの年商を20億ドル(日本円で約3000億円)超へと成長させたカリスマ経営者が、新たなブランドグループの代表としてラグジュアリー業界に復帰することとなった。スイス・ローザンヌで行われた華やかなイベントで、ベナミアス氏はザ・オナラブル・マーチャンツ・グループ(The Honourable Merchants Group)と名付けられた新事業の詳細を発表。同グループは、時計製造を含む多様なラグジュアリーカテゴリーににおけるブランドや製品への投資・開発を行うという。61歳のベナミアス氏は、最大で4つの個別時計プロジェクトを同グループの事業に組み込むべく現在交渉中であると語った。

スイス・ローザンヌで行われたザ・オナラブル・マーチャンツ・グループ発足イベントに登壇したフランソワ-アンリ・ベナミアス氏。

 「ウォッチメイキングの分野に関しては、ひとつでもふたつでも3つでもなく、4つの異なるプロジェクトをまさに今最終調整している最中です。今年中には皆さんに改めてお知らせできる見込みです」と、ベナミアス氏は述べた。これらの時計プロジェクトはそれぞれ独立したものであり、顧客を奪い合うような競合関係にはならないと、イベント前に記者向けて説明した。

 この新たなラグジュアリーグループはベナミアス氏本人を含む4名の個人投資家による出資を受けており、成長と利益の追求にとどまらず、倫理的かつ持続可能な労働環境と製品を創出し、斬新なコンセプトと技術で、クリエイティブな革新の限界に挑むことを目指しているという。「私たちはビジネスの世界を変えたいのです。それが使命です」と、ベナミアス氏は語る。

 オーデマ ピゲの前CEOであるベナミアス氏が着想を得たのはイタリアのラグジュアリーファッションブランド、ブルネロ・クチネリの職場環境と企業構造だったという。イタリアの同社を訪れた際、ブルネロ・クチネリ(Brunello Cucinelli)氏が従業員に敬意を持って接し、企業の枠を超えた活動や興味に時間を割ける職場を目の当たりにしたとのこと。出資者たちもその理念に深く賛同しているというが、彼らの氏名は明かされていない。

 「このプロジェクトに資金を出しているのはいずれも個人投資家であり、プライベートエクイティや投資ファンドではない」とベナミアス氏は強調する。「彼らは長年にわたって私が信頼してきた人々であり、われわれの哲学と運営方針に全面的に賛同してくれているのだ」と語る。

 2012年から2024年までオーデマ ピゲのCEOを務めたベナミアス氏は、家族経営の時計ブランドとその象徴であるロイヤル オークを、トラヴィス・スコット(Travis Scott)、ケヴィン・ハート(Kevin Hart)、レブロン・ジェームズ(Lebron James)など、音楽、エンターテインメント、スポーツ界の著名人との提携により高い知名度を誇るラグジュアリーブランドへと変貌させた。また、APの小売流通網を再構築し、販売の大半を自社ブティックに移行。ブランドと顧客のショーケース兼コミュニティスペースとして機能する“AP House”のコンセプトも導入した。アナリストの推定によれば、在任中に売上は2012年の約6億7000万スイスフラン(当時のレートで約590億円)から、2023年には約23億スイスフラン(当時のレートで約3450億円)へと4倍以上に成長したという。

 ザ・オナラブル・マーチャンツ・グループ(The Honourable Merchants Group)は、ジュエリー、ファッション、プロフェッショナルマネジメント、サービス、アート、ライフスタイルなど多岐にわたる分野において、製品とブランドへの投資と開発を行う予定だ。今回はそのうちのふたつのプロジェクトが発表された。ひとつ目はアヴァロン(Avalon)というサービス企業で、顧客のアート、ジュエリー、時計、ワインなどのコレクションを管理・保管・運搬・活用するためのオーダーメイドサービスを提供する。特筆すべきは、顧客が保有するコレクションの価値を担保に資金を借りることが可能である点であり、担保となる資産はアヴァロンが物理的に保管する仕組みとなっている。

 ふたつ目は電動自転車ブランド、ヴィアラ(Viiala)の立ち上げだ。これは新たなテクノロジー、デザイン、コンセプトを自転車および輸送の分野にもたらすことを目指す企業で、スイスのeバイク企業、ストローマー(Stromer)の元CEOであるトミ・ヴィアラ(Tomi Viiala)氏をヘッドに迎え、その名を冠したブランドとなる。ヴィアラは2028年の初製品投入を目標としており、人工知能を含む技術を駆使してユーザー体験や安全性の向上を図るとしている。