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ヴィアネイ・ハルター(Vianney Halter) ラ・レゾナンス( La Résonance)のリード画像はPhillips提供。
この熱気が伝わってくるだろうか? そう、オークションのシーズンがやってきたのだ。
皮切りとなるのがスイスで週末(11月5日~6日)、フィリップス(Phillips)とアンティコルム(Antiquorum)がそれぞれ土曜日と日曜日に開催するオークションだ。その後、クリスティーズ(Christie's)とサザビーズ(Sotheby's)のそれぞれのオークションがあとに続き、11月末に香港、12月初旬にニューヨークに舞台を移し開催される予定だ。
F.P.ジュルヌが大量出品!
まず、主要なオークションハウスで販売されているF.P.ジュルヌの時計から見ていこう。11月7日(月)のジュネーブ・セールの前日、クリスティーズは“伝説的なユニークピース(Legendary And Unique Watches)”という、フェラーリの元CEOジャン・トッド氏のコレクションから111本の時計を集めた一点物のシングルオーナー・オークションを開催する予定だ。
今回のオークションで最も興味深く、そして注目を集めている時計のひとつが、“フェラーリ・レッド”ダイヤル、12時位置のフェラーリの跳ね馬ロゴ、そしてエンブレムの真下にトッドのイニシャルが入った複雑な“サンティグラフ”クロノグラフのハイセンスな個体だ。クリスティーズは、この時計が3本製造されたことを確認している。1本はトッドの手に渡り、もう1本は伝説のドライバー、ミハイル・シューマッハの手に渡り、最後の1本はF.P. ジュルヌ本人が所有しているとのことだ。
F.P.ジュルヌとフェラーリのロゴがダブルスタンプで入っている? そう、F1ファンはすでに小切手を準備していることだろう。
このオークションでは、リシャール・ミルの膨大な数の作品を含む、魅力的な時計が多数出品されるが、少しフランソワ・ポールに焦点をあてて考えてみたい。シューマッハがトッドに贈った、彼のイニシャルが入った5本のユニークピース(オクタ・クロノグラフ、オクタ・デイ/ナイト、オクタ・カレンドリエ、トゥールビヨン・スヴラン、クロノメーター・レゾナンス)があり、これらは個別にオークションに出品される予定だ。しかし、トッドの時計のクリスティーズオークションにおいて、販売前の落札予想価格が最も高かったF.P.ジュルヌは、スティール製でペトロールブルーのダイヤルが美しい、ユニークピースのグランド&プチ・ソヌリ ミニッツリピーター スヴランだ。
F.P.ジュルヌの時計で他に興味深いのは、アンティコルムで販売されるホワイトギョーシェダイヤルのプラチナケースでシリアルNo.001の最近製造されたオクタ オートマティック リュヌとサザビーズで販売される、スースクリプションシリーズ正式発売前のクロノメーター・レゾナンス、1999年製のプラチナケースの個体である。
プロトタイプの大バーゲン!
なぜ、我々はプロトタイプの時計にこだわるのだろうか。時計コレクターが熟成モデルよりも初期の実験的なモデルを好むのは、あまり大きな重要性を持つものではないが、プロトタイプは未完成の状態でも実に興味をそそるものだ。プロトタイプの個体には、おそらくシリアルが付かないか、付いていてもダブルゼロの刻印(00)が付いているはずだ。また、時計メーカーから直接送られてきたものの可能性もある。私は、今後1週間のジュネーブ・オークションに出品される、大手独立系時計メーカーの特に興味深いプロトタイプウォッチを少なくとも4本確認している。
まず、ヴィアネイ・ハルターは今年初め、レゾナンス(共鳴)効果に着目し、スケルトン仕様の“ラ・レゾナンス”を発表した。フィリップスはジュネーブ・ウォッチ・オークション:XVIで、オリジナルのチタン製プロトタイプを出品する予定だ。
ハルターは、腕時計のムーブメントにレゾナンス効果を採り入れ、ブリッジを共有する一対のテンプを重ね、ヒゲ持ちを介してヒゲゼンマイを連結した。ムーブメントの構造は、1枚のプレートではなく、13個のチタン製ブリッジと30本以上のピラーで構成されている点が特徴だ。
ラ・レゾナンスは年産7本しか製造されないが、今回出品されたプロトタイプは、当然ながらオークションに出品される最初のモデルである。
アンティコルムは、ウルヴェルク UR102-38のワンオーナー個体を入手。アンティコルムがウルヴェルクに確認したところ、この時計は初期のプロトタイプUR102-38で、アルミニウムとプラチナを組み合わせたケースに、合計10本以下しか製造されなかったプロトタイプであることが判明したそうだ。裏蓋を見ると、アンティコルムの時計が極限定シリーズの初期ロットであることが分かる。
同様にアンティコルムのカタログの少し後に、H.モーザー& Cie.とMB&Fの2020年コラボレーションモデルで、円筒形トゥールビヨンを搭載した非常にクールなステンレススティール製のプロトタイプが掲載されている。
フィリップスでは、グローネフェルドの有名な1941 ルモントワールの18KPGケースのプロトタイプが出品されている- Hodinkee一同、大ファンなのを覚えているだろうか? この時計は188本生産された個体とは別の0本目で、当初は小売店、顧客、プレス関係者に展示するためのサンプルとしてのみ作られたものだった。イタリアにあるブランドのパートナーの一人が、クライアントに見せるためにプロトタイプを要求したため、グローネフェルドはその時計を送った。ところが、その時計が戻ってくることはなかった。何らかの経緯を経て、グローネフェルドのイタリアのエージェントがクライアントに時計を売ることになったのだが、それは翻訳のミスによる誤解が生じたのか、それともそのコレクターがよほどゴリ押ししたのか、それは分からない。いずれにせよ、グローネフェルドの1941 ルモントワールのプロトタイプが、ついに姿を現したのだ。
ドゥ・ベトゥーンとの出合い
F.P.ジュルヌがホットな話題なのは、ここまででお分かりだろうと思う。この3年間で、ジュルヌほど注目度が上がったブランドはないだろうが、もし2番手に名乗りを上げるとすれば、それはドゥ・ベトゥーンだろう。
来週のオークションでは、少なくとも3本のドゥ・ベトゥーンが用意されていることが、私の目を引いた。まずはアンティコルムで販売される2000年代後半のDB24ビッグパワー・スーパースポーツで、オークションハウスがユニークピースになりうると確信したモデルを紹介しよう。
なぜか? DB24は通常、ブルーベゼル/シルバーダイヤルかスティールベゼル/ブルーダイヤルの組み合わせしかなく、この個体のように単色のブルーベゼル/ダイヤルの組み合わせはないからだ。
フィリップスは、ドゥ・ベトゥーンの共同創設者であるデヴィッド・ザネッタ氏のプライベートコレクションから、プラチナ製の有名なDW1PS8ドリーム・ウォッチ1のユニークピースプロトタイプを直接入手した。2008年に発表されたドリームウォッチ1は、時計とは思えないほど奇抜で難解なモデルだが、そのコンセプトはドゥ・ベトゥーンの時計製造とデザインに対するアプローチに影響を与えるものだった。立体的なムーンフェイズ表示は、ブランドのフラッグシップモデルであるDB28に受け継がれ、ドリームウォッチには、テンションホールド式のフローティング・ラグやシリコン製の極めて軽い高慣性テンプが初めて採用された。このユニークピースのプロトタイプは000番のシリアルナンバーが振られ、長年ザネッタ氏のパーソナルウォッチとして使用された。
フィリップスのカタログには、2本目の(そして最後の)ユニークなドゥ・ベトゥーンの時計が掲載されている。デヴィッド・ザネッタ氏の個人的な時計コレクションからの出品で、ロットNo.136は2007年の18KRGのDB25のプロトタイプ(ユニークピース)だ。DB25の量産モデルとは異なり、このプロトタイプはダイヤル12時位置に円形のパワーリザーブ表示があるという、予想外のコンプリケーションを備えている。
以下のリンクから、今後開催される5つのオークションすべてにおいて、カタログの閲覧や入札の登録が可能だ。
- アンティコルムのジュネーブオークションは2022年11月5日から6日までHotel Beau Rivageで開催される;詳細はこちら。
- クリスティーズのワンオーナー“レジェンダリー・アンド・ユニークウォッチ”オークションは2022年11月6日、フォーシーズンズホテル・デ・ベルグで開催される;詳細はこちら。
- クリスティーズの“レアウォッチ”オークションは2022年11月7日、フォーシーズンズ・ホテル・デ・ベルグで開催される;詳細はこちら。
- フィリップスのジュネーブ・ウォッチ・オークション:XVIは2022年11月5日から6日にかけて、La Reserveで開催される;詳細はこちら。
- サザビーズの“インポータント・ウォッチ”オークションは、2022年11月9日にマンダリン オリエンタルで開催される。;詳細はこちら。
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