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Hands-On グランドセイコー エレガンスコレクション メカニカルハイビートGMT “二十四節気” SBGJ251を実機レビュー 

光の加減で表情が変化する美しいダイヤルに、使い勝手のいいGMT機能。素晴らしい時計だが、個人的に残念だった点は……1つだけある。

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今年2月。グランドセイコーから、日本の四季にみられる印象的な風景にインスパイアされた、美しい自然の表情をダイヤルで表現した4つのGMTウォッチが発表された。約半年も前のことであるため、どんなモデルか忘れてしまったという方もいるだろう。そんな方は、記事「グランドセイコー 春分、小暑、寒露、冬至―日本の四季にインスパイアされた4つのGMTモデルが登場(SBGJ251、SBGJ249、SBGE271、SBGE269)」の内容を振り返ってから、本稿を読んでいただきたいと思う。

 今回ハンズオンするのは、エレガンスコレクション メカニカルハイビートGMT “二十四節気”コレクションの一つ、SBGJ251。グランドセイコー曰く“寒さを耐え抜いた木々が芽吹き、花を咲かせる春分をテーマ”にしたモデルで、グリーンのダイヤルと山桜をイメージした淡いピンクゴールドカラーのGMT針を合わせているのが特徴だ。

 グリーンのダイヤル、とさらっと紹介したが、実機のSBGJ251を見ると、その表情はそんな簡単なひと言で表現できるような単調な質感ではないことがよくわかる。
 深みのあるグリーンのダイヤルには細やかなちりめん状の凹凸をあしらうことで、生い茂る木々のような質感を表現している。加えて、表面には薄くクリア塗装を施しており、ダイヤルに入った光を反射する。本格的な春の到来を感じる春分の、山奥でひっそりと可憐に咲く山桜をイメージしたダイヤルとは、まさに言い得て妙で、木々が太陽の光を受けて煌めく春の雰囲気がダイヤルから確かに感じることができる。

 そのため、ダイヤルにたっぷりと光が入る角度では煌めきが豊かな表情を、光が入らない影になる角度では深みのあるグリーンが落ち着いた独特の表情を作り出し、さまざまな雰囲気が楽しめる。もちろんつけていても楽しいのだが、例えば、ちょっと腕から外して机の上に時計を置くという何気ない日常の風景のなかでも、この時計は抜群に“映える”。眺めるだけでも楽しい、そんな時計なのだ。

 さて、時計全体のつくりに関するレビューもお伝えしておきたい。

 サイズは39.5mm。筆者の腕は比較的太さがあり、手首周りは約19cmだ。それでも小さい感じはしなかったし、40mmを切るサイズは腕が細い人でも合うと思う。また、厚みは14.1mmある。通常の時計よりも針が多いGMTウォッチ、そして立体的なアプライドインデックスや肉厚な針を持つこと、そしてボックス型サファイアクリスタル風防を含めてということを考慮すると、これは妥当な数値だろう。サイドから見ると、ブレスレットのリンクの厚みに合わせたラグであるため、視覚的にも厚みは感じられない。

 ブレスレットはGSのエレガンスコレクションやヘリテージコレクションで広く用いられている、3つの無垢のリンクを組み合わせた3連タイプ。なかでもセンターリンクの両サイドにポリッシュ仕上げを施しているものだ。クラスプはワンプッシュ三つ折れ方式で、クラスプ両サイドのボタンを押して開閉を行う。スポーツコレクションに見られるようなロック機構はないが、その分扱いやすい。また、裏蓋はシースルーバック仕様になっており、搭載するCal.9S86が覗く。

 この搭載されているムーブメントが、なかなか魅力的だ。Cal.9S86は3万6000振動/時のハイビート仕様で、パワーリザーブは約55時間ある。精度は公式ホームページ等でも詳しく紹介されているが、COSC認定クロノメーター規格よりも厳しいグランドセイコー独自の規格に基づいて測定し、規定の数値をクリアした高精度なムーブメントだ。

 これも魅力だが、注目すべきはGMT機能の扱いやすさだ。本機のGMT機能は、リューズの1段引きで時針だけが動き(連動して日付も動く)、2段引きでは時・分針がGMT針と連動して動く。そのため、予め副時針のGMT針を24時表示(デュアルタイム表示)として設定しておけば、必要な時に時針を動かすだけでローカルタイム(現地時間)を、24時間表示でホームタイム(GMT)を示すことができる。

 また、日付と連動した時針は上下両方向、どちらに回してもOK。一般的な時計のように、日付だけを操作することはできないが、時針を出来るだけ日付の修正が少ない方向に回して調整することができる。そして、このムーブメントが素晴らしいのは、日付修正禁止時間帯がないことだ。日付の早送りが可能なムーブメントの多くは、早送り操作をすると壊れやすい時間帯(一般的には午後8-9時〜午前3-4時とされている)がある。だが、この時計が搭載するCal.9S86にはそれがない。必要なタイミングでいつでも調整して操作できる、ストレスを感じない仕様なのだ。

 GMTウォッチにはGMT針を単独で動かせるタイプや、24時間スケールを備えた回転ベゼルと併用することで3つの異なるタイムゾーンを表示させることができるものもあるが、必要最低限、2タイムゾーンが瞬時に確認できる機能で十分な筆者にとっては、シンプルでわかりやすい本機のような仕様の方が好みだ。

 見た目も機能も魅力的だったが、唯一残念に感じたのは、リューズがネジ込み式ではないということだ。非ネジ込み式でも日常生活用防水は確保されているし、エレガンスコレクションに属するくらいだから、ラフに扱う時計ではないのかもしれない。だが、素晴らしい時計なのだからシーンを選ばす、いつもつけたいを考える筆者にとって、非ネジ込みリューズには一抹の不安を感じてしまったし、ネジ込み式の方が精神衛生的にもよかったのに……と思っている。

グランドセイコー Elegance Collection メカニカルハイビートGMT “二十四節気” SBGJ251:  39.5mm×14.1mmのステンレススティール製ケース、日常生活用防水。春分にインスパイアされたグリーンのダイヤルと山桜をイメージした淡いピンクゴールドカラーのGMT針。自動巻きCal.9S86、37石、3万6000振動/時で駆動、55時間パワーリザーブ。秒針停止機能、GMT表示機能(24時間表示、デュアルタイム表示機能)、日付連動時差修正機能。価格は81万4000円(税込)

詳細は、グランドセイコー公式サイトへ。

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