Introducing H.モーザー 新作パイオニア・フライングアワーズを発表

　今回発表されたパイオニア・フライングアワーズは、2019年以来となる“フライングアワーズ”システムの初めてのアップデートしたものだ。注目すべきは、旧来のフライングアワーズのデザインをそのまま別のケースに移しただけではない点だ。今回は瞬時に切り替わるジャンピングアワー機構が新たに加わり、この複雑機構自体が進化を遂げている。従来のように大きなディスクが回転し、中央のミニッツディスクが正しい時刻を指すのではなく、今回は3つの小さなフレーム付きウィンドウの奥に時表示が隠れる構造となっている。中央にあるスケルトン化されたミニッツディスクは従来システムから引き継がれているものの、そのプロポーションは大きく調整されている。ディスクの縁はこれまでよりもかなり細くなり、分目盛りも短縮されて120度の弧として配置された。ミニッツディスクが進むタイミングで次の時刻の窓がジャンプしてフレーム内に現れ、直前の時刻は消える仕組みだ。

　モーザーを追い続けてきた人には、パイオニアのケースはおなじみだろう。実際、このデザインは今年で誕生10周年を迎える。パイオニア・フライングアワーズのケース径は42.8mmで、モーザーのほかのケーススタイルよりも現代的で力強い印象を与える。今回は5Nレッドゴールド（5N RG、リューズやケースインサートにはブラックDLC加工）またはスティール（SS）で展開される。ラバーストラップとの組み合わせで、120m防水というパイオニアの性能にふさわしい仕様だ。

　この対照的な2種類のケース素材には、それぞれ異なるダイヤル仕上げが組み合わされている。100本限定のRGモデルでは、3つの時表示窓を縁取るレッドゴールドのフレームが配され、広がりのあるアベンチュリンダイヤルは深い夜空のように彩られている。一方、SSモデルはより幻想的で、時表示窓にメタリックフレームを用いず、新しいホワイトフュメダイヤルによって幽玄な表情を見せている。

　ムーブメントには自動巻きCal.HMC 240を搭載。パワーリザーブは3日間で、自社製の脱進機とヒゲゼンマイを備え、モーザーの高いウォッチメイキング技術を示している。さらに近年のモーザーキャリバーに共通する新しいデザイン言語を取り入れており、スケルトンブリッジやダークアントラサイト仕上げが施されている。

　H.モーザー パイオニア・フライングアワーズは現在発売中で、5NRGの100本限定モデルが751万3000円、SSモデル（非限定）が558万8000円（ともに税込予価。2025年11月に日本入荷予定）だ。

　アベンチュリンダイヤルには、いつでも心を奪われてしまう。しかし正直に言えば、ワンダリングアワー機構と聞くと、多くの人がオーデマ ピゲ CODE 11.59 スター ホイールの類似した仕組みを思い浮かべるだろう。スティールケースとホワイトフュメダイヤルの組み合わせは間違いなく新鮮であり、この組み合わせはモーザーのほかのコレクションでも見てみたいと思う。一方で、ミニッツディスクを細くし窓を小さめに設計したことで、直径ほぼ43mmのケースのなかでダイヤルの大きさがより強調されているように感じられる。このモデルは実物を手に取ってこそ真価がわかるはずだという予感があり、実際に触れる機会を心待ちにしている。

ブランド: H.モーザー（H. Moser & Cie.）
モデル名: パイオニア・フライングアワーズ（Pioneer Flying Hours）
型番: 2340-0900（5NRG）／3240-1200（SS）

直径: 42.8mm
厚さ: 5NRGは16.1mm（サファイアクリスタル風防除けば12.5mm）／SSモデルは14.2mm
ケース素材: 5NRG、ブラックDLC加工を施したチタン、またはステンレススティール
文字盤色: アベンチュリンまたはホワイトフュメ
インデックス: なし
夜光: なし
防水性能: 120m
ストラップ/ブレスレット: ラバーストラップ

キャリバー: 自社製 HMC240
機能: ジャンピングアワー・ミニッツ
直径: 32mm
厚さ: 7.8mm
パワーリザーブ: 72時間
巻き上げ方式: 自動巻き、双方向巻き上げ
振動数: 2万1600振動/時
石数: 35
クロノメーター認定: なし
追加情報: 限定モデルにはRG製ローター、SSモデルにはタングステン製ローターを搭載

価格: RG・チタン製モデルは751万3000円／SSモデルは558万8000円（ともに税込予価）
発売時期: モーザー正規販売店。2025年11月に日本入荷予定
限定: あり、レッドゴールドモデルは100本限定

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