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Hands-On バルチック プリズミックからストーンダイヤルの限定版が登場

3ヵ所のショールームを記念した3種のストーンダイヤルモデルが、バルチックから発表された。

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バルチックは創業からわずか8年で飛躍的に成長したブランドだ。エティエンヌ・マレック(Etienne Malec)氏によって設立されたこのブランドはKickstarterでのプロジェクトから始まった。バルチックは2017年に初めてのキャンペーンをバイコンパックス 001とHMS 001で実施し、驚くべき価格でクラシックなヴィンテージウォッチへのオマージュを打ち出すことでコレクターコミュニティを熱狂させた。このキャンペーンは大成功を収め、6万5000ユーロという目標額に対し51万4806ユーロ(当時のレートで約6500万円)を集めた。

 そして2024年現在、バルチックはもはや“マイクロブランド”とはいえなくなった。11のコレクションにわたる48の時計を展開し、基本的に消費者に直接販売する形をとっているが、9つの実店舗を通じての販売も行っている。今年ニューヨークに3ヵ所目のショールームをオープンしたブランドはこのタイミングで、ニューヨーク、パリ、ロンドンという3つのスペースそれぞれにちなんだ3本の時計を発表した。

showroom space

 先週、ニューヨークのショールームを訪問して新しいスペースを見学し、バルチックの最新作であるプリズミック ストーン リミテッドエディションに触れる機会を得た。このショールームはソーホー地区の中心部であるグリーンストリート110番地に位置し、近年時計ショッピングの新たな名所となりつつあるエリアの一角にある。近隣にはウォッチェズ・オブ・スイス(Watches of Switzerland)やマテリアルグッド(Material Good)といった老舗に加え、カルティエやオメガの新しいブティックも立ち並ぶ。アポイントメントが確定した直後、メールでグリーン110番地のセキュリティパスが送られてきた。またUberの割引券も添付されており、来訪者への細やかな配慮が感じられた。到着後はセキュリティガードに写真付きのIDを提示して、いざ出発。エレベーターで移動していくつかの廊下を通り抜けるとついにショールームに辿り着いた。

 ニューヨークのショールームはショールームマネージャーのレミ・マーティン(Rémi Martin)氏が運営している(似た名前のコニャックとは無関係だ)。マーティン氏はフランス出身で2023年にバルチックのパリショールームからキャリアをスタートし、現地でジュニアセールスマネージャーを務めていた。今回のニューヨークのショールームオープンに伴ってマーティン氏はビッグアップル(アメリカ・ニューヨークの愛称)に移住し、開店準備や販売、運営を監督している。

mr remi martin
trays laid out
corner space
shelf with car

 ショールーム内は広々としており、USM(スイスのメーカー)の家具が壁に沿って配置されている。これらの家具の上にはエルメティックツアラーからMR001までブランドの各コレクションを展示するトレイが並べられていた。また時計に関する書籍や雑誌も多数揃っており、マーティン氏はHODINKEEマガジンのほぼすべての号を熱心に見せてくれた。そして本日の主役であるプリズミック ストーン リミテッドエディションは、中央のコーヒーテーブルに整然と並べられていた。

 バルチックは今年2月にプリズミックコレクションを発表しているが、特にそのダイヤルデザインに関しては賛否両論があった。しかし美的センスについての評価はともかく、プリズミックというコンセプトにかけた努力は無視できないものがある。そしてこのストーンダイヤルを実際に目にした今、これが最適な組み合わせであると確信した。

jade dial

ニューヨークのスペースにちなんだグリーンジェイド(翡翠)ダイヤル。

lapis dial

パリのスペースにちなんだラピスラズリダイヤル。

red agate

ロンドンのスペースにちなんだレッドアゲートダイヤル。

 天然石で彫られた文字盤はそれぞれ、パリのショールームを表したラピスラズリ、ロンドンのショールームに対応するレッドアゲート、ニューヨークのショールーム向けにグリーンジェイド(翡翠)が採用されている。これらは実物で見ると非常に印象的だ。通常のプリズミックではアプライドインデックスにさまざまなシェイプのパーツが使用されているが、このストーンダイヤルバージョンではデザインがシンプルになり、カラトラバ風のポリッシュ加工が施されたアプライドインデックスとシャープに面取りされたドーフィン針が採用されている。バルチックのロゴとスモールセコンドのマーカーは白でプリント。近くで見ると薄くカットされた石とマーカー、テキストのあいだに施されたラッカー仕上げによって、まるでプリントやマーカーがダイヤル上に浮かんでいるかのような効果を生んでいる。このクールなディテールは恐らく意図的なものではないだろう。

 ショールームで私はマーティン氏に、ラピスラズリのダイヤルが特に色彩豊かであると感じたことを伝えた。彼も同意し、これらの石のカットの薄さではラピスラズリが最も透明度が低く、そのためダイヤル上での色彩が最も鮮やかに保たれるのだと説明してくれた。私のグリーンに対する終わりなき執着はHODINKEEの皆が知るところだが、今回最も驚いたのはレッドアゲートの文字盤だった。日光の下では明るいネオンオレンジの赤で、3つのなかで最もストーンダイヤルの縞模様が控えめだった。室内ではオレンジラッカー仕上げのダイヤルと見間違うほどだ。

lapis up close

 マーティン氏が説明してくれたなかで最も興味深かったのは、言うまでもないことだがこれらのストーンダイヤルはひとつひとつが微妙に異なるということだ。彼はプロトタイプの写真を見せてくれたが、ラピスラズリは白や黒の混入量によって色合いが異なっていた。

 ケースは通常のプリズミックと同様に直径36mmで、ブランドの言葉を借りれば“カクテルウォッチ”にインスパイアされたモデルとなっている。厚さ9.2mmのケースは5つのパーツで構成され、ベゼル、ラグ、ケースバックはステンレススティール(SS)製で、ミドルケースはサンドブラスト加工が施されたグレード5のチタン製だ。ケース全体に異なる仕上げが施されており、デザインは非常に力強く、直径は小振りながら太めの手首にも十分な視覚的インパクトを与えてくれる。

 実際の購入時は新作のSS製メッシュブレスかカーフスキンストラップのいずれかからオーダー可能で、どちらもまったく異なるビジュアルを提供する。同モデルの定番はSS製メッシュブレスだが、試着してみるとこのブレスレットは特に平らな手首に最適だと感じた。このブレスレットは非常に快適で先端に向けてわずかにテーパーしているが、エンドリンク部分の構造がしっかりとしており、メッシュ部分にある程度の厚みが生まれている。そのため、ラグから伸びたメッシュ部分が手首の形状に沿って落ちる前に少々フラットになる。ストレートエンドのメッシュブレスとは着用感が異なるため、私のように手首が細い人は注意が必要だ。

movement shot
crown side
crown side
buckle

 時計の内部にはETA製のプゾー7001が搭載されている。これは手巻きのムーブメントで、パワーリザーブは42時間。面取り部にはダイヤモンドポリッシュが、ブリッジにはコート・ド・ジュネーブが施され、青ネジの採用が特徴的だ。通常版のプリズミックとは異なり、ストーンダイヤルモデルのムーブメントには角穴車に“Baltic Watches”の刻印が入っている。Cal.7001は長い歴史を持つ実績のあるムーブメントであり、プリズミックではサファイアクリスタルのケースバックを正当化するように、ムーブメントを少し華やかに見せるための装飾が加えられているのはうれしいことだ。

Wrist shot of the red agate

 同僚のマーク・カウズラリッチは以前に通常版プリズミックのHands-Onレビューで、この時計のさまざまなディテールは興味深いもののやや過剰に感じる部分もあると述べた。通常版ではディテールが華美すぎた感があり、私も一部彼の意見に同意していた。しかしストーンダイヤルではダイヤルの石を際立たせるためにもう少し抑制が効いており、標準版では達成できなかったバランスを実現していると感じる。プリズミック ストーン リミテッドエディションは、「もしパテックがRef.96でストーンダイヤルを採用したらどうなるか?」という問いに対する答えであるかのようにも思える。

jade closeup
red agate closeup

 実際の答えは分からないが、今回のバルチックの新作はそれにかなり近いものだと感じる。そしてこの価格で楽しめる現実的な選択肢を提供しているのだ。しかしこの3つのストーンダイヤルは限定版であり、再生産されないことから入手は難しいだろう。それぞれのダイヤルはシリアルナンバー付きの200本限定で製造される予定であり、ブレスレット付きで1310ユーロ(付加価値税抜き、日本円で約20万5000円)という価格であればあっという間に完売することは間違いない。

green jade wristshot

 これらの時計は3つのショールームを記念して製作されているが、顧客にとってうれしいことにショールーム限定販売というわけではない。3本の時計はパリ時間で9月19日16時(日本では同日23時)よりオンラインからプレオーダー可能で、10月に配送予定となっている。価格はメタルブレスレット付きで1310ユーロ(日本円で約20万5000円)、レザーストラップ付きで1250ユーロ(日本円で約19万5000円)だ。

 上記の情報に加えてマーティン氏が教えてくれたのは、各ショールームが少量の在庫を保持しており、現地でも購入可能だということだ。各ショールームはそれぞれの都市に対応したストーンダイヤルのバリエーションを取り扱っているので、もしこれらの都市のいずれかに滞在しているならショールームを訪れるいい機会となるかもしれない。

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