レストアダイヤルを見分ける(そして回避する)ための4つのアドバイス trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

In-Depth レストアダイヤルを見分ける(そして回避する)ための4つのアドバイス

今日はヴィンテージウォッチのデューデリジェンス(事前に購入先を調査し、価格や取引の判断に役立てること)プロセスのひとつのステップである、レストア(復元)ダイヤルを見分ける(そして回避する)方法についてのヒントを紹介しよう。

本稿は2016年2月に執筆された本国版の翻訳です。

ヴィンテージウォッチの収集は、臆病な人には向いていない。異なるムーブメント、リューズ、針、フランケンウォッチなど、何に気をつければいいのか数え上げればきりがなく、わからないと間違った方向に進んでしまうことが多くあるからだ。数週間前に掲載した記事の趣旨に則り、今日はヴィンテージウォッチのデューデリジェンスプロセスのひとつのステップである、レストア(復元)ダイヤルを見分ける(そして回避する)方法についてのヒントを紹介したいと思う。

 多くのコレクターが言うように、文字盤はヴィンテージウォッチのなかで最も価値のある部分である。ほとんどの場合、パティーナが優先される特定のケース(例えばトロピカルダイヤルのロレックス サブマリーナーなど)を除き、経年変化が最小限で、傷がなく、汚れのない新品のようなダイヤルは、ある程度摩耗されたダイヤルよりもかなり高い価格で取引される傾向がある。

2つのピンクゴールド製ロレックス 6062

ふたつのピンクゴールド製6062。クオリティは同じだが、価格は異なる。Images via Antiquorum, Philips


なぜそれが重要なのか

 多くのコレクターにとって、原型をとどめていないオリジナルの文字盤よりも好ましくないのは、作り直された文字盤や“リファイン(再仕上げ)”された文字盤である。つまり、オリジナルメーカー以外の第三者が、オリジナルのダイヤルをさまざまな形で手を加えて修正したものということだ。これらの修正には、簡易的な夜光の塗り直しから、文字盤全面の再塗装まで多岐にわたる。例えば過去に、まったくオリジナルのロレックス 6062と、これとまったく同じに見える6062が、およそ4倍も違う価格で売却されたことがある。コレクターがオリジナリティに支払うプレミアムの高さがおわかりいただけるだろう。

 もしあなたが本格的なコレクターを始めたいと考えているのであれば、最初のヴィンテージウォッチを購入する際には、オリジナルで手付かずのものが欲しいと思うだろう。特に将来的にその作品を手放すことを考えているならなおさらだ。ではどこでスタートすればいいのか? 一般的には3つの方法がある。

 ひとつ目は、経験豊富な専門家(例えばディーラー)から購入すること。ディーラーは自身のものをよく知っているため、すべてオリジナルの時計を売っていると信じるのだ。できない場合は、その時計が施された過去の“作業”を公開してもらうことである。しかし、世の中にあるすべてのブランドの専門家になるのは難しく、特に参考資料が入手しにくいヴィンテージウォッチだとより困難だ。ほとんどのディーラーが複数のブランドを扱い、その各ブランドに複数のモデルがあり、さらに各モデルに複数のバージョンがあると考えると、ディーラー側が間違っていることが時にはあるかもしれない(例えばオメガ スピードマスターは、わずか20年の製造期間で8種類以上存在する。それを紹介したReference Points記事はこちら)。さらにサービスダイヤルという、時計を修理に出したときにオリジナルメーカーが文字盤を交換してくれるサービスもあって(昔のロレックスやオメガといったブランドでは一般的なものだった)、それを加えると事態はさらに複雑になる。

すべて似ているけれど異なる、3本のオメガ スピードマスター

すべて似ているけれど異なる、オメガのスピードマスター。

 第2の選択肢は、オークションハウスで入札することである。クリスティーズやサザビーズなど、ほとんどのオークションハウスには、販売する時計の状態やオリジナリティを決める専門チームが在籍している。とはいえ繰り返しになるが、オークションハウスもまた、個々のディーラーと同じ問題に直面している。さらに優良なディーラーが対応をしてくれた場合、何か問題が起きたときには必ず時計を引き取ってくれるが、オークションハウスで出品される各モデルは、“そのままの状態”で販売されるため、オークションとのあいだで長年意義のある(意義は“高価”とも読む)関係を築いていない限り、販売後に(問題を)発見したとしても対処の道筋がない可能性がある。

私はeBayが大好きだ。知識、勤勉、巧みな行動は報われるが、無知、愚かさ、貪欲さは罰せられる

– M4tt、WatchUSeekフォーラム - 2010年6月

 3番目の方法であり、かつ最も危険な選択肢は、イーベイ(eBay)やクロノトレーダー(ChronoTrader)、タイムゾーン(TimeZone)といったフォーラムで購入することである。しかし注意して欲しいのは、文字どおり何でもありの無法地帯であるということ。Bring A LoupeのBidder Bewareセクションで頻繁に取り上げているように、ここには小さなリダイヤルから完全な修復、とんでもないニセモノまで、さまざまな時計が出品されている。しかしこれらの場所こそ、持ちうる情報や専門知識を最大限利用することで、最高の取引ができる。あるオンラインフォーラムに寄せられた古い言葉が物語っている。“私はeBayが大好きだ。知識、勤勉、巧みな行動は報われるが、無知、愚かさ、貪欲さは罰せられる”。

 これらすべてを考慮すると、今から紹介するオリジナルではないダイヤルを見分けるいくつかのアドバイスは、選択した道に関係なくおそらく適切なものだ。このリストは包括的なものではなく、収集の世界においても目新しいものではないが、それでも何に注意すべきかをある程度知ることを目的としている。注意すべき点として、ダイヤルがオリジナルなのか“レストア”されたかを判断する我々のやり方は、精密科学に基づいていないということ。我々の方法に則ると、“レストア”に分類されるオリジナル文字盤の例も多数ある。それと同時に、我々の提示する基準をすべて満たしていたとしても、それがオリジナルダイヤルではない可能性もある。

 だから役に立たないように聞こえるかもしれないが、最終的な真の決定は自分の“直感(経験と多くの研究が伴うもの)”にかかっている。ヴィンテージウォッチの世界へようこそ、歓迎しよう。

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1. プリントの品質と一貫性

 リダイヤルを識別する最初の方法は、ダイヤルのプリントクオリティを調べることだ。いくつかのユニークな手描きモデルを除いて、オリジナルのダイヤルは工場で印刷されるのが一般的だが、リダイヤルは手作業で行われるのが一般的だ。つまり、ヒューマンエラーが発生しやすい。例えば、文字やフォントが曲がっていてアイテムの質が悪い場合は、リダイヤルである可能性が高いということだ。

ユニバーサル・ジュネーブ トリプルデイト ムーンフェイズ

見るからにお粗末な文字盤。eBayで1250ドル(当時の相場で約13万6000円)以内で売られていなければおかしい。Image via eBay

 いくつかの修復はより明白であるが(上の“はちゃめちゃ”なユニバーサル・ジュネーブ トリプルデイト ムーンフェイズをよく見ると、ポールルーター デラックスとしても“機能”してしまう)、ほかの修復はやや(判断が)微妙かもしれない。プリントに使われたインクがオリジナルなのか、それとも製造された時期に見合った劣化かどうかは、専門家ならまだしもその直感は通常、長いあいだコレクションを続けた場合でしか得られない(そしてたくさんの時計を見ているかどうかも)。

 もしあなたが初めてのヴィンテージウォッチを数本検討するとしたら、どうすればいいだろうか? 全体的な品質を判断するのは難しいかもしれないが、時計内のプリントの一貫性を見れば、ヒントを見つけることができるかもしれない。

 我々が提案する方法のひとつは、文字盤内でのプリント数字を比較することだ。多くのダイヤルにおいて、数字は通常、同じ“種類”のフォントで印刷される。つまり、ひとつのインダイヤルで6と9が開いている(もしくは閉じていない)場合は、ダイヤル内のほかのディテールも同様に開いているはずだ。

リダイヤルされたユニバーサル・ジュネーブ トリコンパックス

一貫性のない3と5のフォント。Image via forums.watchuseek

ユニバーサル・ジュネーブ トリコンパックス

対して全体をとおして一貫したフォント。

 例えば、上の2本のユニバーサル・ジュネーブ トリコンパックスに印刷された数字で考えてみよう。一見するとどちらもオリジナルのように見えるが、1枚目のサンプルをよく見ると、外側のミニッツトラックの3は丸いトップを描いているが、サブダイヤルのほうの3はトップが平らになっている。また一般的にインダイヤルのマークは印刷が粗い(3時位置サブダイヤルの24を参照)。

 正しいオリジナルダイヤルが写真2枚目であり、インダイヤルと外側のミニッツトラックの3、4のフォントが一致しているのがおわかりいただけるだろう。各インダイヤルと外側のミニッツトラックインデックスの長さも揃っていて、しっかりとプリントされている。

 特にブランドは、同じ文字盤でも異なるフォントを使用していることもあるため、それだけで非難できるものではないのだが、内部の不整合であれば文字盤がレストアされたかどうかの手がかりが得られることもある。

サブダイヤルとミニッツトラック

 リダイヤルかを確認するもうひとつの方法は、インデックスのプリントを観察することだ。一般的に、これらはシャープで鮮明で、トラックの端から近すぎたり遠すぎたりしてはならない。例えば、1枚目(下記)のユニバーサル・ジュネーブ トリコンパックスの3時位置と9時位置のインダイヤルを見てみよう。トラックと各インダイヤルの端とそのあいだには、小さいながらもかなりの隙間があり、どこか怪しげでメリハリのない外観になっている。一方で6時位置サブダイヤルのプリントは端に近すぎるのだ。

 これらの特性を、2枚目の同じ時計の正しいものと比較して欲しい。

リダイヤルされたユニバーサル・ジュネーブ トリコンパックス

インダイヤルの印刷が正しくない。Image via eBay

ユニバーサル・ジュネーブ トリコンパックス

こちらが正しいインダイヤルのプリント。Image via VintageOyster

 同様にプリントが重なっている領域も調べてみる価値がある。インクがにじむことなく、クリーンに見えるだろうか? プリントが重なった文字盤の一部を手作業でペイントし直すのは非常に困難な作業であり、特に元の鮮明さが維持されている場合はなおさらだ。下記のダイヤルは、その重なった領域に、粗い汚れと全体的に低品質な印刷が見られる。

ロンジン

重なった部分の印刷が雑だ。Image via eBay


2. 誤ったロゴフォント

 ふたつ目の方法はダイヤルに印刷されたロゴを見ることである。ここはリダイヤルを見分ける最も簡単な方法である反面、最も難しい方法でもある。ロゴ修復は明確にわかるものもあり、Googleで検索すればすぐに正式なオリジナルバージョンを表示してくれる。こちらは、1930年代から50年代にかけて見られる、正しいロンジンのフォントだ。

ロンジンの正式なフォント

ロンジンの正式なフォント。Image via Matthew Bain Inc.

 例えば、これは明らかに再塗装されている。

リダイヤルされたロンジンフォント

リダイヤルされたロンジンフォント。Image via eBay

 でもこれは少しわかりにくいかもしれない。

リダイヤルされたロンジンフォント

Image via Auctionata

 よく調べて、正しいフォントと比較してみると、“L”の上部にはもっと長いセリフがあるべきなのだ。そしてLの端は上向きの傾斜になってはならない。また“S”もやや太りすぎなようだ。そしてダイヤルの残りの部分が、より多くの手がかりを与えてくれる。この特定のダイヤルに関する議論は、こちらのOmegaForumsで見ることができる。

 ただこの見極め方の問題点は、同じ時代のフォントであっても年ごとに微妙な変化が生じる可能性があるということだ。これにより、リダイヤルの識別はさらに困難になってしまう。ムーブメントのシリアルナンバーと製造年を一致させる必要があるだけでなく、ムーブメントが同じ年にケーシングされていない可能性も考慮し、さらに異なるフォントやロゴの資料(しかも存在しないかもしれない!)を調べて、正確なスタイルを決定しなければならない。もはや精密科学というより芸術に近い。しかし、いいこともある。しばらく続けると何に注意すべきかという感覚が芽生えて、いくつかのダイヤルが直感的に“違う”と感じられるようになるのだ。

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3. 統一された夜光

 3つ目の方法は、 “夜光”とも呼ばれる、発光物質の整合性をチェックすることである。例を挙げると、針の夜光がインデックスの明るさと一致しているかなどだ。オールオリジナルの時計の場合、各針とインデックスの夜光の素材は同じものでなければならない。

 このポイントを説明するために、まずは以下のオメガ スピードマスターのペアを見て欲しい。

リダイヤルされたオメガ スピードマスター

クロノグラフ針とほかの部分の夜光が異なっている。Image via. HQ Milton

オメガ スピードマスター

こちらは均一に塗られている。Image via HQ Milton

 販売者は、1枚目の時計が再塗装されたクロノグラフ針であることを正確に示している(ほかの部分はオリジナルの輝度を保持しているように見える)。針と文字盤の夜光はやや褪色して黄色がかっているが、スイープ秒針の夜光は白く見えるため、再塗装されているのがわかる。対して、2枚目の時計も同じ販売者によるものだが、オリジナルの蛍光塗料が塗布された個体である。

 とはいえ、同じ時計であっても、何らかの理由(湿気など)により夜光の経年変化は異なってくるので、同じ時計であっても夜光の色合いや濃淡が若干異なる場合があるのも事実だ。

 ただし注意して欲しいのは、その時計のすべての夜光が一致していても、時計が製造された年代と一致しない場合は、すべての箇所が再塗装されたか、あるいはダイヤルと針が交換されている可能性が高いということだ。例えばトリチウムの半減期が約12年から13年であることを考えると、トリチウム夜光(おそらく60年代から70年代のいずれかの時期にあたる素材)は暗所で明るすぎたり長時間光ったりしてはならない。また見た目があまりにも白っぽく見えず、多少色あせた黄色や茶色に変化しているはずだ。今回の方法はやや曖昧に聞こえるかもしれないが、対照的な例を時間をかけて調べれば、基本的な再塗装の感覚をつかむことはそれほど難しくない。

 最後に、事態をさらにややこしくしている点について。ある一部の再夜光の作業によっては、再塗装のプロセスに不活性トリチウムを使用することがあり、その場合、自然に劣化したトリチウムと一致する可能性がある。これだとオリジナルの夜光と再塗装された夜光を区別するのは少し難しくなる。詳細はここでは省くが、この工程を深く掘り下げたいくつかのガイドが、フォーラムで公開されている。

夜光の応用

 それと同時に、夜光の塗布が一貫しているかどうかも確認する価値がある。発光する物質がインデックス上にある場合は、それらは針の上にもあるはずだ(逆もしかり)。ふたつあるうちのひとつだけに夜光が採用されていないということは、そもそもの夜光の役割、つまり暗所で時間を知ることができなくなってしまう。

 例として下の2本の時計、ロンジン コンクエスト オートマティックで考えてみよう。1枚目の時計は針に発光があってインデックスには夜光がないが、2枚目の時計はインデックス(先端の小さい突起部分)と針の両方に夜光が見られる。前者は、ほとんどの時計の文字盤が作り直されたことを示すサインである。

(なおこの具体的な例であるロンジン コンクエスト オートマティックウォッチには、一部針や文字盤に夜光塗料が施されていないものもある。しかし一貫性が重要なのは変わらない。夜光付きの針には夜光付きの文字盤があり、その逆もまたしかりなのだ)

リダイヤルされたロンジン コンクエスト オートマティック

針に夜光が塗布されているが、インデックスには塗布されていない。Image via eBay

ロンジン コンクエスト オートマティック

両方の針と文字盤に適切な夜光がある。Image via Matthew Bain Inc.

 ただこれにも例外がある。IWC インヂュニア 666Aには夜光が針だけにあった例(文字盤に夜光がない)が存在していた可能性があるのだ。繰り返しになるが、ヴィンテージウォッチのルールのひとつは絶対は存在しないということ。またパテック フィリップの例はその逆で、発光しない針に発光するダイヤルという組み合わせがよく見られる。つまり、あるメーカーに当てはまることが、別のメーカーに当てはまるとは限らないということだ。


4. ダイヤルそのもの

 4つ目の注意すべき点を把握していれば、いくつかのリダイヤルは一目瞭然である。例えばローマ数字が正しくない(例えばVIのあとにVIIが来ている)などの明白なものもあれば、タキメーターのマーキングが間違っているなどのもっと細かい例もある。

 下のロンジン 13ZNの例を挙げて考えてみる。

リダイヤルされたロンジン 13ZN

単に間違ったタキメーター。Image via Chrono24

 6時位置にある、“40”とプリントされた数字の下に注目だ。(ベースが1000の)タキメーターは、1マイル(または1キロメートル)移動するのにかかる時間を計算して速度を測定するものだ。1マイルの始まりにクロノグラフをスタートさせ、1マイルが終わってストップさせる。そのとき、1マイルが60秒(スイープセコンドが1回転)かかるとすると、時速60マイルで移動していることになるから、12時位置のマーカーの下には“60”のマークが表示される。ということは針が2回転すると、時速30マイルで走行していることになる。1マイルを移動するのに30秒しかかからない場合、時速120マイルで移動していることになるため、タキメーター上の6時位置の数字は、上の写真の“140”ではなく、 “120”となるべきなのだ。

 “ミス”プリントされたダイヤルの例はそれほど一般的ではないが、一度発見されれば、そのオリジナリティについての明確な警告標識を得ることができる。ただし誤植は起こりうるので注意だ。有名な誤植で、またユーザーからも認知されている例のひとつは、オメガ スピードマスター Ref.145.022-69で見られる“220”ベゼル(厳密には文字盤ではなくケースの一部)だろう。

できれば文字盤裏の確認も

 また、もし時計が入手できる場合は、時計ショップに時計を持ち込んでダイヤルの裏を確認してもらうとよい。一部の例では、(文字盤の)メーカー名がダイヤル本体の背面に刻印されている。例えば以下のロンジンのダイヤルを見て欲しい。

ロンジンのダイヤルの裏側

Image via eBay

 写真上側の文字盤裏に、“SINGER”とうっすらと刻印されているのがわかる。これらのスタンプの存在は、文字盤の真正性を証明するに値しないかもしれないが、もしこのスタンプがそこになかった場合(これはおそらく、いくつかのヴィンテージロレックスウォッチにも関係してくる)、文字盤の信憑性には疑問が残るだろう。


最終的な答え

最後のアドバイスは、常に慎重であるべきだということ。おそらくあなたは、非常に魅力的な価格で時計が提供されているeBayで時計を購入しようとしているだろう。そして写真は不鮮明だが、文字盤がオリジナルであると信じている。その時点で、売り手がどんな人なのかを調べてみる価値がある。その人は長いあいだ時計を販売しているだろうか? もしそうなら、出品者はその時計がオリジナルダイヤルであるかどうかを熟知している可能性が高い。ゆえにぼやけた写真は、意図的に何かを隠しているとも考えられる。特に過去の販売リストがいつも鮮明な写真で掲載されていた場合はなおさらだ。

 しかし、その売り手は時計に限らずコインやキャンドル、宝石なども売っている人だろうか? そうなると単に写真を撮るのが下手なだけで、そう見えるからといって実は文字盤がオリジナルだったりすることもあるのだ。とはいえこのような状況下においては、ケイビエット・エンプター(買い手が購入時に商品の特性や価値を把握しなくてはならない)がいちばんの味方となる。本当に確信を持っていて、リスクを負う覚悟があるのでなければ、このような取引は避けることを推奨する。

 最後に伝えたいことがある。オリジナリティ、パティーナのない完璧な状態、リダイヤルでないことについての話は、時計を買うときだけ関係があると思うかもしれない。長く愛用することを考え、身につけることを本当に楽しんでいるのなら、そんなことはどうでもいいことだ。それはまったくそのとおりだと思うし、我々もそう思う。

 ただし、注意しなければならないのは、好みが変わる可能性があるということだ。個人的に自身のコレクションは収集するものも、収集する時計のコンディションも、コレクターを始めてから進化を続けてきた。今は素晴らしいコンディションでなくとも、またオリジナルでなくとも問題ないかもしれないが、数年後に状況が変わるときがやってくるかもしれない。その時点で以前の購入を後悔するか、あるいはほかの人に売却するのが難しくなってしまうのだ。

 この不確実性と、ほとんどの人にとってオリジナリティが重要であるという事実を考えると、購入時にオリジナリティに富んだダイヤルや腕時計を選ぶことこそ最適な判断と言えるもしれない。

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