Video Editor: Joe Wyatt
2023年に書いた私の最後の記事は、ムーンシャイン・ゴールドへの最後のムーンウォッチ・ミッションだった(と我々は考えている)。そして2024年の1月に入ったばかりだというのに、スウォッチは最近のコラボレーションのひとつとして、驚きの新バリエーションを展開してきた。しかし、それはムーンスウォッチではない。スウォッチとブランパンがスキューバ フィフティコレクションでコラボレーションしてからわずか4カ月後、両ブランドはオーシャン・オブ・ストーム(Ocean of Storms)として、シリーズ6番目のモデルをリリースする予定だ。
昨年末、ビール/ビエンヌに行って、世界的に発表される数週間前にオリジナルのスキューバ フィフティコレクションを見てきた。歴史的に重要なダイバーズウォッチを手がけた名高いブランパンが、6万円という手頃な価格のプラットフォームに効率的に移行するという展望に、ひどく衝撃を受けたのを今でも覚えている。
その旅行中、私はニコラス・ハイエック・ジュニア(Nicholas Hayek Jr.)氏とともに過ごしたが、疑念を抱くことがばかばかしく思えるほどに、彼は今回のコラボレーションウォッチに大きな興奮を示していた。実は、私もそれに共感した。私はムーンスウォッチが発表された際、NYにいたのだが、ここに寄せられたコメントによると、時計に対する疲労感が増しているとのことだったが、それでも売り切れは続出しており、時計の世界に新しい顔をもたらすという重要な役割を果たし続けている。
歴史的に重要なデザイン(オリジナルの形をとどめているものはかなり値が張る)を手頃な価格にすることは、素晴らしいことだ。そして新しいオーシャン・オブ・ストームの発表は、まさにそれに当てはまる。
実際、5種類のスキューバ フィフティウォッチが発売された当初、私とコミュニティの多くは、ムーンスウォッチ ミッション・トゥ・ザ・ムーンに似たバージョンのスキューバウォッチを切望していた。私が言いたいのは、見た目は保守的で、インスピレーションとの関連性がより明白な時計ということだ。ブラックの文字盤とグレーのケースカラーを採用したミッション・トゥ・ザ・ムーンは事実上、バイオセラミック製のムーンウォッチである。
オーシャン・オブ・ストームも同様に、フィフティ ファゾムスと同じケースになる。派手な色の効果を排除し、コラボレーションに対してより慎重なアプローチを取ることを選択したからだ。ブラックバイオセラミック製ケースと、つや消しのサテン仕上げに見えるブラック文字盤、アクセントとして防水表示と秒針の先端にオレンジカラーが施されているのだ。
文字盤のフォーマットに関しては、12・3・6・9時位置のアプライドインデックスと、トップに現代的なブランパンロゴを配した現代的なアプローチを採用している(スキューバ フィフティのオリジナルモデルの一部は、昔のロゴやインデックスを配した、ヴィンテージ風のモデルもある)。ほかのモデルと同様、ストライプのNATOスタイルストラップが付属する。
さて、スキューバ フィフティのオリジナルモデルが5本しかなかったのには理由があった。それぞれ地球上の海にちなんで名付けられ、その海は5つしかないからだ。では、なぜ第6弾となるバージョンが登場したのか。オーシャン・オブ・ストームとは何を意味するのだろうか?
両ブランドはムーンスウォッチからインスピレーションを得て、月面、特に嵐の大洋(Oceanus Procellarum)として知られる200万平方kmある“月の海”に着目した。こうして6番目の海が誕生したのである。
42.3mm径×14.4mm厚×48mm(ラグからラグまで)の裏蓋には、ほかの時計と同様の装飾を採用。ムーブメント自体の上部には、オケニアルナと呼ばれる独自のウミウシをプリントしている。
当然、私はこのモデルでミッション・トゥ・ムーンシャイン・ゴールドと同じような、1日限りの限定販売というシナリオを想定していた。でもこれが限定版ではなく、通常生産品としてコレクションに加わることを大変うれしく思う。ブラックのスキューバ フィフティは今後も登場する予定なのだ。
より広い規模でのスウォッチコラボレーションとなると、今年は何が待ち受けているのかわからない。ムーンスウォッチの数は増えると思うが、スキューバ フィフティのモデルが増えるかどうかは不明だ。ブランパンが関わっていることを考えると、このコレクションをもう少し控えめにしておくことは理にかなっている(今から6カ月後、12番目のスキューバ フィフティが出たら自分自身を責めるだろう)。
予測はともかく、私はこのコレクションに加わった新作をとても気に入っている。この時計には、伝統と現代的なアプローチの両方を表現する目玉的存在が欠けていたからだ。実際、この特別な時計は初心者と同じくらいマニアにも語りかけてくるだろう。
オーシャン・オブ・ストームは1月11日に正式に発売される。私は、そのときかその直後に手に入れたいと思っている。実際に使ってみた感想は、インプレッション記事でまたお伝えしたい。これについてどう思うか、コメントで感想を聞かせて欲しい。
詳しいスペックと価格については、スウォッチ×ブランパンのスキューバ フィフティ ファゾムスのオリジナル記事をご覧ください。
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