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我々が知っていること
壊れていないものは直す必要がないという言葉がある。ミドーはこの哲学を忠実に守り、大成功を収めたオーシャンスター デコンプレッション タイマーシリーズの第4弾を発表した。今回は深みのあるブラックPVD仕上げである。
パンデミック時代を振り返ると、ミドーは2020年に最初のバージョンを1961本限定で発売した。元となった1961年製のオーシャンスター スキンダイバーモデルへのオマージュとして、その製造年にちなんだ本数である。
おそらくそのデザインが時計コミュニティ内で好評を博したからか、あるいは我々が家に閉じこもって退屈していたことが理由か、もしかしたらその両方かもしれない。いずれにせよこの時計は飛ぶように売れた。そのすべての要因が組み合わさっての成功だと思うが、最も重要なのはブランドの持つユニークで楽しい伝統を見事に捉えつつ顧客が好きな要素をうまく取り入れた素晴らしいリリースだったということだ。またそのころ、レインボーウォッチブームが盛り上がりを見せ始めていた。ブライトリングが新しいスーパーオーシャン ヘリテージ '57 カプセルコレクションを発表し、そのなかには夜光がレインボーに輝く限定モデルも含まれていた。その約1年後には、多くのブランドが本格的に鮮やかなカラーを取り入れるようになった。
2020年に登場した最初のデコンプレッション タイマー リミテッド エディション。
その次のモデルではホワイトダイヤルにターコイズブルーのベゼルを組み合わせた。
最初のリリースが人気を博したことを受け、ミドーは翌2021年、さらに鮮やかなホワイトダイヤルとターコイズベゼルのモデルを再び1961本限定で発売した。このモデルも高い評価を受け、初版とは異なるデザインが好評で瞬く間に完売した。ミドーは自分たちの方針が正しいと確信したようだ。2023年になると、ミドーはデコンプレッション(減圧停止時間)タイマーがなかった1年を埋め合わせるように、2本の時計を発表した。それがGMT機能を備えたデコンプレッション “ワールドタイマー” GMTである。ただしこれらは限定版ではなく、“スペシャルエディション”として販売されたため、製造数は制限されたもののシリアルナンバーは刻印されなかった。ブルーモデルには再びレインボースケールが採用されたが、オレンジモデルは非常に鮮やかでありながらモノクロ的な印象を持ち、特に印象的だった。
GMT機能が付いた、限定ではないデコンプレッション “ワールドタイマー”。
そして2024年、ミドーはこのシリーズの最後のリリースとして再び1961本限定のモデルを発表した。ブランドは、この形でデコンプレッション タイマーを披露するのはしばらく先になると伝えている。本モデルは2020年の最初の世代を思わせるブラックダイヤルに立ち返り、ケース全体に深みのある艶やかなPVDコーティングを施した。
3本のストラップすべてのバネ棒にはクイックリリースが付いている。
スティールメッシュブレスレットも深みのある艶やかなブラックで、鮮やかなレインボーデコンプレッションスケールとの極端なコントラストを引き立てている。この漆黒のブレスレットに加え、鮮やかなブルーラバーストラップ(おそらくダイヤルスケール上のブルーリングに合わせていると思われる)と、4色のスケールに合わせた4色のサイドステッチがあしらわれたブラックレザーストラップも付属。これら3本のストラップすべてにクイックリリース機能が付いているため、好みに応じて容易に交換が可能だ。
初代モデルから引き継がれた特徴として、ブラックのカレンダーホイール、裏蓋に施されたヒトデのモチーフ、そしてGMT以外の全バリエーションで見られる逆回転防止ベゼルがある。
ほかのモデルと同様、この時計にはミドーのCal.80を搭載。これはETA C07.621をベースにしたスウォッチグループのムーブメントであり、ハミルトンの自動巻きモデルなど多くの時計にも採用されている。これは約80時間のパワーリザーブを誇り、ニヴァクロン製のヒゲゼンマイを搭載するなど信頼性の高い自動巻きムーブメントだ。スウォッチグループの主力である理由も納得できる。
このモデルは8月13日に発売され、販売価格は1480ドル(日本円で約21万8000円)だ。
我々の考え
最初に言っておくが、私は通常、コーティングされた金属にはあまり興味がない。PVDを好きな人がいるのは理解できるが、私には合わない。コーティングが施されているとケースに傷が付きやすく、さらにPVDは指紋が目立ちやすいという点が気になるのだ。
ただ今回のリリースに関しては、PVDコーティングが効果的に感じられる。実物を手に取ると、漆黒のPVDケースと鮮やかなデコンプレッションスケールのコントラストが視覚的に強い印象を与えるからだ。ダイヤルの中心に4つの鮮やかな色を配置したデザインを4回も繰り返すと、まとまりのあるデザインにする方法は限られてくるため、このシリーズを限定版に戻したことも理解できる。この時計のターゲットとなる顧客は、これまでのリリースをすべて手に入れてきた熱心なコレクターか、あるいは以前から欲しかったが手に入れられなかった人たちだろう。
ミドーのウェブサイトでは、すべての始まりとなった60年代のオリジナルデコンプレッション タイマーを紹介している。
次のエディションをどうするべきかと問われたら、私はブランドのウェブサイトに掲載されているオリジナルのオーシャンスター レインボーダイバーのより忠実な再現を提案するだろう。ベゼルはスティール製にして、ホワイトダイヤルにはオリジナルのようにゴールドの植字ミドーロゴを配置し、分針をPVDコーティングして時針と秒針をゴールド、分針をブラックにしてオリジナルと同じデザインにする。オリジナルの細部まで忠実に再現し、究極のトリビュートモデルにするべきだ。
これを逆にしたのが今年の新作である。今回のモデルはミドーの歴史のなかでも特にユニークな部分へのトリビュートであり、ヴィンテージダイバーのようにマットなスタイルのPVD処理を施していたらおもしろかったかもしれない。あるいは光沢のあるリッチな仕上げを保ちつつ、DLCコーティングで耐傷性を高める方法もあっただろう。しかし1500ドル未満の価格で提供されるこの時計は、その内容に見合った価格設定だ。特に追加のストラップとの組み合わせは、そのままでも素晴らしいパッケージである。
結局のところ、過去のモデルから劇的な変化があったわけではないが、それが狙いだと思う。この200mダイバーは楽しくて遊び心があり、時計コレクターにとっての隠れた魅力をたくさん備えつつ、カラフルな時計を探している人にもアピールできるデザインだ。典型的な夏のダイバーズウォッチであり、オールブラックカラーは実際に使用する際きわめてスタイリッシュに感じられるだろう。
今作がいわゆる(しばらくのあいだの)シリーズ最終版となると考えると、おそらくすぐに売り切れると思う。今月、これを身につけている人を見かけるのが楽しみだ。
基本情報
ブランド: ミドー(Mido)
モデル名: オーシャンスター デコンプレッション タイマー 1961(Ocean Star Decompression Timer 1961)
型番: M026.807.33.051.00
直径: 40.5mm
厚さ: 13.4mm
ラグからラグまで: 47mm
ケース素材: ポリッシュ仕上げのブラックPVD加工ステンレススティール
文字盤色: ブラック(マルチカラーの減圧スケール付き)
インデックス: ポリッシュ仕上げのアプライド(スーパールミノバを塗布)
夜光: あり
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: ブラックPVDのSSミラネーゼメッシュブレスレット(ブルーラバーストラップとブラックカーフスキンストラップが付属)
ムーブメント情報
キャリバー: 80(ETA C07.621ベース)
機能: 時・分表示、センターセコンド、日付表示
直径: 25.6mm
厚さ: 5.31mm
パワーリザーブ: 約80時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 25
クロノメーター認定: なし
追加情報: 3つのポジションで調整
価格 & 発売時期
価格: 1480ドル(日本円で約21万8000円)
発売時期: ミドーの正規販売店
限定: あり、世界限定1961本(シリアルナンバーはなし)
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