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クイック解説
クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーがこの度発表した2021年の新作モデル、レギュレーター・スケルトン FB RS。ブランド初のスケルトンムーブメントとなったほか、生産スタイルにおいても新たな試みが取り入れられた。
新しいレギュレーター表示のスケルトンムーブメントCal.FB-T.FC-RSは、1768年にルイ15世がフランス海軍のために注文したマリンクロノメーター No.8にインスピレーションを得て製作された。当時、このマリンクロノメーターが20台注文されことに倣い、新作ムーブメントも20個のみの限定製造。浸炭ステンレススティールを採用したオクタゴンケースか、もしくは18Kローズゴールド製ラウンドケースのどちらにするか、ユーザーが自分の好みに合ったケースデザインを選んで注文することができる。
クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー社長のカール-フリードリッヒ・ショイフレ氏はプレスリリースの中で次のようなコメントを寄せている。
「私たちの第一の目的は、オーナーの利益を守ることです。予め定められたムーブメント数を明確に発表することで、私たちは透明性を高めます。オーナーは時計自体の希少性と同様、ムーブメントの希少性についても気にされており、私たちはムーブメントと顧客を中心に考え、彼らのコレクションに完全性を提供します」
新作のレギュレーター・スケルトン FB RSに搭載されるCal.FB-T.FC-RSは、厳格に20個限定とすることが発表されたが、今後は全てのコレクションでムーブメントの製造数を限定し、2つのケースを採用すること、ケースのデザインや素材などをユーザーが選択できるようになるという。
新作のCal.FB-T.FC-RSは、冒頭でも触れたとおり、ブランド初のスケルトンムーブメントだ。 トゥールビヨンとフュゼ・チェーン機構を搭載したレギュレータータイプのクロノメーターで、2時位置の開口部では大きなサファイアクリスタルディスクによって時間を、12時位置にオフセットされたインダイヤルでは分を表示。そして、文字盤外周のフラットなサファイアクリスタル製のインナーベゼル上で秒を表示する。2018年発表のレギュレーター式トゥールビヨンがベースだが、3割以上のパーツを換装する必要があったという。
スケルトン化はトゥールビヨンキャリッジの印象的な眺めを確保し、着用時にトゥールビヨンが動いている様子を見たいという顧客のリクエストに応じたものだ。多くのパーツはブラックPVD加工が、そしてポリッシュ、マット、ヴァーディカルサテン、サンドブラストといった仕上げが交互に施されている。
Cal.FB-T.FC-RSは、香箱と逆回転フュゼの両方を吊り下げ式(片側のみ固定)とし、特許も取得したピラータイプ構造が特徴。また、パワーリザーブインジケーターは10時位置に設けられているが、ケースバック側から見える吊り下げ式の円錐台が、香箱に連結したアーバー(テーパーのついた金属の棒)に沿って上下。先端にルビーの付いたモビールアーム形状のフィーラースピンドルが円錐上にあり、その位置により香箱の巻き上げ状態を反映。フラットレバーと螺旋バネを介して、ダイヤル側のパワーリザーブインジケーターに情報が伝達される。
極めて手間ひまをかけて、丁寧に作られる新作のレギュレーター・スケルトンFB RS。価格は浸炭ステンレススティールケースのFB 1RS.6が3291万2000円、18KローズゴールドケースのFB 2RS.2は3417万7000円(共に税込)だ。
ファーストインプレッション
搭載する複雑かつ精密な機構も当然ながら魅力ではあるのだが、クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーの凄みは、その並々ならぬディテールへのこだわり、クオリティへのこだわりにあると感じている。そのことを新作モデル、レギュレーター・スケルトン FB RSは改めて実感させてくれた。
例えば、ケースに使われている浸炭スティール。この素材は以前から使用していたものだが、簡単に言うと化学的に分子構造が強化されたスティールのことだ。 素材は自社で調達し、加工は専用メーカー(航空関係の専用メーカー)へ依頼しているという。特徴は非常に硬いという点だが、表面だけの加工ではなく、1400ビッカーズの硬度があり、ダイヤモンド以外で傷が付かない。これはメリットでもあるが、硬すぎてネジ穴を切れないため、ネジ留めができず特殊な形状のケースになっている。品質的には優れているものの、非常に高価な素材のため、クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー以外の時計ブランドで使っているところはないという。
そしてムーブメントを構成するパーツの仕上げは、より一層、驚くほどの手間とコストが掛けられている。例えば、ムーブメントベースプレートだ。ブラックPVD、そしてサンドブラストが施されているが、面取り加工もされている。これは最初に面取りをした後、ムーブメントの側面、その上にサンドブラスト加工をかけ、面取り部分に傷などがあった場合は、キレイに処理した後で再度サンドブラスト加工を行う。相反する仕上げのため、最後は面取りとサンドブラストの仕上げを何度も行き来するという、恐ろしいほどの手間がかかっている。
その後、ブラックPVDをかけるのだが、面取りにあまい部分があったときにキレイにならないため、加工をかける前に最終チェックがあり、それも加工工程を非常に難しいものとしている。
トゥールビヨンを支えるブリッジは丁寧に磨きをかけてブラックポリッシュ仕上げを施している。これは搭載する複雑機構を構成するパーツであり、人の目に触れる機会が多い部分であるため、丁寧に仕上げられているわけだが、同社の場合、前述のように、あまり見えないような部分にも並々ならぬ手間ひまをかけて仕上げているのである。
ムーブメントの一つの装飾だけでも数十の職人技を必要とし、伝統的な工具を用いて30種類の仕上げを施すという。さらに仕上げ後は、通常スイスでは使わないという6倍ルーペでチェックするという念の入れようだ。ムーブメントの仕上げだけでも200時間が必要となるというから驚きである。
元々、年間を通しても非常に限られた数しか製造しないクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー。新作発表と共に、自社製ムーブメントの総製造個数を公表すること、そしてムーブメントを限定して、ケースなどはオーナーの好みに応じて選択できる形をとることを表明したが、そうなると今後はますます製造に時間がかかり、手に入れることが難しくなるかもしれない。だが、細部に至るまで並々ならぬこだわりを込めて作られる時計を見ていると、より一層オーナーが満足できる時計との出会いが期待できるだろう。
基本情報
ブランド: クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー(Chronométrie Ferdinand Berthoud)
モデル名: レギュレーター・スケルトン FB RS
型番: FB 1RS.6(オクタゴンケース)/FB 2RS.2(ラウンドケース)
直径: 44mm(FB 1RS.6、FB 2RS.2共に)
厚さ: 13.95 mm (FB 1RS.6)/14.26mm(FB 2RS.2)
ケース素材: 浸炭ステンレススティール(FB 1RS.6)/ 18Kローズゴールド(FB 2RS.2)
文字盤色: スケルトン加工のレギュレータープレート(ダイヤル)、ニッケルシルバーにブラックPVD加工、バーティカルサテン仕上げ
インデックス: サファイアクリスタルディスクのアワー(2時位置)、スケルトン加工/サンドブラスト仕上げ/シルバートーンのミニッツ(12時位置)、サファイアクリスタルのセコンドインデックス(インナーベゼルリング)
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: 1枚革から作られるヘリ返しの手縫いアリゲーターストラップ(125×70mm、バックル20mm。異なるサイズも用意可能)。FB 1RS.6は長さ調整可能なダブルブレイドチタン製フォールディングクラスプと浸炭SS製トップカバー、FB 2RS.2は長さ調整可能なダブルブレイド18RG製フォールディングクラスプ (リクエストによりピンバックルも可能)
ムーブメント情報
キャリバー: FB-T.FC-RS
機能: 2時位置のディスク式アワー表示、12時位置にポインタータイプのミニッツ表示、センターセコンド表示、 10時位置にパワーリザーブインジケーター、 フュゼ・チェーン機構搭載のトゥールビヨン(コンスタントフォース機構)
直径: 37.3mm
厚さ: 9.89mm
パワーリザーブ: 53時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 49
クロノメーター認定: あり。COSC(スイス公認クロノメーター検定協会)認定
追加情報: 限定で20個のみ製造
価格 & 発売時期
価格: FB 1RS.6は3291万2000円、FB 2RS.2は3417万7000円(共に税込)
発売時期: 要問い合わせ
限定: ムーブメントを限定で20個のみ製造し、ケースはオクタゴンケースのFB 1RS.6、もしくはラウンドケースのFB 2RS.2から選択
詳細は、フェルディナント・ベルトゥー公式サイトをクリック。