trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

In-Depth パテック フィリップがふたつの新作、5396R-016と4946G-001を発表し、年次カレンダー誕生30周年を祝う

技術仕様からリファレンスの概要まで、今日発表された新作に至るまでのすべての歩みを掘り下げていく。

ADVERTISEMENT

今年もまた、パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)は、象徴的かつ多くの人々が渇望するノーチラスの50周年を含む大きな節目の年を迎えた。しかし多くの人々が見落としがちなのは、年次カレンダー(アニュアルカレンダー)ムーブメント誕生30周年であることだ。ブランドはこれを記念して、ふたつの新しいリファレンス、5396R-016と4946G-001を発表した。

Patek
Patek

 長年にわたり、時計界の大部分は、少なくとも月に1度の操作を必要とするシンプルな日付表示やデイデイト、あるいはコンプリートカレンダーといった比較的シンプルな機能か、あるいは(ムーブメントが動き続けている限り、少なくとも約100年間は)日と月の調整を自動で行ってくれる複雑な永久カレンダー(パーペチュアルカレンダー)のどちらかに二分されていた。多くの人にとっては、それで十分だったのかもしれない。では、シンプルと複雑の中間地点とは何なのか、それはそもそも必要なものだったのだろうか?

 パテック フィリップにとって、年次カレンダーは確かに必要不可欠なものだった。その理由については後ほど詳しく説明する。紀元前45年から物事を複雑にしてきたうるう年というユリウス暦特有の奇妙な仕組みを管理し、2月を含む各月の日数(4月、6月、9月、11月の短い月)に合わせて自動調整する永久カレンダーの代わりに、パテックはそのほとんどをこなすカレンダーを作り上げた。実際、最後のふたつの要素(2月の調整とうるう年)以外はすべて自動で行ってくれるため、ユリウス・カエサルが定めた365.25日の暦年とは関係なく、ユーザーは年に1度、2月にだけ時計を調整すればいい。

Steel 1518

昨年秋、フィリップスで1760万ドル(当時のレートで約27億円超)で落札された、永久カレンダークロノグラフを搭載したスティール製パテック フィリップ(Ref.1518)の写真。これはヴィンテージウォッチとして史上最高額での落札記録となった。

 幸いにも、顧客はこの妥協点を見いだした解決策を高く評価した。ブランドの製品ラインナップの空白を埋める独創的な手法は、年次カレンダーの先駆者であるパテック フィリップにとってのヒット作となっただけでなく、ほかの主要ブランドの多くもパテックの足跡を辿るような、少なくとも試行錯誤を始めるきっかけとなった。


なぜ年次カレンダーなのか?

 その答えはきわめてシンプルだ。これについては、最初の年次カレンダーモデルである5035について執筆し、今回の記事の土台を築いてくれたジェームズ・ステイシー(James Stacey)に敬意を表したい。端的に言えば、クォーツショックの痛手からようやく立ち直りつつあったパテック フィリップが、傑出したシンプルな時計と、象徴的な永久カレンダーとのあいだに価格の大きな乖離(かいり)があることに気づいたときにどうしたのか? 同ブランドはそのギャップを埋めるために創造性を発揮したのである。

Patek 3940 Beyer

バイヤー・クロノメトリー創立225周年を記念して製作されたパテック フィリップのRef.3940。これはパテックのRef.3940として初めて製作されたモデルである。

 「1990年代初頭、パテック フィリップが自社のラインナップを見直したところ、約9000ドルのベーシックなカラトラバと、4万5000ドルの3940のような永久カレンダーとのあいだにある種の空白があることに気づいた。そのため、パテックの経営陣はラインナップのその隙間を埋めるべく、永久カレンダーほど高価ではない実用的な複雑機構が必要だと判断し、まったく新しいもの、すなわち年次カレンダーウォッチを創り出したのだ」と、2022年の記事は伝えている。

Patek 3960

創業150周年を記念し、1989年に150本限定で製造されたパテック フィリップのRef.3960。Photo courtesy Phillips.

 理由は単純なことだ。パテックが価格のギャップを埋めることができれば、より多くの顧客を惹きつけることができる(何しろ当時は、膨大なウェイティングリストができる前の時代の話だ)。また、年次カレンダーは(理論上も実際も)部品点数が少なく、摩耗も抑えられるため、顧客は長期的にメンテナンス費用を抑えることができる。ブランドはまた、高額な時計の需要不足に対処するため、最高級の複雑機構の生産を抑制、供給を減らすことでブランド価値を守ってきた。問題だったのは製品そのものではなく、価格だったのである。


技術仕様

 1996年を振り返ると、当時まだ誰もが“インハウス(自社製)”にこだわる前の時代だった。ブランドは手元にあるツールを駆使し、誇りを持って技術革新に挑んでいた。たとえそれが自社という枠を超えて外部に協力を求めることを意味していてもだ。パテック フィリップの年次カレンダーに関するコレクタビリティ(Collectability)の深掘り記事で言及されているように、(パテックのエンジニアリング部門が提示した)ムーブメントの仕様については、実はジュネーブ工科大学の最終学年の学生たちに解決策が委ねられた。永久カレンダーの機構を分解するのではなく、シンプルなカレンダーウォッチをベースにゼロから構築するという課題だった。

Patek caliber 315 S QA

ブランドの特許画像に示されているCal.315 S QA。

 実際、その違いはとても際立っていた。多くの永久カレンダーは、日付を進めるタイミングを決定するためにラック、カム、ジャンパースプリングのシステムを使用する。それに対して、完成したムーブメントは歯車(ホイール)とピニオンのみに依存していた。シンプルなカレンダーをベースにしているため、6時位置の窓に明確な日付を表示するのは理にかなっている。その結果誕生したのがCal.315 S QA(Quantième Annuel)であり、出願された特許の功績はセドリック・ファーグ(Cedric Fague)氏とフィリップ・バラ(Philip Barat)氏の名義で登録された。ふたりはその功績によりパテックに採用され、バラ氏はWatches & Wondersでの年次技術プレゼンテーションの常連となり、ファーグ氏も2024年までムーブメントエンジニアとして活躍した。

 31日ある長い月では、カレンダー機構はシンプルな日次サイクルで動作する。24時間駆動車に取り付けられた日付フィンガーが、31枚の歯を持つ日付車を毎日1ステップずつ前進させる。この日付車は、輪列を介してカレンダーのデイジーホイール(雛菊状の歯車)に動きを伝える。デイジーホイールが日付リングを動かし、正しい日付がダイヤルに表示される仕組みだ。

Patek Movement

5035に搭載されたCal.315 S QA © Europa Star

 日付車の下には12本の突起を持つ月星車が隠されている。日付車はこの部品も駆動し、1年かけて1回転する。星車にある小さなピニオンがダイヤル上の月針を動かし、月が変わる際に表示が正確に更新されるようになっている。ここまではきわめて直感的だが、ここからが挑戦だった。

 4月、6月、9月、11月の日数が少ない月には、カレンダーを30日から翌月の1日へと直接ジャンプさせる必要がある。この調整は、日付車や月星車と同軸上にあるカレンダープログラム車によって制御される。プログラム車には5つの丸みを帯びた歯があり、2月を含むそれぞれの日数が少ない月に対応している。30日の月の終わりに、これらの歯のひとつがロッカーカムを作動させ、機構内のアドバンスカムを一時的に配置する。24時間車が深夜近くに回転し続けると、このカムが日付車に2回目の押し込みを加え、31日をスキップして表示を直接1日へと移動させるのだ。なお、永久カレンダーで発生する操作禁止時間帯の安全性に関する問題は依然として存在しており、年次カレンダーでも解消されているわけではない。日付の切り替えは深夜近くに始まるが、すべての部品が完全に前進し、調整が“安全”に行えるようになるまでには4時間を要する。

An image of the 5035 from 1996 © Europa Star

1996年の5035の画像© Europa Star

 Cal.315 S QAを初搭載した新しい年次カレンダー 5035は、エレガントなケース、美しく仕上げられたムーブメント、追加された複雑機構、そして信頼性という、最高品質のパテック フィリップの証を備えていた。しかし、それは新しい視覚的言語も導入した。“形態は機能に従う”と言われるように、輪列の配置によってダイヤルはより三角形に近いレイアウト(6時位置の日付窓を含む)を余儀なくされた。これは左右対称ではあるものの、3940のような優雅さには一歩譲る印象が拭えない。また、驚くべきことに、その永久カレンダーモデルよりも44個多い部品(計324個)を必要とし、そのためにサイズもわずかに大きくなっていた(3940の36mm×9mmに対し、37mm×約11mm)。

Tropical 5036

2002年製のパテック フィリップ Ref.5036、ホワイトゴールド製。サーモンピンクのダイヤルが、経年変化によりバーガンディカラーへと変化している。Photo courtesy Phillips.

 しかし、発売当時の価格が1万8300スイスフラン(4万4700スイスフランの3940に対して)であったことからも、シンプルさと手頃な価格設定という、パテックが目指していたすべてを実現したという点で、このモデルは大成功を収めた。2年後、パテックは5036で別の選択肢を提示した。このモデルは直径39mmで、6時位置に24時間表示の代わりにムーンフェイズを備えており、より“パテックらしい”印象を与える。一方で、12時位置のインデックス付近にパワーリザーブ表示が浮いているデザインは、私の意見では明らかにパテックらしくないものだった。


注目すべきパテックの年次カレンダーモデル
Patek 4936

2008年製、パテック フィリップ Ref.4936A(そう、SS製だ)。マザー オブ パールダイヤルとダイヤモンドベゼルが特徴。Photo courtesy Sotheby's.

 ほかのブランドがパテックの築いた基礎を引き継いでいくなか、ブランド自身が年次カレンダーをどのようにコレクションに広げていったかを見る価値はある。ここでは詳細なリファレンスガイドの代わりに、私のお気に入り(あるいは最も重要)なモデルに絞って紹介しよう。その点で言えば、一連の流れをたどるためにも4936(女性向けに販売されたマザー オブ パールのダイヤルと二重のダイヤモンドベゼルを備えたモデル)に触れておくべきだろう。5036と視覚的に似ているこの後継モデルは2005年に発売され、Cal.324 S QA LUを搭載したことで、わずかに小さい37mmケースを実現した。

Patek tonneau

2008年製のパテック フィリップ Ref.5135P。Photo courtesy Antiquorum.

 そのムーブメントは、2004年に発表された5135 ゴンドーロ カレンダリオで初登場した。10時から2時位置にかけて3つの窓が並ぶ丸みを帯びたレクタンギュラーケースに、ムーンフェイズと24時間表示を備えている。正直なところ、これは見事な時計だ(個人的には、ムーブメントの安全性のために不可欠だったとはいえ、24時間表示がなければもっとよかったと思う)。このキャリバーでは、歯車の歯の形状の改良、振動数の向上(現在は2万8800振動/時)、より効率的な巻き上げシステム、そしてテンプの改良など、いくつかのアップデートが施されていた。

Patek 5960

パテック フィリップ Ref.5960A。同時代の最高峰の時計のひとつであり、二次流通市場におけるお買い得品だ。

 しかし、パテックの年次カレンダーにおける最も印象的な功績は、ブランドにとってのもうひとつの“初”から生まれたものだと私は主張したい。パテック フィリップが初めて自社開発したクロノグラフは、単体ではなく、2006年のRef.5960に搭載されたCal.CH 28-520 IRM QA 24Hという年次カレンダー フライバッククロノグラフムーブメントとして発表された。シリコン製ヒゲゼンマイのスピロマックス(Spiromax)を採用し、カレンダーとクロノグラフの組み合わせこそがブランドの真髄であることを再認識させる、ある種の原点回帰ともいえるモデルだった。5135と同様の窓配置を持つこれらの時計は、きわめてスポーティなデザインを作り上げ、二次流通市場でも魅力的な購入機会を提供している。ホワイトダイヤルとSSブレスレットのモデルなら、5万ドル(約800万円)前後で見つけることができるだろう。

Patek 5396

2009年製の素晴らしいパテック フィリップ Ref.5396G。もちろん、コレクタビリティを通じて販売されたものだ。このモデルは、独特なインデックスの配置と、希少なモダンセクターダイヤルを採用した、実に素晴らしいダイヤルデザインだった。Photo courtesy Collectability.

 また、2006年に発売された5396にも個人的に惹かれている。型番の末尾が“96”であることからもわかるとおり、この時計はセクターダイヤルを備えた初期の96モデルや、そのカレンダーモデルをほうふつとさせるカラトラバスタイルのデザインを採用している。残念ながら6時位置の日付窓は健在だが、347個の部品で構成されるCal.324 S QA LU 24H/303は人気の3448のように、曜日と月を窓で表示するようになった。このモデル(およびムーブメント)は現在も製造されており、砲弾型インデックスとドーフィン針を備えた3448のダイヤルデザインに近づいている。初期のデザイン以外では、18KWGブレスレットを備えた5396/1G-001(パテックで、複雑機構を備えたブレスレット仕様という組み合わせは非常に価値が高い)、ティファニー(Tiffany & Co.)のために作られた夜光針とブレゲ数字を採用した5396G-012なども一見の価値がある。また、ダークブラウンのダイヤルとケースに合わせた18KPGブレスレットを備えた5396/1R-001も存在し、ブレスレットバージョンは同様に5万ドル(日本円で約800万円)前後で取り引きされている。

Patek Movement.

スピロマックスヒゲゼンマイを搭載したCal.315 S IRM QA LU SI(左)。ムーブメントの1時30分位置付近、テンプ(11時45分位置付近)の近くに見える。

 しかし、パテックと年次カレンダーの物語は、アドバンストリサーチ(Advanced Research)プロジェクトに触れずには語れない。驚くかもしれないが(ご存じでなければ)、アドバンストリサーチの基礎はパテック、ロレックス(ROLEX)、スウォッチ グループ(SWATCH GROUP)、ユリス・ナルダン(ULYSSE NARDIN)、そしてスイス電子工学マイクロ技術センター(CSEM)の共同研究によって築かれた。このグループはシリコン製ヒゲゼンマイの製造に関する特許(2005年から2022年まで)を保持しており、それがパテック初のアドバンストリサーチムーブメントである2005年のCal.315 S IRM QA LU SIの開発を可能にしたのである。

Patek

アドバンストリサーチ Ref.5250。Photo courtesy Patek Philippe.

 このムーブメントは、ホワイトゴールドの39mmケース、シルバーの垂直サテン仕上げダイヤル、ブラック仕上げの砲弾型およびアラビア数字インデックス、夜光針、そして5036に似たレイアウトを持つ5250に搭載され、100本限定で発売された。さらに重要なことに、このムーブメントにはシリコンベースのガンギ車が使用されていた。その翌年には、18KPGの39mmケース、グレーダイヤル、18KPGのインデックス、スピロマックスヒゲゼンマイ(Silinvar®製ベース)を備え、珍しい拡大鏡付きの裏蓋を採用した5350が300本限定で続いた。最後に2008年に発表された5450では、プラチナケースとサーモンダイヤルというオールドスクールな人気の組み合わせが登場。ムーブメントはSilinvar®製のガンギ車とアンクルを採用したパルソマックス(Pulsomax)脱進機へと進化を遂げた。

Patek ref. 5326G

素晴らしいパテック フィリップ Ref.5326G。

 その後も、2007年には初の年次カレンダー・ミニット・リピーター(5033)、2010年のノーチラス(5726)、アクアノート(5261R)、そして2011年のパテック初のレギュレーターウォッチ(5235)など、数々の革新が続いた。私個人の好みは、2022年のWatches & Wondersで発表された5326Gだ。クル・ド・パリ装飾を施したミドルケースと、ブラウン/グレーの質感のあるダイヤルにトラベルタイム表示とスポーティさを融合させ、一種の複雑なフィールドウォッチのような外観に仕上げられている。Cal.31-260 PS QA LU FUS 24Hは、ジャイロマックステンプとスピロマックスヒゲゼンマイを備え、アドバンストリサーチで培われた技術革新が盛り込まれている。もしブランドの年次カレンダーを1本所有できるなら、私はおそらくこの5326Gを選ぶだろう。


フォロワーモデル

 他のブランドも、実用的で手頃、かつ複雑で便利なカレンダーを作るメリットにすぐさま気づいた。実際、多くのブランドが独自の年次カレンダーに挑戦したように思う。網羅的なリストを作る代わりに、主要なハイライトに絞って紹介しよう。

 多くのコレクターにとって特に注目すべきは、A.ランゲ&ゾーネ(A.LANGE & SÖHNE)のラインナップと、ロレックスのスカイドゥエラー(Sky-Dweller)だろう。スカイドゥエラーはそのユニークで簡略化されたデザインゆえに、年次カレンダーとしては見落とされがちだ。ランゲは2010年に、マイクロローターを備えたサクソマット(Sax-O-Mat)キャリバーと、ブランドの象徴であるアウトサイズデイトを搭載したサクソニア・アニュアルカレンダーを発表した。そして2017年には1815 アニュアルカレンダーを発売。これは(彼らが比較を嫌うのは承知の上だが)3940を強く連想させるダイヤルレイアウトを、極めてドイツ的なアプローチで解釈したモデルだ。多くのランゲ製品と同様、市場にある他の年次カレンダーよりもわずかに大きい(40mm)が、手巻きムーブメントのおかげで厚さはわずか10.1mmに抑えられている。

Rolex Sky Dweller

SS製のロレックス スカイドゥエラー。A Week on the Wrist記事より。

 スカイドゥエラーは、それ自体がアイコンである。私がまだ時計業界に深く関わっていなかった(少なくとも業界の有力者たちと親交がなかった)頃、スカイドゥエラーはコレクターたちが争奪戦を繰り広げる時計だった。しかし、それは当然のことだった。フルーテッドベゼル、サンレイ仕上げのダイヤル、オイスターブレスレットといったブランドのクラシックでドレッシーなデザインコードを維持しながら、第2時間帯を表示する巨大な24時間回転ディスク、サイクロップレンズ付きの日付窓、そして12個のインデックスの隣にある小窓で示される独創的で控えめな月表示を備えている。2012年の発表当時と同様、現在でも通用する実に見事なデザインだ。

 独創性の面で特筆すべきは、ロレックスが特許取得済みのリングコマンドシステムにより、ベゼルを複雑機構の機能的な操作部へと変えたことだ。ベゼルを反時計回りに1クリック回すとリューズで日付と月を設定でき、2クリック目でローカルタイム、3クリック目でホームタイム(第2時間帯)を設定できる。

 IWC、パネライ(PANERAI)、オメガ(OMEGA)、F.P.ジュルヌ(F.P. JOURNE)もすべて年次カレンダーを製造しているか、過去に製造していた。オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)も同様だ。その広がりをすべて挙げるのは読者の皆さんに委ねるとして、最後にひとつ重要な時計を紹介しなければならない。オックス・ウント・ユニオール(OCHS UND JUNIOR)のアニュアルカレンダーは、ベースとなるETA 2824-2に、わずか5つの追加パーツという驚異的に簡潔な機構で、他ブランドが何年もかけて何百ものパーツで実現することを成し遂げている。ただし、その表示はパテックほど直感的ではなく、仕上げのレベルも同等ではない。比較対象としては異なる性質のものだが、一考に値するモデルである。


新たな年次カレンダー 5396R-016と4946G-001

 前述した理由により、パテック フィリップの5396はこの20年にわたり、ブランドのアイデンティティを支える柱のひとつとなった。同ブランドのブティックに足を踏み入れれば、壁掛け時計として5396が飾られているのをよく目にするだろう。それはこのモデルがいかにブランドを象徴する重要な存在であるかの証だ。2024年に発売された5396G-017は、ブルーのサンバーストダイヤルとダイヤモンドインデックスを備え、同モデル史上最高に美しい姿のひとつだった。そして今回、18KPGケースにサンドベージュのサンバーストダイヤルを組み合わせた、希少かつクラシックなモデルが登場した。

Patek

 このトーン・オン・トーンのダイヤルは、伝説的なモデルの幕開けとなったべイヤー(Beyer)署名入りのドレ(doré)ダイヤル 3940や、5396R/1-001をほうふつとさせるが、後者よりも少し明るいトーンだ。3940とは異なり、5396はより現代的な仕上げが施されている。サンバーストダイヤル、ファセット加工が施されたオビュ(砲弾型)スタイルの植字インデックス、ファセット仕上げのドーフィン針、そしてスネイル仕上げ(同心円状の装飾)が施された24時間インダイヤル。予想どおり、時計はセンターポストの上に曜日と月を表示するふたつの窓、6時位置に日付窓、そしてムーンフェイズを備えている。

Patek
Patek
Patek

 ムーブメントは、過去20年間と同様、Cal.26-330 S QA LU 24Hを搭載しており、ストップセコンド機能と自動巻きを備えている。センターセコンド用の秒針停止機能はあるが、カレンダー機能はすべてケースサイドのプッシャーを使用して設定する必要がある。以前にも述べたが、ムーブメントが良好かつ確実に動作しているならアップデートの必要はないかもしれないが、将来的にはこのムーブメントに若干の改良が必要になるかもしれない。21金ゴールド製のセンターローターを備えたムーブメントは2万8800振動/時で駆動し、ジャイロマックステンプとスピロマックスヒゲゼンマイを採用しているが、パワーリザーブは45時間とやや控えめだ。時計はブランドの厳格な基準に従って仕上げられ、パテック フィリップ・シールが刻印されている。

Patek

 パテック フィリップの4946Gは、昨年のWatches & Wondersで発表された4946Rに続くモデルだ。中央近くに配置された3つの小さなインダイヤルと6時位置の日付窓を備えた新しい4946Gは、18KWGケースとコントラストを成すシャントゥン(山東絹)パターンのブルーグレーダイヤルを採用している。

Patek

 内部には、2023年にコレクション初の年次カレンダーとして発表され、5261R-001 アクアノートで初登場したCal.26-330 S QA LUを搭載。ムーブメントの基本構造が共通しているため、スペックの多くは同じだ。2万8800振動/時の振動数、45時間のパワーリザーブ、21金ゴールド製のセンターローター、そしてブランドが精度、仕上げ、生涯にわたるメンテナンス性を保証するパテック フィリップ・シールを備えている。

Patek
Patek
Patek

 ホワイトゴールド製ケースのサイズは直径38mm、厚さ11.23mmで、30mの防水性能を備える。時刻設定はリューズで行い(リューズを引くと秒針停止機能が働く)、ケースサイドの10時、4時、2時、8時位置にあるコレクターで、それぞれ曜日、日付、月、ムーンフェイズを設定する。時計には、デニムパターンのライトブルーカーフストラップが組み合わされ、コントラストの効いたホワイトステッチと18KWG製のピンバックルを備えている。

パテック フィリップ 5396R-016および4946Gの詳細については、ブランド公式サイトをご覧ください。また、本テーマに関する調査と資料提供をいただいた Everywatch.comおよびCollectabilityに感謝いたします。