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Interview ノルケインがケニッシと協業し2つの自社キャリバーを発表

2018年創業の新興ブランドが、早すぎる第二章を開幕させた。

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「たった2年でオリジナルキャリバーを出すことが重要だった」

 約半年ぶりに会うノルケインのCEOベン・カッファーは、そう力強く答えた。今回、僕はケニッシ(Kenissi)社との協業というビッグニュースを引っ提げて来日したノルケインのトップに、直接真相を聞くべくインタビューをする機会に恵まれた。ノルケインは、ケニッシ社と長期パートナー契約を結び、2020年の新コレクション以降、同社製のマニュファクチュールキャリバーを搭載した時計を発表していくという。

 今回カッファーが持参してくれたムーブメントは2つあり、3針のものとGMT機能をもつものだった。ケニッシ製のGMTというととあるブランドのアイコニックな時計が思い浮かぶが、他に多く出回るようなキャリバーでもないため、非常に貴重なものには違いない。問題はもうひとつの方だが、GMTと比べると3分の2ほどの大きさしかない、ひと際小さな3針ムーブである。これは、ケニッシがノルケインのために完全エクスクルーシブで生産したものなのだという。NN20/1というこの3針ムーブメントは、昨今人気の40mm以下のケースにもマッチするであろう、デザイン上の自由度と70時間パワーリザーブをもつ高品質なものである。

 このようなムーブメントが開発され、創業2年にも満たないブランドに託されたことに、僕は興奮と奇妙さを覚え、ついカッファー氏に直接聞いた。

 「なぜケニッシは、あなた達にこのムーブメントを渡したのでしょう?」

NN20/1。直径26mm、厚さはわずかに4.9mm。このサイズで70時間のパワーリザーブを発揮する。

両持ちで堅牢な作りのテンプ受けと、フリースプラングテンプが特徴的。全体に耐久性の高そうな構造である。

 「ケニッシは、多くの部分でノルケインというブランドに共感してくれました。我々がニューストーリーを描く独立ブランドであること、1500-4000CHF(約16万8000〜45万円)というプライスストラテジーをもっていること、それに情熱的であることです(笑)。ケニッシも研究・開発には多額の投資をしているので、長いスパンで組むことのできるパートナーを探していた事情もあったようですね。また、僕らがとてもスピーディにビジネスを展開したいと思っていることも十分に理解してくれ、今回のタイミングで2つのムーブメントを発表することができました」

 シャネルが20%の株式をもち、チューダーのムーブメント製造も行うケニッシ。眉唾ものの話ではあるが、実際にノルケインのムーブメントを開発したということが、カッファーが話すように共感でもって両者のパートナーシップが成立した証でもあるだろう。では、これを手にしたノルケインが描く、第二章のストーリーはどんなものなのだろう?

 「我々は、フリーダム、アドベンチャー、インディペンデンスの3つのコレクションで新キャリバーを搭載した新作を発表します。もちろん、既存のモデルも並行して製造していきますが、最も驚いていただけるのは40mmを切る3針のスポーティな時計だと考えています。今は世界的に39mm径のシンプルな時計が人気で、比較的大きなものが好まれるアメリカでさえもこの状況は同じです。様々なウォッチフォーラムでもこのくらいのサイズを求める声が多く上がっていますし、我々はこのカテゴリで競争力のあるものを提案していくつもりです。まずは、インディペンデンスで新しいモデルのローンチを予定しています」

3針ムーブは通常、機能を追加させていくことが多い中、同社ではこの薄さを維持することこそが重要だと捉えている。

GMTムーブメントNN20/2。時表示だけを操作できる「ローカルジャンピングアワー」機構を備えており、タイムゾーンをまたいだ際に時間の設定が容易に行える。COSC認定。

 一方で、GMTムーブメントであるNN20/2も十分に魅力的なものである。完全オリジナルで製作されたNN20/1が衝撃的すぎる部分はあるが、僕はノルケインのスピリットを表すにはこちらのGMTがより適していると感じ、それをカッファーに伝えると、

 「僕もそう考えているよ! ノルケインは、国境を超えて冒険を楽しむ人たちに向けて作っているブランドだからね」

 と笑って答えてくれた。
日常でも旅の最中でも、シームレスに相棒にできそうなGMTウォッチ。この魅力的な新作は、6月にスイスのツェルマットで発表予定とのことなので、続報があり次第また筆をとりたい。

ノルケインCEOベン・カッファー。ブライトリングでアジアのセールス責任者を務めた後、同社を興す。ケニッシとの協業は、2018年の創業から構想していた戦略であったという。

さらなる詳細はノルケイン公式サイトへ。