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※本稿は2014年6月にHODINKEE US版で公開された記事の翻訳です。
20世紀の最も有名なロレックス愛用者の1人として知られるのは、陸軍元帥であり、大統領であったドワイト・D・アイゼンハワーだ。実は、ロレックスを着用した最初のアメリカ大統領であり、彼の18Kデイトジャストは、ヴィンテージロレックス愛好家にとって伝説のようなものだ。アイゼンハワーは、有名なライフマガジンの表紙でその時計を身に着けていた。そしてなんと、それがオークションに出品された。
写真の金時計は、15万本めのクロノメーター認定を記念して、ロレックスが製造し、アイゼンハワーに贈ったものだ。この時計は、ウィンストン・チャーチルに10万本目の認定クロノメーターを贈呈したのに続くもので、第二次世界大戦中のアイゼンハワーの功績を称えて贈られた。
アイゼンハワー元帥のロレックスは裏蓋に、彼のイニシャルである“DDE”はもちろん、五つ星階級章、そして“12-19-1950”という日付まで刻印されている。また、ゴールドのジュビリーブレスレットのクラスプにも彼のイニシャルが刻まれている。
ケースバックの刻印とクラスプを詳しく見てみよう。
このロレックスは、何十年にもわたるアイゼンハワーの愛用品として知られるようになり、ライフ誌の表紙を飾ったことで、時計収集の世界でも非常に有名になった。
アイゼンハワーは、亡くなる前に自身のロレックス Ref.6305を、30年以上にわたって付き人を務めたジョン・モアニー巡査部長に贈った。アイゼンハワーは回想録の中で「私にはなくてはならない存在」と表現している。 ジョン・モアニーは、このロレックスを妻のデロレス・モアニーに託したが、彼女は長年、アイゼンハワーの料理人を務めていた。モアニー夫妻とは、生涯を通じて非常に親密な関係を保ち、大統領就任後の全期間、夫妻はアイゼンハワーの私邸に住んでいたという。
30年前、この時計はデロレス・モアニーによって、ローリー・デギア・エイミックスに売却された。彼はワシントンD.C.の偉人に最も近い人達を知ることで有名な収集家であり、このビデオでは、エイミックスが彼の素晴らしいコレクションについて語るのを見ることができる。かのロレックスは、3分48秒のところで現れる。
出品された時計には、ロレックスとアイゼンハワー陣営との間で交わされた書簡のいくつかが付随する。時計の修理についてや、ロレックスが20万本目のクロノメーターを誰に贈るべきかについての文書もある。アイゼンハワーはリドグウェイ将軍を推薦し、ロレックスはそれに応じた。
この時計は、アイゼンハワーに贈られて間もなく、デイト表示が正常に動作しなかったため修理に出された。ロレックスは、クロノメーターにとって想定外となる、ゴルフなどの非日常的な使用があったとしている。
このロレックスは、歴史家にとっても時計愛好家にとっても非常に重要な存在であることは間違いない。時計はかなり使い込まれていて、ダイヤルの交換もあったようにみえる(時計は50年代なのに1960年代以降に登場したトリチウムの使用を示す "T SWISS T "と記されている)が、出所は絶対に議論の余地のないものだ。
アイゼンハワー大統領のロレックス 6305 デイトジャストの開始価格は10万ドルで、オークションは2014年9月17日、ボストンのオムニ パーカー ハウス ホテルで開催された。詳細はこちら。
※なお、この時計は予定金額に達しなかったため、最終的に落札されなかった。