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Photos by Mark Kauzlarich
パルミジャーニ・フルリエは今絶好調だ。その理由は、パルミジャーニが2週間前にスティール製と18Kローズゴールドの両方で発表した、新しい42mmのトンダ PF スポーツ クロノグラフ(それと3針のトンダ PF スポーツ オートマティック)を見れば一目瞭然だ。このクロノグラフはトンダ GTシリーズよりも薄いが、ほかのトンダ PF クロノグラフよりも(12.4mmに対して)12.9mmとわずかに厚い。このラインの真髄ともいえるケースシェイプとラグは、これまでのPF クロノグラフによく似ている。全体的な変化はかなり小さいが、せっかくうまくいったその成功になぜ手を加えてしまうのか?
グイド・テレーニ(Guido Terreni)氏がパルミジャーニ・フルリエのCEOとして指揮を執りはじめたこの数年のあいだで、ブランドに新しい息吹が吹き込まれたように思える。まあ今や時が経っても色あせないブルガリ オクト フィニッシモが発売されたとき、テレーニ氏がブルガリの指揮をとっていたのだからそれほど驚かないが、それでも2回やって2回とも成功するのは当たり前ではない。
どういうわけか、テレーニ氏とチーム(自身の名を冠したミシェル・パルミジャーニ氏を含む)の手により元の地位へと返り咲き、ブランドは再び脚光を浴びることになった。テレーニ氏はブランドが一本調子にならないよう、ブランド全体のラインナップを充実させることを意識していると話してくれたが、トンダコレクションは最もポテンシャルが高いゆえに改善が急務だった。
彼は間違っていなかった。2020年にトンダ GTを、2021年にトンダ PFとしてトンダシリーズを再デザイン・再発売させたことで、パルミジャーニに対する市場の関心を再び高めた。その理由は、新しいスポーツモデルのようにリリースされるたびに明らかになっている。
Hands-On: パルミジャーニ・フルリエの新作トンダ PF GMT ラトラパンテは、今年一番の控えめな時計
なぜパルミジャーニがこれほどまでにクリエイティブで楽しいリリースをしたのか取り上げた、昨年の記事を見てみよう。
トンダ PF スポーツ クロノグラフに焦点を当てると、一見して最も明らかな変更点はストラップで、これはトンダとトンダ GTモデル(および少数の変わったトンダ PF)で最もよく見られるオプションである。この場合、時計には手作業で縫い合わせたコーデュラ加工のラバーとデプロワイヤントクラスプが付属。ストラップはケースのラグのあいだにシームレスに収まっているが、ストラップを交換するために必要に応じて裏側から取り外すことができる。
夏にメタルブレスレットからラバータイプに交換するのが好きな人にとっては、このオプションはかなりうれしいものだろう。一方、私は夏のベタベタした時期を金属製のブレスレットで過ごしているため、パルミジャーニチームに質問をしてみた。新しい時計にトンダ PFのメタルブレスレットを付けることはできるか? と。はい、と言われたが、でもそれは彼らが目指していたスポーティさのポイントに合っていたのだと思う。
時計内部にはCOSC認定ムーブメントのPF070を搭載する。このムーブメントは、これまでのトンダ PFクロノグラフに搭載されていた時・分・スモールセコンド、日付表示、クロノグラフを備えた完全一体型のクロノグラフであるパワーリザーブは従来どおり(約65時間)で、振動数(3万6000振動/時)、直径、厚さ、石、部品点数なども以前のものと同様だ。手作業で仕上げられたエッジの面取り、コート・ド・ジュネーブ装飾の見栄えも美しい。クロノグラフのプッシャーは均等な押し心地で、作動が成功したことがわかる満足感がある。実際のところ、(厳密にこれはPF070/6710だが)唯一の違いは(フェラーリ・250GTOにインスパイアされた)異なるローターであり、それ以外はすべて同じである。
外装の仕上げも素晴らしく、ポリッシュ仕上げとサテン仕上げがされたSSまたは18KRGを用意。しかしブレスレットがもたらす“輝き”がないストラップのほうが、そのすべてがもう少し静かでエレガントに感じられる。
もうふたつある大きな変化は、ダイヤル側から見てよくわかるものだ。おそらく、この時計の最も“スポーティ”な要素は、パンダダイヤルへの移行だろう。文字盤のメイン部分にはブランドのクル・トリアンギュレールパターンのギヨシェを施しているが、インダイヤル(ランニングセコンド、30分積算計、12時間積算計)はよりマットなブラックを採用している。一方、ベゼルのローレット加工には65カ所の切り込みがある。ブランドはこの切り込みが光をより効果的に演出し、時計を少し大胆にしていると述べている。正直にいうと、私自身は気づかなかった。オリジナルのトンダ PFベゼルの切り込みの正確な数や美的感覚まで知っている人がどれだけいるだろう?
針はケースの色と一致しているが、実際にはSSバージョンと同じ金属ではない。実際には、18Kゴールド製ロジウムメッキのスケルトンデルタ針を使用しており、上部にブラックの夜光塗料を塗布している。またクロノグラフ針にはロジウムメッキのSSが使われている。RG製ケースの場合は針もRG製だが、クロノグラフ針はRGメッキのSS製となっている。すべての夜光はブラックのスーパールミノインデックスと調和している。
おそらくいちばん目立つのは、残念ながら日付表示窓だろう。私の好みでは、このブランドは日付ウィンドウの色を文字盤に合わせて、よりよいバランスを保つことができたはずなのだ。
ここで少し触れておきたいのは、このブランドがリリースした3針のトンダ PF スポーツ オートマティック 40mmの日付が、ダイヤルの6時位置にあるということだ。仕上げは同様に全体的に素晴らしいが、クロノグラフ特有のスポーティさが欠けている。ドレッシーではないが、スポーティともいい難い時計だ。
それではこれらの新しいスポーツモデル、特にクロノグラフについて詳しく説明しよう。SS製の場合、価格は415万8000円だ。ただRGの場合、720万5000円(ともに税込)とかなり高くなる。ヴァシュロン・コンスタンタンが今年初めに発表した新作、パンダダイヤルのオーヴァーシーズ・クロノグラフが510万4000円(編集注記:発表時は税込で462万円)であるのと比べると、スティール製ウォッチとしては高額である。ただしパルミジャーニの時計は年間の生産本数がはるかに少ないため、個人の好みに左右される面もある。
価格に対する個人的な感情はおいておいて、この時計はトンダ PFコレクションが発展する興味深い姿を表しているように思う。いい製品が軌道に乗ったとき、ブランドが意識しているように見えるのだ。その優れたアプローチとは、このブランドが狙っているような複雑機構の開発(毎年、新しくて斬新なコンプリケーションを発表すること)であり、同時に拡大していく顧客層に幅広い選択肢を提供するために、ラインナップの隙間を静かに埋めているようだ。お金さえあれば、パルミジャーニはトンダ PFを欲しがるすべての人のために何かを用意しようと一生懸命努力している。これに腹を立てるのは難しいのだ。
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パルミジャーニ・フルリエについての詳細は、公式ウェブサイトでご覧いただけます。