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In-Depth ロレックスがエクスプローラーズクラブと提携する“エクスペディション ウォッチプログラム”の全貌

ロレックスは、探検に同行し、危険な目に遭う可能性のある時計を3モデル提供した。ただし、ひとつ条件があった。それはエクスプローラーズクラブの会員であることだ。

本稿は2018年8月に執筆された本国版の翻訳です。

マンハッタンのアッパーイーストサイドにあるエクスプローラーズクラブの本部を訪れる機会があり、巨大なホッキョクグマの剥製と1909年の北極探検で使われたソリをとおり過ぎたら、奥にある旗にぜひ注目して欲しい。ときにはほころびた、色鮮やかな布切れの数々には、驚くべき物語が隠されている。エベレスト頂上や海底、さらにはアポロの全ミッションで月面に降り立ったメンバー(アポロ11号には小型の旗が携行された)にも同行してきた旗が、ガラスの後ろに額装されている。エクスプローラーズクラブには、シルヴィア・アール博士(Dr. Sylvia Earle)、ジェームズ・ラヴェル(James Lovell)船長、ジェームズ・キャメロン(James Cameron)監督など、誰もが知っている有名人が会員として名を連ねている。クラブの図書館には、セオドア・ルーズベルト大統領の入会申込書の原本も所蔵されている(もちろん彼は入会を許可された)。

エクスプローラーズクラブの長年の会員であるシルヴィア・アール博士が着用する信頼のデイトジャスト。

 いわゆる“フラッグ探検”は、エクスプローラーズクラブの長年の伝統である。重要な科学的または探検遠征に参加する会員は、クラブの旗の携行を申請でき、その見返りとして、探検の成果と発見に関する詳細な報告書を提出し、現地で旗の写真を1、2枚撮影することを約束する。現地に送られる旗は通常持ち回りで、例えば、エベレストの頂上を目指した旗と太平洋のマリアナ海溝の底を目指した旗は同じである。特に重要な遠征のあとや、再利用できないほどぼろぼろになった旗だけが引退し、東70番街のクラブ本部にあるガラスの奥で壁に飾られて余生を過ごす。クラブとロレックスの長年のパートナーシップの一環として考案された新しいプログラムによって、フィールドで、そしてエクスプローラーズクラブで展示されるこれらの旗にロレックスの腕時計が加わることになった。

ロレックスの不朽の名作がエクスプローラーと呼ばれるのにはワケがある。

 ロレックスは何十年にもわたり、エクスプローラーズクラブのサポートパートナーを務め、イベントの開催や助成金による財政的支援に加え、エクスプローラー(当たり前だ!)、エクスプローラーII、サブマリーナーの3モデルを遠征で着用するために提供してきた。これらの時計は“ロレックス エクスペディション ウォッチプログラム”の趣旨に沿って、現在のフラッグ探検を同行する。これらの時計は、宇宙を歩いた最初のアメリカ人女性や深海に到達した最初の男性を含む選考委員会に提出された詳細な申請に基づき、価値ある探検隊に授与される(実は私はエクスプローラーズクラブのメンバーであり、この選考委員会のメンバーを兼任している)。

クラブの宴会場には25万年前のマンモスの牙が飾られている。Photo: Harrison Jacobs/Business Insider

ノルウェーの探検家トール・ヘイエルダール(Thor Heyerdahl)が、ペルーからポリネシアへのいかだ探検“コンティキ”計画に使った地球儀。Photo: Harrison Jacobs/Business Insider

最初の月面着陸の際に月へ運ばれたエクスプローラーズクラブの旗のミニチュア。Photo: Harrison Jacobs/Business Insider

 選考委員会の委員長は、長年エクスプローラーズクラブのメンバーとして活躍し、アポロ11号の月面ミッションの動力源となったF-1ロケットエンジンを発見・回収した探検隊の主催者でもあるデビッド・コンキャノン(David Concannon)氏。コンキャノン氏自身も時計愛好家のひとりである。アポロのF-1回収探検ではムーンウォッチと呼ばれる前のスピーディを、タイタニック号の潜水調査ではさまざまなロレックスの腕時計を身につけていた。彼は、ロレックスのプログラムはエクスプローラーズクラブにぴったりだと考えている。

 「タイタニックの発見から、音速の壁の突破、世界の海で最も深い地点への到達に至るまで、探検における偉大な勝利の多くはロレックスの腕時計をつけたエクスプローラーズクラブのメンバーによって成し遂げられました」とコンキャノン氏は言う。「エクスプローラーズクラブはロレックスとパートナーシップを結び、これらの偉業を今後さらに達成していくことに胸を躍らせています」

エクスプローラーII、エクスプローラー、サブマリーナーはエクスペディション ウォッチプログラムの一部である。

 エクスペディション ウォッチプログラムの一環として選ばれた探検リーダーは、ミッションのあいだ、後世に残すべく指定のロレックスを着用してその証拠を写真に収め、クラブに時計を返却する。ロレックスは各遠征を記念して時計の裏蓋にエングレービングを施すことで、銘板に各時計の使用履歴が記録される。旗と同様、各時計も何度かの遠征を経て、最終的にはエクスプローラーズクラブに永久展示されることになる。

 山岳ではエドモンド・ヒラリー(Edmund Hillary)、ラインホルト・メスナー(Reinhold Messner)、エド・ヴィエスターズ(Ed Viesturs)、極地ではウィル・ステガー(Will Steger)、ウォーリー・ハーバート(Wally Herbert)、ラヌルフ・ファインズ(Ranulph Fiennes)、海洋ではキャメロン、アール博士からジャック・クストー(Jacques Cousteau)まで、数え切れない探検家たちの手首を飾ってきた。洞窟や極地の氷上、あるいは火山のクレーターにいる冒険家たちを描いたロレックスの全面広告に見覚えのない人はいないだろう。前述のヒラリー、ヴィエスタース、ステガー、ハーバート、キャメロン、アール博士など、これらの広告に登場する探検家の多くは、エクスプローラーズクラブの会員であったか、現在も会員である。

 広告とはいえ、そのイメージには、最近我々が目にするものよりも、もっと本格的な真に迫ったものがあった。ロレックスはその当時の雰囲気を取り戻そうとしており、危険にさらされる者たちの相棒というブランドの歴史に焦点を当てたマーケティングの一面に再び向き合おうとしている。エクスプローラーズクラブとのパートナーシップはそうした姿勢の一環であり、その選択は納得できるものだ。自然保護パートナーシップやジャケットのワッペンに資金を提供することも重要だが、最も挑戦的で野心的で困難な試みのために実際に手首につける時計を提供することは、真のコミットメントと自信を示すものなのである。