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私が毎日欠かさず身につけているものがふたつあります……、腕時計と眼鏡です。服装は曜日や予定によって変わりますが(特にネクタイを締めるかどうかが重要ですが)腕時計と眼鏡だけは常に身につけています。職業柄、時計が好きなのは当然と思われるかもしれませんが、実は眼鏡の愛用歴のほうがずっと長いのです。というのも、実に37年半にわたり、物を見るためには常に顔に眼鏡が必要だったからです。ですから、数週間前にアーモリーで、時計デザインに着想を得た新作アイウェアラインを手がける金細工職人であるアルトゥール・アレクサニアン(Artur Alexanian)氏に出会ったとき、私がどれほど興奮したかは想像のとおりです。まさに、私が愛してやまないふたつの世界が交差する瞬間でした。
アレクサニアン氏は2000年、非常に注目すべき試みに挑戦しました。オランダの自身の工房で、すべてを手作業で仕上げるソリッドゴールド製のアイウェアの製作を始めたのです。年間の生産数はわずか30〜50本で、1本の完成にはおよそ2週間を要します。細部にまで一切の妥協がない、とはまさにこのことを指すのでしょう。過去100年のあいだ、ごく少数の人々しか挑戦してこなかった貴金属によるアイウェア製作という未知の分野に、彼は果敢に飛び込みました。そして2018年には、時計製造の技術を自身の製品に取り入れることでそのクラフツマンシップを飛躍的に高め、Inspired By Watches Collectionを誕生させました。
アイウェアの世界で活動していながらも、アレクサニアン氏は本質的に時計愛好家です。数年前、パリのジュエリーショーでジュネーブを拠点とする時計師と隣り合わせた際、彼は眼鏡作りと時計づくりのあいだにある魅力的な共通点に気づきました。その出会いは、彼がアイウェアの素材としてゴールドを選んだ原点とも呼ぶべき強いインスピレーションを再び呼び起こすことになったのです。
そう、このギアは実際に回転します。
ジェラルド・ジェンタ(Gérald Genta)やローマン・ゴティエ(Romain Gauthier)といった時計界の伝説、さらにはレジェップ・レジェピ(Rexhep Rexhepi)やマックス・ブッサー(Max Büsser)といった現代の独立系時計師たちからインスピレーションを得て、アレクサニアン氏は時計製造の要素を自身のアイウェアデザインに取り入れています。それは、フレームの外周にローマ数字(I〜XII)を配したシンプルな意匠から、トゥールビヨン機構に着想を得たブリッジ構造に至るまで多岐にわたります。
私はこれまで、顔にゴールド(ましてやトゥールビヨンなんて)を身につけた経験がなかったため、18Kのフレームがどのような装着感なのか興味がありました。その答えは、予想外にも“驚くほど快適”だったのです。試着する前に、アレクサニアン氏が眼鏡を2本の指の上に乗せてバランスの良さを示してくれたのですが、それは本当に見事で、まったく傾かず水平を保っていたのです。このバランスは、重量配分を徹底的に計算した設計によるもので、密度の高いゴールドをテンプルとテンプル先端に集中的に配置することで実現されています。もしこの記事を私と同じように眼鏡をかけながらお読みでしたら、ぜひご自身の眼鏡を2本の指の上に乗せてみてください。その違いがきっと実感できるはずです。当然ながら、こうしたクラフツマンシップとディテールを備え、そして貴金属を用いた作品は、決して安価なものではありません。アレクサニアン氏の眼鏡は、仕様によって価格が1万5000ドルから2万5000ドル(日本円で約214万から356万円)ほどになります。
耳の後ろで重さをうまく分散させているため、アレクサニアン氏の作品は顔に乗せたときに想像以上に軽やかで、ソリッドゴールド製とは思えない装着感を実現しています。私のお気に入りは18KホワイトゴールドフレームのB1257で、これはアレクサニアン氏のクラフツマンシップの高さを象徴する一品です。フレームの外側には約400個ものホワイトゴールドのパーツがひとつひとつ手作業で溶接されており、それを支えるのも、もちろんホワイトゴールド製のネジです。
18Kホワイトゴールド製フレームを持つB1257。
心から魅了されるような、常識にとらわれない作品を生み出している職人と話をすることほど、素晴らしい体験はありません。そしてまさに、アルトゥール・アレクサニアン氏はその代表格です。氏は年間を通じていくつかのトランクショーを開催しており、ブランドを初めて知る人にも、すでにファンである人にも、彼の手作業による逸品を実際に体験する貴重な機会を提供しています。もし彼が近くの都市に来ることがあれば、ぜひ足を運んでご覧になることをおすすめします。ゴールドに視力を向上させる効果があるかどうかはまだ分かりませんが、インスピレーションを与えてくれることは間違いありません。
アレクサニアン氏に関する詳細は、こちらをご覧ください。
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