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Hands-On ローラン・フェリエ クラシック・ムーンを実機レビュー

クラシックなデザインにローラン・フェリエらしいひねりを加えている。

ローラン・フェリエは、ここ最近HODINKEEでも多くの人々の関心を集めているブランドだ。しかし、HODINIKEEとローラン・フェリエの関係ははるか以前にさかのぼる。同ブランドは、HODINKEEでもっとも初期のコラボレーション先のひとつだ。昨年レビューしたスポーツ オートのリリースによって、ローラン・フェリエはここ数年流行しているブレスレット一体型のスポーツウォッチに代わる選択肢として再び私のレーダーに引っかかるようになった。しかし、今年のWatches&Wondersで同ブランドが発表したモデルもまた、クラシックを志向する私のかゆいところに手が届くものだった。こちらはクラシック・ムーンである。2010年に発表された同ブランドの“クラシック”のケースシェイプを踏襲する、年次カレンダー搭載のムーンフェイズウォッチだ。

Laurent Ferrier Classic Moon

 数年前から、私はパテック フィリップがRef.5396を永久カレンダー Ref.2497のデザインに近いもの(あるいはRef.3448)にアップデートしてくれないものかと期待していた。センターセコンドで6時位置に日付窓があるRef.5396の設計が、本来ならばクラシカルなデザインになり得るところを損なっている。しかし幸いにして、ローラン・フェリエはクラシック・ムーンによってさまざまな点でRef.2497のデザインにグッと肉薄して見せたのだ。

Laurent Ferrier Classic Moon

 クラシック・ムーンは、Watches&Wondersで見たなかでもっとも魅力的な時計のひとつだ。直径40mm×厚さ12.9mmのステンレススティール製、または18Kローズゴールド製ケースで展開されるこの時計は、アントワーヌ・ゲルラッハ(Antoine Gerlach)がパテックのために製作した時計に見られるような長いラグのおかげで手首に対して小さく見える。しかし、ヴィシェ(Vichet)製のRef.2499のラグのように角ばった特徴的な形状や、急激な傾斜はない。その代わりに、ラグは非常に洗練された滑らかなラインを持ち、ケースのその他の部分のフォルムにならったものとなっている。このデザインについては、またのちほど。スティール製のモデルでは、グレーブルーオパーリン文字盤に白色ペイントの針、ローズゴールド製のモデルでは縦にサテン仕上げを施したシルバー文字盤が用意されている。

 文字盤レイアウトは年次カレンダー Ref.5396よりもシンプルだが、このカレンダー部分は前述したヴィンテージパテックの永久カレンダーとは異なるアプローチがなされている。時計の文字盤上部には曜日と月を示す開口部があり、さらに6時位置には北半球と南半球をダブルで表示する夜光ムーンフェイズを備えている。そのムーンフェイズの中央には、スモールセコンドのやや大ぶりなサブダイヤルを追いかける針がある。この時計はまた、ケースの縁にデイト表示のトラックと、それを指し示すセンターポインターも備えている。これらはすべて、AR(反射防止)コーティングを施していないドーム型サファイアの下に収められているが、これは文字盤からの反射光を楽しむための意図的な選択である。

Laurent Ferrier Classic Moon

 今作はブランド初のムーンフェイズ搭載モデルであり、サブダイヤルにはムラーノ島の職人が製作したアベンチュリンガラスが使用され、手作業でホワイトペイントを施した月と星のモチーフがエングレービングされている。このエングレービング部にはスーパールミノバが手作業で塗布されており、月のクレーターもまた手作業で彫り込まれている。そのサブダイヤルはペトロールブルーエナメルの半透明のディスクで覆われ、モダンなタッチを感じさせる。シルバー文字盤に施された縦方向のサテン仕上げも、とても現代的だ。

Laurent Ferrier Classic Moon

 面取りされた窓と転写プリントのローマンインデックス、ペトロールブルーのシュマン・ド・フェールのミニッツトラック、そしてアセガイ(投げ槍)型のルテニウム針、またはペイントされた白い針が、この時計をクラシックウォッチの系譜に回帰させている。ローマ数字はクラシカルな柱時計を連想させるが、私がこの時計をデザインした場合でもこのインデックスを選んだだろうと思う。そういった点がまさに人々のノスタルジーを刺激したのだと思うし、スマートフォンで撮影した時計の写真を投稿した結果、私のInstagramにはたくさんのメッセージが届いた。

Laurent Ferrier Classic Moon

 この新作は、サファイアクリスタルのケースバックから見えるように手巻きのCal.LF126.02を搭載している。この最新ムーブメントは、年次カレンダーを搭載した既存のLF126.01をベースとしながら、80時間のパワーリザーブを誇る。全266個の部品のうち、30個が新たに追加されたもので、20個が改良と最適化が施された。ムーブメントにはパワーリザーブインジケーターと、ローラン・フェリエの手巻きムーブメントに見られる長い刃状のラチェット爪を備えている。年次カレンダーのため30日と31日の月は自動的に修正されるが、2月は調整を必要とする。

Laurent Ferrier Classic Moon

 Cal.LF126.02にはポリッシュがかかったビシャン仕上げが施され、プレートにはロジウム加工のコート・ド・ジュネーブ装飾があしらわれている。そして、メインプレートにはサーキュラーそしてメインプレートにはサーキュラーグレイン仕上げが見られる。ムーブメントの内角の数を数えるのがお好きなら、少しガッカリするかもしれない。ローラン・フェリエの大型でふっくらとしたプレートは手作業で面取りされ、ポリッシュされたエッジと内角を備えてはいるが、その数自体は少ない。ムーブメントのビス頭はそれぞれこのようなスタイルで仕上げられているが、開放的なデザインのムーブメントほど魅惑的ではないことが多い。しかし、これはローラン・フェリエのDNAの一部であり、すでに私にとってはなじみ深いものとなっている。

Laurent Ferrier Classic Moon
Laurent Ferrier Classic Moon

 クラシック・ムーンに対して、必ずしもすべてを推せるわけではない。その理由の一端は、“クラシック”なケース形状にある。もし少しでも変えたいと思う箇所がある場合、果たしてその製品を気に入ることができるだろうか? ローラン・フェリエの“クラシック”デザインに共通するのは、ベゼルをはじめ、球状で大きめのリューズ(年次カレンダーの日付と時刻を合わせ、同時にアジャスターでムーンフェイズを合わせる)に至るまでの、なだらかで傾斜のある形状である。これに似たデザインの19世紀の懐中時計のフォルムが、この“ペブル”ケースにインスピレーションを与えている。

Laurent Ferrier Classic Moon

 パテック Ref.3448のベゼルとダイヤルの比率を彷彿とさせる大きめのベゼルを備えた、実にエレガントでクラシックなフォルムだ。しかし、Ref.3448の優れた点のひとつは、ケースの角ばった部分にある。ラインは明確だが、力強い。この時計は、何十年にもわたって使い込まれ、磨き上げられてきたように見える。人によってはそれが魅力的なのかもしれないが、私としてはもっと力強い何かを求めてしまう。

Laurent Ferrier Classic Moon

 だからといって、この時計をすすめるのをためらったり止めたりはしない。というのも、手首にはめたときの見た目と感触が本当に素晴らしかったのだ。グレーブルーオパーリン文字盤は、断然私の好みだ(ベンが好んで言うところの “人生において貴金属が似合うステージ” にはまだ、到達していないのかもしれない)。ブルーの文字盤はより精悍で、この時計に多様性を与えている。特にホワイトメタルなので、ドレスアップもドレスダウンも可能だ。

Laurent Ferrier Classic Moon

 文字盤の仕上げは軽くグレイン加工が施されたモダンなものだが、サテン仕上げのシルバーよりも少しクラシックな印象であり、ホワイトのインデックスはやや太めの仕上がりではっきりとした印象ではない。しかしホワイトと力強いブルーの組み合わせは、カジュアルで楽しい。開口部に白色の表示を使用することは、視認性を高めるという意味で、このケースでは理にかなっている。

Laurent Ferrier Classic Moon
Laurent Ferrier Classic Moon
Laurent Ferrier Classic Moon

 ブルーの文字盤を選ぶというのは、おそらく1本でいろいろな役割をこなせる時計を探しているときの選択だろう。もしこのふたつからどちらかを選ぶとしたら、私はブルーを手にする。ほとんどの買い手がローズゴールドのケースに引かれるのは、コレクションのなかで特別な位置を埋めることを求めるからだ。スティール製で1309万円(税込)、ローズゴールドで1496万円(税込)と、この時計は高価な部類に入る。パテック Ref.5396Gの1060万円(税込)と比べると、この独立系時計メーカーからゴールドケースの年次カレンダーを手に入れるには、約400万円程度のプレミアムを支払うことになる。しかし、そのデザインが持つ魅力は、コレクターを魅了するには十分だろう。

Laurent Ferrier Classic Moon

ローラン・フェリエ クラシック・ムーン。Ref.LCF039.R5.G3N、Ref.LCF039.AC.C1WC。直径40mm、厚さ12.9mmのSS製または18KRG製ケース。30m防水。グレーブルーのオパーリン仕上げ、または縦方向にサテン仕上げを施したシルバーダイヤル。アセガイ型のホワイト塗装またはルテニウム処理の針。時・分表示、スモールセコンド、ムーンフェイズ付き年次カレンダー、ダイヤル端に日付表示。手巻きのCal.LF126.02、リューズで設定(ムーンフェイズは2カ所のボタンで設定)、2万1600振動/時(3Hz)、パワーリザーブ80時間。ダークグレーのヌバックレザーまたはブラウンカーフの手縫いストラップ、同色系のアルカンターラの裏地、ケースメタルに合わせたピンバックル。価格は1309万円( SS)、1496万円(RG)ともに税込。