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Photos by Tim Vaux
新作時計のシーズンが間近に迫るなか、Time+Tideはいち早く動き出し、9月に7本もの新作時計を発表する。新作時計のシーズンが間近に迫り、Time+Tideは9月に7本の新作時計を発売することで、いち早く動き出している。これらの時計は、インディペンデントウォッチメイキングとライブミュージックを同じくらい重視したTime+Tide独自の時計フェア、FounderFestの開催に合わせて登場する。FounderFestは特定の場所に限定されることなく、Time+TideのWatch Discovery Studiosの3店舗、ニューヨーク(ブルーム通り460番地)、メルボルン(コリンズ通り178番地)、ロンドン(グレート・ポートランド・ストリート4番地のポートランドハウス)で9月19~20日に開催される。ニューヨークはイベントの本部となり、ブランド創業者たちを迎えたライブインタビューや音楽パフォーマンスが行われる。
先日、来月登場する新作をすべて実際に見て、撮影する機会があった。これらの時計は9月22日に、thefounderfest.comを通じて世界中で販売が開始される。また3都市のいずれにも足を運べない人に向けて、同サイトではフェスティバルのオンライン配信も行われる。それでは、さっそく7モデルを見ていこう。
アウェイク―ソンマイ フロステッドリーフ・“ウルトラバイオレット”
アウェイクは創業からわずか7年のブランドだが、その短期間のうちに、ソンマイ(Sơn Mài)と呼ばれる漆塗りのダイヤルは多くの人々を魅了した。ご存じない人のために説明すると、これらのダイヤルは天然漆を手作業で何層にも塗り重ね、丁寧に研ぎ出し、さらに漆を重ねる工程を繰り返しながら、奥行きや質感、視覚効果を生み出している。“ウルトラバイオレット”エディションでは、純銀箔のギルディングに天然のパープルとブラックの顔料を加えることで、光の当たり方によって銀の輝きが部分的に浮かび上がる仕上がりとした。これらを収めるのは直径38mm×厚さ11.5mm、ラグ・トゥ・ラグ44.75mmのステンレススティール製ケースで、内部には自動巻きムーブメントのラ・ジュー・ペレ G101を搭載する。さらにこの時計には、Time+Tide創設者のアンドリュー・マカッチェン氏による「Do not dream your way through life. Stay awake enough to build it(夢を見ているだけの人生を過ごすのではなく、人生を築くために、目を覚ましていよう)」という言葉も記されている。本作の価格は3650ドル(日本円で約58万2000円)だ。
実機を見て感じたこと
アウェイクはここ最近、確かな勢いを見せている。バランスの取れたケースに、真に魅力的なダイヤルを組み合わせるブランドの手腕は、シンプルながらも確実に功を奏している。そして今回の“ウルトラバイオレット”も、印象的でありながら実用性も兼ね備えている。斬新な外観と、真に魅力的なクラフトマンシップが融合したこの時計に引かれない理由があるだろうか。
バルチック―ウール デュ モンド “ホライゾンライン”
根強いファンを持つバルチックからは、今回紹介する時計リストのなかでも特に人気を集めそうな1本として、先日発表されたワールドタイマー ウール デュ モンドの新作“ホライゾンライン”が登場する。2026年3月末に、3種類のストーンダイヤルを備えて初登場したモデルだが、今回のFounderFestエディションでは、存在感のあるフォージドカーボンダイヤル(強い自然光の下では、その表情がひときわ際立つ)を採用。37mmのコンパクトなワールドタイマーに、力強い個性を与えている。一方で、そのアグレッシブな印象をうまく和らげているのが、インナーベゼルの24時間表示に使われたオレンジと、Discovery Studiosのあるニューヨーク、メルボルン、ロンドンの3都市を示すスカイブルーのアクセントだ。ムーブメントにはソプロード C125を搭載。これはコーラーGMT仕様のムーブメントであるため、基本的にはGMTウォッチだが、外周の回転式ワールドタイムベゼルを組み合わせることで、世界各都市の時刻も読み取れる構成となっている。ケースは直径37mm×厚さ11mm、ラグ・トゥ・ラグ45mmというサイズに加え、100m防水も備えており、バルチック史上最も汎用性の高いツールウォッチのひとつと言えるだろう。価格は1795ドル(日本円で約28万6000円)だ。
実機を見て感じたこと
本作は、手首にとてもよくなじむ。そして白状すると、ワールドタイマーは私のお気に入りの複雑機構だ。なぜなら、時計全体の美観を損なうことなく、高度な機能性と実用性を得られるからだ。そして今回のエディションは、その魅力を最大限に引き出している。フォージドカーボンダイヤルとグレーのエラスティックナイロン製ストラップによって、目的意識を感じさせる、いかにも道具らしいルックスに仕上がっている。だがバルチックらしさも失っていない。考え抜かれたデザインで、若々しく、それでいてどこか控えめなのだ。
ボークロフト―“ザ・パンク”
実を言うと最近、ピンクを取り入れた時計にますます惹かれている。ピンクの文字をあしらったものもあれば、針やストラップにピンクを取り入れたものもある。だがボークロフトの“ザ・パンク”(Beaucroft 'The Punk')は、ダイヤルそのものがピンクだ。このダイヤルはピンクに着色されたサファイアガラス製で、今回登場したほかの6本に比べて最も奥行き感がある。ベースとなっているのは、直径38mm×厚さ10.3mm、ラグ・トゥ・ラグ43.5mmの日常使いに適したアーク(Arc)モデル。今回はそこに、ブラックPVD加工を施したスティール製のケースを組み合わせている。1970年代半ばのイギリスのパンクムーブメントにちなんで名付けられた時計だけに、まさに振り切った仕上がりと言えるだろう。価格は800ドル(日本円で約12万7000円)だ。
実機を見て感じたこと
この時計はパンチが効いていて、パンクで、正直言ってとても楽しい。ボークロフトは、クラシックなフォルムに英国らしいチャーミングなニュアンスを取り入れた時計を手掛けることで、高い評価を得ている。たとえば、深みのあるフュメカラーや段差を設けたダイヤル、さらにはインデックスや針の曲線に至るまで、その特徴は多岐にわたる。だが本作は“控えめな英国らしさ”というイメージを、コンフォートゾーンの外へと大胆に押し出している。ジェットブラックで統一されたダイヤル上の各パーツもさることながら、特に面白いのがケースバックにも同じピンクのサファイアクリスタルを採用していることだ。そこからは自動巻きムーブメントのミヨタ 90S5を眺めることができる。実用性に優れた頼もしいムーブメントを、この価格帯で手にできることを考えれば、文句のつけようがない。
デニソン― ALD デュアルタイム “カーナビー・ブルー”
デニソンとTime+Tideのコラボモデル、“カーナビー・ブルー”は、両者にとって2度目のスペシャルエディション(最初のコラボレーションについてはこちらから)であり、今回も一切妥協していない。デュアルタイム機能は実用的な魅力があるものの、何より目を引くのはダイヤルだ。モザイク状に仕立てたマザー・オブ・パールを用い、時計の“デュアルタイム”というコンセプトを、ふたつのクォーツムーブメントによってそれぞれの時刻を表示するという機構だけにとどめていない。左側のダイヤル中央からはユニオンジャックを思わせるモチーフが広がり、右側のダイヤル中央にはピンク、ホワイト、ブルーによるブルズアイが配されている。これはイギリス空軍のラウンデルを思わせると同時に、1960年代のある英国ロックバンドによって広く知られるようになったモチーフでもある。ケースは横35.6mm×縦37mm、厚さわずか6.1mm。クォーツムーブメントを採用することで、薄く仕上げられている。仕上げにデニムブルーのストラップを組み合わせれば、全体的なバランスも完璧だ。価格は1090ドル(日本円で約17万3000円)で、9月22日から購入可能となる。
実機を見て感じたこと
本作は間違いなく、Time+TideのロンドンのファンとDiscovery Studioに向けた、さりげなくも力強いオマージュだ。デニソンにとっても、これまでで特に表現力豊かな限定モデルのひとつだ。存在感のある技法と、情報量の多いデザインを組み合わせた本作は、ほかにはない個性的な時計を求める人に応える1本だろう。
エコ/ネイトラ―リヴァネラ ピッコロ “ローザ・デポカ”
今や小径のドレスウォッチが、巷で話題を集め、実際に多くの人の手首を飾っていることは、あえて言うまでもないだろう。だがエコ/ネイトラほど、このデザインコンセプトを独自の解釈で形にしているブランドは多くない。そしてそれこそがいいところだ。FounderFestで発表される、リヴァネラ ピッコロ “ローザ・デポカ”はグレード 5 チタン製ケース(サイズは26mm×33mm×6.9mm)を採用し、ダークグレーのグレインダイヤルとラッカー仕上げのフレームを組み合わせている。またエコ/ネイトラは、針にローズのアクセントを加え、ダイヤル上の唯一のシグネチャーとして“Rivanera”の文字を、6 時位置の日付表示窓の両側に“Swiss Made”のタイポグラフィを配すことで、モノクロームの外観に変化を加えている。本作はセリタ SW1000を搭載。価格は1995ドル(日本円で約31万8000円)だ。
実機を見て感じたこと
私と同じような感覚を持っているなら、“ローザ・デポカ”にはきっと不意を突かれるはずだ。ローズカラーのアクセント? 実機写真を見ると、実際にはもう少しピンク寄りの色合いであることがわかる(Time+Tide、やるじゃないか)。そしてこの要素こそが、時計に強烈なコントラストを生み出している。グレード5チタンを用いたタフな時計でありながら、ケースには美しくポリッシュされた直線的な面取りが施されている。ダークなダイヤルにブラックラッカーという落ち着いた組み合わせに、随所でピンクのアクセントを効かせている。いわばハイ&ローの組み合わせだが、実物を見ると、これが実にうまく成立している。付属するブラックラバーストラップに合わせた姿もぜひ見てみたい。そうすれば、このコントラストがさらに際立つだろう。
ファーラン・マリ―“ソングラインズ”
ファーラン・マリは、このリストのなかでは比較的新しいブランドかもしれないが、だからといって彼らのFounderFestの作品が平凡だというわけではない。むしろその逆だ。“ソングラインズ”は、同ブランドの“レッドハンター”の要素と、Time+Tideとの初コラボモデル“アウトバック・エレジー コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ”の要素を融合させ、真新しいモデルへと仕上げている。直径39mm×厚さ12mm、ラグ・トゥ・ラグ47mmというサイズは、全体的なバランスがいい。それでも、何より目を引くのはタバコのようなブラウンカラーのダイヤルだ。ソリッドな3連リンクブレスレットを組み合わせることで、この時計が持つしっかりとした存在感はさらに強まっている。その重厚感はハンターケースバックにも続き、蓋を開けると68時間のパワーリザーブを備えるラ・ジュー・ペレ G100が姿を現す。本作の価格は2750ドル(日本円で約43万8000円)だ。
実機を見て感じたこと
2021年に、ファーラン・マリ初の時計のプロトタイプを実際に手に取って以来、私はこのブランドにずっと特別な思い入れがある。ひとつのアイデアから始まったブランドが、小規模ながら確かな存在感を持つインディペンデントブランドのひとつへと成長していく姿を見てきた。そして今回の“ソングラインズ”は、同ブランドがここまで歩んできた道のりをまさに証明する1本だ。まずは、あのダイヤル。ブラウンは時計ではまだ十分に活用されていない色のひとつだが、それだけでなく、ダイヤルのデザインそのものが実に秀逸だ。立体的なバトン型インデックスと丸いドットを組み合わせ、さらにセコンドトラックを区切るように構成し、存在感のある針を配することで、このリストのなかでも特に汎用性の高い1本に仕上がっている。
セリカ―Ref.7505 “サンバースト”
では、セリカのRef.7505 “サンバースト”でFounderFestのラインナップを締めくくる。今回の新作はいくつかの要素によって、7本のなかでも特に“ヴィンテージ感”の強い1本と言える。まず注目したいのがプロポーションだ。ケース径35mm×厚さ9.6mm、ラグ・トゥ・ラグ41.5mmというサイズは、手首で実に絶妙なバランスを見せる。それを可能にしているのが、すべてのパーツが調和したデザインであり、ベゼルの幅、存在感のある針、そして何よりブラウンのフュメダイヤルが相まって、特定のヴィンテージモデルを直接的に想起させることなく、サイズ感のよく整ったヴィンテージウォッチのような雰囲気を醸し出している。そしてもうひとつがBonklip®ブレスレットだ。“サンバースト”のデザイン全体と同様、このブレスレットが加わることで、ほかの時計との比較では語れないセリカならではの個性が際立っている。内部にはクロノメーター認定を取得した自動巻きムーブメントのソプロード M100を搭載。価格は1625ドル(日本円で約25万9000円)だ。
実機を見て感じたこと
セリカには、どこか風変わりな魅力がある。もちろんセリカはバウハウスではない。だが、機能を実現するために美しくシンプルな方法を採りながら、誰も予想しない方向へ進むバウハウスのようなアプローチは、まさにセリカに私が抱く印象と同じなのだ。先ほど紹介したファーラン・マリは印象的なブラウンのトーンだったが、このセリカはより落ち着いたトーンだ。実際に手に取った時は濃いブラウン、もしくはほとんどブラックに見えたほどだ。この7本のなかでは、かなり控えめな選択肢に見えるかもしれないが、このセリカには心を奪われる魅力がたくさんある。
FounderFestは2026年9月19日(土)~20日(日)に開催される。リアルイベントはロンドン、ニューヨーク、メルボルンにあるTime+TideのWatch Discovery Studiosで行われるが、3都市のいずれにも足を運べない方のために、thefounderfest.comでオンライン配信が行われる。今回の新作7モデルは9月22日から同サイトで販売を開始し、その後はTime+Tideの3つの実店舗のみで継続販売される。
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