ロンジン ハイドロコンクエストの最新モデルは今年3月に発売されたばかりだが、すでに頻繁に話題に上っており、発売以来、コストパフォーマンスを重視する顧客層から高い評価を得ている。大手ブランドでありながら、高級時計とは一線を画す価格帯で、愛好家にとって魅力的な価値を提供するという、近年では稀少になりつつあるバランスを実現している。かつてオメガ、そして近年ではチューダーが存在感を示してきたこの分野において、ロンジンは多くのニーズを満たす製品を送り出し、存在感を高めてきた。この新しく、バランスよく仕上げられたダイバーズウォッチの価格設定は、2026年というより2016年を彷彿とさせるほどだ。
2007年に、長年続くコンクエストコレクションのダイバーズウォッチ版として誕生したハイドロコンクエストは、数世代にわたり進化を遂げてきた。当初は大型のアラビア数字、彫刻的なリューズガード、ダイヤモンド型の夜光塗料が施された個性的な時針を備えた一風変わったダイバーズウォッチとして登場した。最新世代の発売までは、そうした個性的なスタイルこそがハイドロコンクエストの特徴として広く認識されていた。現代的な位置付けにおいても、同業他社とは一線を画す絶妙な個性を備えつつ、スウォッチグループ傘下であることを生かし、信頼性の高いムーブメント、魅力的な価格設定、そして正規販売店で入手しやすいというメリットも兼ね備えていた。
米国市場限定モデルとして販売された2018年のハイドロコンクエスト 41mm。
そして今年初め、ロンジンはこの最新モデルを42mmと39mmの2サイズで発売した。今回紹介するのは、その39mmモデルだ。ステンレススティール(SS)製ケースは厚さ11.7mm、ラグ・トゥ・ラグは48.1mmで、きわめてバランスの取れたサイズ感となっている。魅力的なプロポーションに加え、防水性能は300mを確保。ムーブメントには日付表示付きの自動巻きムーブメント Cal.L888.5を搭載し、72時間のパワーリザーブとシリコン製ヒゲゼンマイを備える。エントリー価格のモデルでありながら、ブレスレットには工具不要で操作できるマイクロアジャスト機構を備えたスリムなSS製ブレスレットが採用されている。
スペック面では、実のところ目新しい要素はそれほど多くない。というのも、39mmケースのハイドロコンクエストが登場したのはこれが初めてではないからだ。しかし、今回、このモデルに新たな魅力をもたらしたのはデザインの刷新である。従来モデルを特徴づけていた個性的な意匠の多くが見直され、大きなアラビア数字のインデックスや存在感の強いリューズガードは姿を消した。その結果、3時位置の白地の日付表示、光沢のあるセラミックベゼル、そして丸型とバー型を組み合わせたインデックスを備えることで、より控えめで幅広い層に受け入れられやすいデザインへと進化している。とりわけベゼルやケース形状には、現行ロレックス サブマリーナーを明確に意識したような要素が感じられる。
ロンジンならではの品質、充実したスペック、多くの人に支持される2サイズ展開、そしてきわめてオーソドックスなデザイン。さらに豊富なカラーバリエーション(のちほど詳しく解説する)と32万4500円(税込)からという価格設定が加わり、時計愛好家のあいだで注目を集めるのも不思議ではない。友人が購入して以来、その素晴らしさを語り続けていたので、実際に手に取ってみる価値があると思った。
珍しく、このハイドロコンクエストの魅力を伝えるのに、それほど多くの言葉は必要ないかもしれない。サイズ感は素晴らしく、120クリックの逆回転防止ベゼルはシャープで精巧だ。ムーブメントもこのモデルにふさわしい性能を備え、ダイヤルデザインは決して目新しいものではないものの、エレガントかつ実用的で、これまで私が抱いていたハイドロコンクエストの印象以上に上質な仕上がりだと感じた。
とりわけ目を引くのは、堅牢なSS製ブレスレット全面に施されたサテン仕上げだ。薄型でしなやかに手首へ沿い、その先のフォールディングクラスプへ自然につながるそのブレスレットは、スライド式のプッシュボタンで微調整が可能だ。付属のハーフリンクを使えば、サイズ調整も比較的簡単だ。サイズ調整後は全体的にスリムで快適な着け心地で、高品質な印象を受けた。そして私の7インチ(約17.8cm)の手首にもきわめてよくなじんだ。
今回レビューのために借りたのは、ダークブルーのダイヤルとベゼルを備えたモデルだが、2026年モデルのハイドロコンクエストには、実に豊富なカラーバリエーションが用意されている。ブラック、グリーン、ブラックダイヤル×グレーベゼル、ブラックダイヤル×鮮やかなブルーベゼルに加え、アイスブルーダイヤルにダークブルーベゼルを組み合わせたブティック限定モデル、さらには2026年コモンウェルスゲームズを記念したティールのグラデーションダイヤルに、ティールのアクセントをあしらったブラックベゼルを組み合わせたモデルもラインナップされる。個人的には、最もロンジンらしさを感じさせるのはダークブルー仕様だと思うが、現行ラインナップのなかではブラック×グレーベゼルもかなり魅力的な1本だ。さらに印象を変えたい人には、39mmモデル用としてSS製のメッシュブレスレットも用意されている。だがその仕様を選ぶと価格は1万8700円上がり、34万3200円(税込)となる。このメッシュブレスレットの詳細については、昨年3月にタンタンが公開した記事で確認できる。
私の絶賛ぶりに飽きてきた方のために、いくつか気になった点も挙げておこう。まず2色の夜光塗料は、特にセイコーやシチズンに慣れ親しんでいる方にとっては、性能が平凡に感じられるだろう。次にブレスレットは割りピン式で、サイズ調整にはやや手間がかかる。1000ドル(日本円で約15万円)を超える価格帯になると、片側ネジ式のほうが好ましいと思う。とはいえどちらも購入を断念するほどの欠点ではないが、言及する価値はあるだろう。
それ以外で、ハイドロコンクエストを着用してみて気になったのは、ロレックス サブマリーナーとのデザイン上の類似性だ。これは人によっては大きな魅力にもなれば、逆に購入をためらう理由にもなり得るだろう。サブマリーナーはおそらく史上最も影響力のあるスポーツウォッチのデザインであり、そのデザイン要素は数え切れないほどのあらゆる時計にインスピレーションを与えてきた。だからこのデザイン選択は決して珍しいものではないが、想定される顧客層、私自身も含めた時計愛好家のあいだでは、意見が分かれるのではないかと思う。
しかしデザインがお好みであれば、これはまさに素晴らしい時計と言えるだろう。私がすぐにおすすめできる時計のリストのなかで、この時計は間違いなく2000ドル(日本円で約31万円)前後の価格帯で上位にランクインする。
価格の話が出たので、本作が市場でどの位置づけにあるのかを少し考えてみたい。39mmのハイドロコンクエストは、SS製ケースを持つブレスレット仕様で、約70時間のパワーリザーブを備えたムーブメントを搭載しながら、価格は32万円前後。この条件で市場を見渡してみると、同じ土俵で比較できるモデルは意外なほど少ない。仮に挙げるなら、ドクサ サブ 200T(1790ドル/日本円で約28万2000円)や、ラドー キャプテン クック 39mm(2650ドル/日本円で約41万7000円)あたりだろう。そう考えると、ロンジンの価格設定はまさに絶妙と言える。そして本作の魅力は、人気モデルであるチューダー ブラックベイ 58が72万2700円(税込)から、さらに同じロンジンのレジェンドダイバー 39mmでさえ56万2100円(税込)という価格であることを踏まえると、いっそう際立って見えてくる。
ハイドロコンクエストと価格帯や現代的なキャラクターが比較的近いモデルとしては、オリス アクイス デイトが挙げられる。ケース径は36.5mmで、価格は44万円(税込)。ただしムーブメントのスペックは低く、時計のサイズもかなり小さく、保証期間も最長3年なので、完全な比較対象とは言い難いものの、ロンジンのポジショニングを明確に示すものと言えるだろう。
予算をさらに抑えたいのであれば、ミドーやサーチナといったスウォッチのエントリーレベルのブランドを検討するか、セイコー、シチズン、あるいはマイクロブランドを選ぶことになるだろう。どれも素晴らしい選択肢だ。しかしそれらのブランドよりも少し高い価格設定ではあるが、ロンジンは価格帯の高い時計と直接比較できる、より優れた選択肢だと思う。さらに、ロンジンは都市部の小売店でよく見かけるブランドだ(新しい時計を実際に見て試着できるのはうれしいものだ)。またチューダーと同様に、ロンジンには5年間の保証が付いている。
ロンジンは既存の概念を覆すようなことはしていないものの、スペックや機能に妥協することなく、優れた完成度と価格競争力、そして快適な装着感を兼ね備えたダイバーズウォッチを生み出した。正直に言うと、このモデルが発表された当初、刺激的な時計には思えなかったため、私はそれほど注目していなかった。ところが親しい友人が私の時計(上記で挙げた多くのブランドの時計も含む)を何本も試着したあと、長年探し求めていた日常使い用のダイバーズウォッチとしてブラックダイヤル×グレーベゼルを備えた39mmのハイドロコンクエストを選び取り、それ以来、その素晴らしさを語り続けるようになったのだ。
実際に39mmのハイドロコンクエストを1週間着けて過ごしてみると、友人があれほど熱く語っていた理由がよくわかった。確かに私自身の好みで言えば、もう少し個性や遊び心のある時計に引かれるが(例えば、私は今でもロンジン スピリット Zulu Time リミテッドエディション for HODINKEEの大ファンだ)、だからといってこの最新世代のハイドロコンクエストの魅力が損なわれるわけではない。
というわけで、私もその仲間入りを果たした。この新しいロンジンのダイバーズウォッチがなぜこんなに話題になっているのか気になっていた方は、一度試着してみることをおすすめする。
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