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Bring a Loupe 限定のチューダー “インターマイアミ”、ジャガー 4ATM、ロンジン ウルトラクロン・ジャンボ、そしてチューダー レンジャーのペア

今週も、市場に出ている注目のヴィンテージウォッチを紹介しよう。

※本記事は2026年7月10日に執筆されたUS版の翻訳です。

ハッピーフライデー! サッカーファンの皆さんにとっては、今週も見逃せない試合が続きそうだ(もし運良くイングランド対メキシコ戦をご覧になった方は、すでに歴史に残る名勝負のひとつを目撃したことになる)。

 まずは、先週取り上げた注目モデルを振り返ろう。“シェルパ・カズン”のミリオン製バルジュー72は7月12日にオークションへ登場予定(編注;現在オークションは終了しており、1100ポンド/当時のレートで約24万円で落札)。18Kゴールド製のオメガ コンステレーション Ref.2648は手数料込みで4218ユーロ(当時のレートで約78万9000円)、サルパネヴァ×ムーミンは8800ドル(日本円で約138万7000円)、“洗浄済み”と記載されたダイヤルを備えたヴァシュロン・コンスタンタン Ref.4111は10万ユーロ(日本円で約1800万円)で落札された。

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番外編

 セイコーの6139は、ヴィンテージウォッチを集め始めた人なら一度は通る“登竜門”のような存在だと感じている。この魅力的なヴィンテージクロノグラフは市場にたくさん出回っており、完璧なコンディションの“レジスト”ダイヤル仕様の“ポーグ”でも狙わない限り、価格も比較的手ごろに収まる。今週、Goodwillに出品されているのはブルーダイヤルの6139-6005(編注;現在オークションは終了しており、851ドル/日本円で約13万4000円で落札)。コンディションがきわめて良いだけでなく、モデル初期の個体であることも見逃せない。そのことは、“ノッチケース”(リューズ部分に小さな切り欠きを設けたケース)と初期のZブレスレットからわかる。

Seiko from goodwill

Photo courtesy of Goodwill

 ヴィンテージのステンレススティール(SS)製の時刻表示のみのモデルを探しているなら、このジャガー・ルクルトはかなり魅力的だ。同様に、このファーブル・ルーバ デイマティックや、ほどよい経年変化をまとったモバードも見逃せない(編注;現在オークションは終了している)。これらが好みでない場合は、2026年にオーバーホールされたこのNOS(ニューオールドストック)のティソはいかがだろうか(編注;現在オークションは終了している)。ケース径は31mmと小ぶりではあるものの、リンク先を開けば、その驚くほど良好なコンディションに思わず目を奪われるはずだ。7月11日に開催されるRossiniのオークションには魅力的な時計が数多く並ぶが、私が何度も見返してしまったのは、このRAIDエディションのオメガ スピードマスター(初めて耳にする方は、こちらの記事を読んで欲しい/編注;現在オークションは終了している)と、ロレックス オイスタークォーツ デイトジャスト Ref.17014だった(編注;現在オークションは終了しており、4800ユーロ/日本円で約87万4000円で落札)。最後に紹介するロレックス エクスプローラー Ref.5504は、ある種の注意喚起として紹介しておきたい1本だ(編注;現在オークションは終了しており、7900ポンド/日本円で約167万7000円で落札)。確かに年季を感じさせる上に、分針の夜光も一部欠落している。それでもこの時計は適切な手入れを施せば、これから先も長い年月にわたって時を刻み続けられる時計だ。


チューダー ブラックベイ ピンク “インテル・マイアミ”

 いいえ、これは2024年に登場したあのピンクモデルではない。とはいえ、決してそこから大きく離れた存在というわけでもない。少し振り返ると、あのブラックベイ クロノ “ピンク”は、チューダーがデビッド・ベッカムが共同オーナーを務めるメジャーリーグサッカー(MLS)のクラブ、インテル・マイアミとのパートナーシップを発表した直後に登場したモデルだった(もちろん、ベッカム自身もチューダーのアンバサダーを務めている)。厳密には限定モデルではなかったものの、通常カタログには掲載されず、おそらく比較的少数しか生産されなかったと考えられている(とはいえ公平を期すために付け加えると、現在Chrono24には100本が掲載されている)。

Tudor

Photo courtesy of Loupe This

 しかし、今回紹介するこのモデルは紛れもない限定モデルだ。その証拠はダイヤル中央、針の軸のすぐ下にある。ご存じない方のために説明すると、そこに配されているのはインテル・マイアミのクラブロゴである。この時計は、チューダーがデビッド・ベッカムのために製作した50本のうちの1本で、インテル・マイアミがMLSのレギュラーシーズン最高成績を収め、サポーターズ・シールドを獲得したことを記念して、選手(と数名のスタッフ)に贈られたという。私はこの時計の存在すら知らなかったが、コレクターのあいだではある程度知られていたようだ。とはいえ、きわめて珍しい時計である(Googleで検索すれば、Chrono24で販売されたと思われる写真が1枚見つかるが、それだけだ)。

Photo courtesy of Loupe This.

Photo courtesy of Loupe This

Photo courtesy of Loupe This.

Photo courtesy of Loupe This

 この時計は、なかなか評価の難しい1本だ。39mmの現行ブラックベイ クロノが登場する以前の世代であるため、ケースは直径41mm×厚さは14.4mmと、存在感のあるプロポーションだ。コンディションはきわめて良く、使用感はほとんど見受けられない。また2024年のピンクモデルで初めて採用された、ジュビリースタイルの5連ブレスレットを備えているのも特徴だ。もちろん、箱と保証書も付属する。純粋に時計として見ても、十分に魅力的だろう。

 しかし、もちろんこの時計が注目され、ここで取り上げられている理由は時計そのものの魅力だけではない。この時計を購入する人が惹かれるのは、何よりインテル・マイアミとのつながりだろう。実際、この時計はインテル・マイアミの選手本人から出品されたものであり、そこにはベッカムやメッシへとつながるストーリーもある。ワールドカップ開催年でなくとも、そのストーリーが持つ価値は計り知れない。この特別な1本は1万〜2万ドル(日本円で約160万〜約300万円)の推定落札価格で、来週開催されるLoupe Thisのオークションに出品される(編注;現在オークションは終了している)。

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ジャガー 4ATM Ref.13001

 このクロノグラフは、一部の愛好家にとっては、まさにグレイル級の1本だろう。そして正直に言えば、私にとっても長いあいだそうだった。それが時計に興味を持ち始めた時期の影響なのか、それとも単に自分の好みの問題なのかはわからないが、1960年代のスポーツクロノグラフは、当時も今も私がどうしても引かれてしまうジャンルのひとつなのである。

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Image courtesy of Alexandre Landre

 このジャガー・ルクルト Ref.13001(ケースバックに刻印された防水性能を示す4ATM表記にちなんで4ATMとも呼ばれる)は、製造数がわずか100本とされる、かなり希少な1本だ。しかし、だが、その希少性はそれほど重要ではない。少なくとも、重要であるべきではないだろう。ロレックス サブマリーナーがこれまでに何本製造されたのか見当もつかないが、生産本数の多寡は、どれほど愛され、求められているかとはまったく別の話だのだ。

 この時計を特別な存在にしている理由は、シンプルだ。とにかく格好いいのだ。SS製のケースは40mm。このケースデザインは当時、多くのブランドが採用していた定番スタイルだが、この個体はコンディションも良好に見える。写真だけでは、研磨されているのか、単に使い込まれているだけなのか判別しづらいが、ラグのエッジに施された面取りはしっかりと残されている。大ぶりなパンダダイヤルも思わず見惚れてしまうほど魅力的だ。タキメータースケールはやや歪んでいるようにも見えるが、細かなひびの入った風防を交換する際に、腕の良い時計師であれば丁寧に修正できるだろう。さらに双方向回転ベゼルの状態も申し分なく、全体的に見てきわめてクールな1960年代のクロノグラフであると言える。

JLC

Image courtesy of Alexandre Landre

 この時計で少し不思議なのは、ダイヤルに記されているブランド名が“Jaeger”のみであること、そして私が確認できた市場流通個体では、いずれもバルジュー72に署名が入っていないことだ。アメリカ市場向けに製造されたジャガー・ルクルトだという説明も目にしたが、それには疑問が残る。というのもタキメータースケールはkm表示が採用されており、アメリカ市場向けに作られたヴィンテージのジャガー・ルクルトにはLeCoultreと刻印されたムーブメントが搭載されていたからだ。もちろん、だからといってこの個体の真贋を疑っているわけではない。このモデルはこれまでにも市場に登場しており、そのバリエーションについても記録が残されている。それでもなお、どこか一筋縄ではいかない興味深い存在なのだ。

 アレクサンドル・ランドル(Alexandre Landre)氏はこの時計を7月18日に開催される自社の時計店オークションに出品する予定で、予想落札価格は4000~6000ユーロ(日本円で約70万から約100万円)だ(編注;現在オークションは終了している)。


ロンジン ウルトラクロン Ref.7951-1

 ロンジンは1967年に創業100周年を記念してウルトラクロンを発表した。この時計は3万6000振動/時、つまり5Hzで動作することで注目を集めた(参考までに、1967年のスピードマスターのCal.321は1万8000振動/時、サブマリーナは1万9800振動/時で動作していた。ゼニス エル・プリメロも3万6000振動/時で動作するが、市場に登場したのはウルトラクロンの数年後だった)。もっとも高振動ムーブメントだからといって、それだけで時計として優れているというわけではない。2021年にベイカー氏が書いているように、高振動は時計を評価するうえでの要素のひとつに過ぎないのだ。

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Image courtesy of The Saleroom

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 しかしこのロンジン ウルトラクロン Ref.7951-1 は、たとえ高振動ムーブメント(この場合はCal.431)を搭載していなくても、記事にする価値があるだろう。注目すべきは、このウルトラクロンとしては37mmの“ジャンボ”サイズとみなされている点だ。そして疑問に思う方もいるかもしれないが、この時計はベゼルが欠落しているわけではない。60 年代後半のウルトラクロンで最も優れた点のひとつは、ケースデザインがきわめてミニマルで、驚くほど削ぎ落とされていることだ。出品写真を確認して欲しいのだが、ミドルケースはかなりスリムである。

longines

Image courtesy of The Saleroom

 そしてこの個体は、美しくクリーンなグレーダイヤル、未研磨のケース、そして程よく経年変化した夜光塗料など、実に素晴らしい外観だ。ブレスレットが特別優れているわけでも、この時計自体が計時性能の頂点に立つようなモデルというわけでもなければ、あまりに希少すぎて時計師を困らせるほど希少な時計でもない。しかし数週間前に紹介したサーチナ DSと同じように、このウルトラクロンは“手ごろな価格で手に入る本当に素晴らしい時計”がまだ数多く存在することを思い出させてくれる。きっと身に着ける人は、時間を確認するたびに、この時計を選んでよかったと思えるはずだ。

 このロンジンは14日にThe Saleroomで出品され、推定落札価格は150~250ポンド(日本円で約3万から約5万円)だ。この価格なら、驚くほどのお買い得品だ。


チューダー レンジャー 9050/0のペア

 私はヴィンテージのチューダー レンジャーに特別な思い入れがあり、以前から「良い個体が出てきたら必ず紹介しよう」と決めていた。そして幸運なことに、今回は本当に素晴らしい個体が2本も出品されている。どちらを選んでも、まず間違いはないだろう。

 最初のレンジャーはおそらく多くの人がよく知っているコレクター、バザム(Bazamu)氏が出品しているものだ(HODINKEEのReference Pointsでも、ロレックス GMTマスターデイトナの特集で彼のコレクションが紹介されている)。バザム氏は市場に出回っていない時計を発掘することに定評があるが、彼が販売しているチューダー レンジャーも例外ではないようだ。

Image courtesy of Bazamu

Image courtesy of Bazamu

Image courtesy of Bazamu

Image courtesy of Bazamu

Image courtesy of Bazamu

Image courtesy of Bazamu

 この個体には多くの魅力がある。ケースは素晴らしく、明らかに未研磨に見える。夜光塗料は経年変化も良好で、未使用のC&I社製リベットブレスレット(1976年製で、おそらく時計本体も同年代だろう)が付属している。2025年にオーバーホール済みなので、購入を検討する人にとっては安心材料だろう。唯一の難点は、秒針の夜光塗料にひびが入っていることだ。私なら修理して安定させるが、それはあくまで私の個人的な意見だ。Bazamuではこの50年前の美しい時計を1万2500ドル(日本円で約190万円)、または価格交渉可で販売している。

Tudor Ranger

Image courtesy of Goldfinger's Vintage

 2本目は、Goldfinger's Vintageが出品しているレンジャーだ。こちらも未研磨のケースを備えているが、風防はオリジナルのオイスター風防ではないものに交換されている。またこの個体は、年代の合うロレックス製ブレスレット(とはいえオリジナルではない可能性が高い。この点は気になる方にとっては重要なことだろう)が装着されており、また、おそらくオーバーホールもされていない。Goldfinger'sは、この個体を1万1995ドル(日本円で約190万円)で販売している。

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購入者注意
omega

Image courtesy of Interencheres

 このオメガは、いくつもの理由から完全に見送りたい1本だ。一番の理由は、ダイヤルにも針にも夜光塗料がないにもかかわらず、ダイヤルの下部に“Swiss T < 25”と刻印されていることだ。またこちらのオメガ コスミックはリダイヤルだ(編注;現在オークションは終了している)。どちらも欠点はあまりに明白で、いわば初歩問題のようなものだ。もしかすると、私が仕事をサボっていないことを証明するためだけに、あえてここに挙げているだけなのかもしれない。