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現代のチューダーが展開するモデルは、ケースサイズもダイヤルカラーも絶えず進化を続けている。そして今回登場したのは、ダイバーズウォッチの意匠を受け継ぐクロノグラフの最新モデル(そして最小かつ最もカラフルなモデル)であるブラックベイ クロノ 39だ。シリーズ最小の39mmケースを採用するとともに、これまでで最も鮮やかなカラーリングをまとっている。鮮やかなイエローダイヤルにブラックのアクセントを組み合わせたことから、“バンブルビー”と名付けられたこのモデルは、チューダーの主力コレクションにおける“39mm化”を象徴する1本であり、ブランドにとって非常に魅力的な新製品となるだろう。
チューダーが2012年にアメリカ市場へ本格復帰した当時、ブランドの主力モデルは、当初41mmケースを中心に展開されていた。その代表例はブラックベイ、ヘリテージクロノ、レンジャーといった初期の人気モデルだ。その後2017年には、200m防水性能とスノーフレーク針を備えた41mmのスティール(SS)製クロノグラフ、ブラックベイ クロノグラフ Ref.79350が登場した。以来、ブラックベイ クロノシリーズは改良とラインナップの拡充を重ね、近年では印象的なダイヤルカラー(ピンクやフラミンゴブルーなど)も追加されている。一方で、ブラックベイには39mmケースのブラックベイ 58が登場し、レンジャーも39mm(のちに36mm)に縮小した一方で、クロノグラフだけは長らく41mmケースを維持し続けてきた。
41mmというサイズは、一般的なモダンスポーツウォッチの範囲内だが、愛好家の好みは39mmへとシフトしている(おそらくブラックベイ 58とペラゴス 39の成功が少なくとも部分的には影響しているだろう)。さらにやや小さめのケースが引き続き流行しているため、ケースの厚みにこれまで以上に注目が集まっている。ブラックベイ クロノの41mm仕様は装着感は良いものの、直径41×厚さ14.4×ラグ・トゥ・ラグ50mmと小さくはない。だが今回登場した39mmモデルによって、チューダーは主力クロノグラフのラインナップを、現在のユーザーの嗜好だけでなく、ブランド自身が進めてきたサイズ展開の流れにも合致するかたちへと広げたのだ。
チューダーの新旧クロノグラフ。中央は最近発売された41mmのブラックベイ クロノだ。photo credit: Mark Kauzlarich
そして実際に着用してみると、新しいブラックベイ クロノ 39はきわめて素晴らしい。41mmのブラックベイとブラックベイ 58を着け比べたことがある人なら、そのサイズ感の違いを思い浮かべてもらえればよい。今回の41mmから39mmへの変更も、それとよく似た印象だ。さらにケース厚は13.1mm、ラグ・トゥ・ラグは47mmになったが、私の使い込んだぺラゴス 39(厚さ11.8mm、ラグ・トゥ・ラグ47mm)を含めて、普段愛用している時計の多くとほぼ同じサイズ感であり、約7インチ(約17.8cm)の私の手首に本作は自然になじんだ。ケース全体のバランスも良く、厚みだけが強調されるような印象は全くない。プロポーションはよりコンパクトになったものの、ブラックベイらしいケースデザインはそのまま継承されており、デイトナスタイルのねじ込み式クロノグラフプッシャーのあいだには、依然として大きなリューズが配置されている。
またこのモデルがブラックベイ、すなわちダイバーズウォッチの系譜に連なる存在であることを忘れてはならない。新しいブラックベイ クロノ 39は、モータースポーツを想起させるタキメーターベゼルを備えながらも、200m防水性能をしっかりと維持している。そのデザインは実にチューダーらしく、かつての“ビッグブロック” クロノグラフや比較的新しいヘリテージ クロノといった過去のモデルと比較すると、本作がいかに独自性のある存在かがよくわかる。
そのほかにも、細かなブラッシュアップが施されており、例えば時針は従来よりもやや短くデザイン変更されている。これは、チューダーを象徴するスノーフレーク針がインダイヤルを覆い隠してしまう範囲を制限するためだろう。またインデックスと針にはブラックメタルの縁取りが採用されている点にも注目したい。これは個人的にも好みのディテールであり、すでに印象的なダイヤルにさらなるコントラストを加えている。
実物を見ると、ダイヤルはきわめて鮮やかなイエローだ。ブラックのインダイヤルと相まって、“高視認性安全服”を思わせるほど鮮烈な印象を放つ。SS製ケースとねじ込み式プッシャーの輝きが、ブラックベゼルとのバランスを取っているものの、小ぶりなサイズとはいえ、本作は決して控えめな時計ではない。イエローダイヤルは、グリーンにもオレンジにも寄りすぎない絶妙な色合いで、時計に陽気な個性を与えている。個人的には、最近41mmモデルで採用されているピンクやブルーダイヤルよりも、よりオーソドックスな印象を受ける。
ダイヤル以外にも、細かな仕様を整理しておこう。SS製のブレスレットは全面サテン仕上げで、リベットはなくなり、工具なしで微調整できるT-Fitクラスプも備える。そしていつも言及するようにしていることだが、ケースバックの大部分がほぼプレーンなままである点も好印象だ。おかげで十分な刻印スペースが確保されているからだ。刻印が入った時計には、やはり特別な魅力がある。
最近実機レビューしたドクサ サブ 200 T.グラフに続き、今回のコンパクトで魅力的なチューダー クロノのおかげで、私はクロノグラフに新たな興味を持つようになったのかもしれない(これまで私には縁遠かった)。
93万5000円(税込)で販売されているブラックベイ クロノ39は、同ブランドのほかのクロノグラフモデルとほぼ同じ価格帯だ。初代ブラックベイ クロノは約10年前に5050ドル(2017年当時のレートで約56万円)で発売されていたが、標準モデルのブラックベイ クロノ41は95万2600円(税込)で販売されている(ゴールドやカーボンを使用したモデルはさらに高額になる)。つまり、現行ブラックベイ クロノのなかで最も魅力的かもしれないモデルが、同時に最も手ごろな価格に設定されている。
競合モデル
今回のポイントは、やはりサイズだ。理想は39mm前後だ(41mmになると、この時計の魅力が少し薄れてしまうと思う)。価格は7000ドル(日本円で約110万円)以下が望ましく、クロノグラフに200m防水まで求めないものの、ブレスレット仕様であることは譲れない。
オメガ スピードマスター ファースト オメガ イン スペース(税込132万円、左上)39.9×13.4×48mm、METASおよびマスタークロノメーター認定を受けた手巻きのCal.3861、ブレスレット仕様、50m防水。よりクラシックで、METASによるマスター クロノメーター認定を受けたムーブメントを搭載し、サイズ感もチューダーとよく似ている。オメガの現行カタログでも屈指の名作だ。特にカラーリングにおいて、チューダーよりもある意味では“クロノグラフの定番”を体現するデザイン(ある意味、新たな潮流を生み出した)と言えるだろう。
オメガ スピードマスター 38(税込93万5000円、中央上)38×14.7×44.9mm、コラムホイールを搭載した自動巻きのコーアクシャルムーブメント、ブレスレット仕様、100m防水。デザインとプロポーションが好みなら、素晴らしい選択肢だ。個人的にはチューダーのほうが装着感が良く、ダイヤルのバランスも優れていると思う。この2本を比較検討する人はあまり多くはないかもしれないが、こちらはチューダーよりも安価でありながら、機構や製造品質に一寸の妥協もない。
タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ “グラスボックス” 39mm(税込101万2000円、右上)39×13.9×46mm、12時間積算計を備えた自動巻きクロノグラフムーブメント Cal.Th-80(きわめて素晴らしい)、80時間のパワーリザーブ、100m防水。これは本作の最も手強い直接の競合モデルと言えるだろう。複数のバリエーションがあり、装着感も抜群で、カレラという名前はクロノグラフの世界で確固たる歴史を持っている。よりモータースポーツ色が強いものの、やや控えめな(イエローではない)モデルをお探しなら、こちらが最有力候補になるだろう。
ブライトリング トップタイム B01 レーシング(税込112万2000円、左上)38×13.07×44.1mm、自社製の自動巻きムーブメント Cal.B01、30分積算計、パワーリザーブ70時間。ブライトリングの多くのモデルは今回の比較対象にはやや大きすぎ、またこのモデルも価格帯は高めだ。しかしモータースポーツをテーマにしたデザインや100m防水性能を備えているため、もしチューダーのデザインが好みに合わないなら、有力な代替候補となるだろう。
ロンジン スピリット パイロット フライバック(税込80万8500円、右上)39.5×13.4×47.4mm、2万8800振動/時で駆動する手巻きのフライバッククロノグラフムーブメント、パワーリザーブ68時間。この価格帯で魅力的なクロノグラフをお探しなら、まさに“玄人好みのコストパフォーマンス”を誇るうってつけのモデルだ。正直に言うと、ロンジンにはこのリストに加えられそうなクロノグラフがほかにもいくつかある。ギルト調のディテールに抵抗がない方であれば(チタン製も選択可能だ)、チューダーよりも手ごろな価格で100mの防水性能とフライバック機能を手に入れることができる。ロンジンは引き続き“価値”を徹底して追求しており、このモデルはその姿勢を象徴する1本だ。
今回挙げた顔ぶれは、いずれも強力な競合モデルだ。正直なところ、41mmまでサイズを上げると選択肢は一気に広がり、IWCやブライトリングのさらに多くのクロノグラフも比較対象に入ってくるだろう。だが今回重要なのはサイズであるため、できるだけ40mmを超えるモデルは外すようにした。きわめて競争の激しいカテゴリーであるため、チューダーの優れた競合製品を見落としている場合は、ぜひコメントで教えて欲しい。とはいえ、最終的な結論は変わらない。新しいブラックベイ クロノ 39は、このカテゴリーにおいて有力な選択肢だろう。
最後に
結局のところ、正規販売店で入手できると仮定すれば、この鮮やかなイエローダイヤルを気に入って手に入れるか、あるいは今後チューダーが新たなダイヤルカラーを発表した際に、HODINKEEアプリから新色発表の通知が届くのを待つかのどちらかになるだろう。もっとも、それこそがチューダーらしい展開でもある。私自身も、この魅力的なイエローのクロノグラフを、頭のなかの――いろいろな意味で少々クレイジーな――ウィッシュリストに加えることにした。そのリストには、いつか実現してほしい非ギルト仕様のブラックベイ 58 GMTや、ペラゴス 39 GMTへの期待も並んでいる。
冗談はさておき、私はこの時計を本当に気に入っている。そしてそれ以上に、チューダーによる39mmモデルの展開には、今後も強く期待している。このモデルがこれからどのように発展していくのか楽しみでならない。
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