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Business News 中古時計市場が過去3年で最高の四半期パフォーマンスを記録。ロレックスやパテック フィリップ、カルティエ、オメガの価格が安定したとモルガン・スタンレーが報告

【ニュース】モルガン・スタンレーおよびWatchChartsによれば、第2四半期のデータは、上場企業ブランドと独立系ブランドとのあいだで中古市場における価格動向の乖離が続いていることを示している。

スイス製ラグジュアリーウォッチの中古価格指数は第2四半期にさらなる安定を見せ、カルティエ、オメガ、ロレックス、パテック フィリップといった主要ブランドが市場全体を上回るパフォーマンスを示し、2022年初頭のピーク以降でもっとも緩やかな下落幅となった。モルガン・スタンレーとWatchChartsが発表したレポートによれば、WatchChartsが集計した二次流通市場価格データおよびブランド別指数に基づき、4月から6月末までの平均価格は前四半期比で0.3%の下落となった。これは第1四半期の0.4%下落からのわずかな改善であり、過去3年で最も緩やかな減少率である。レポートによれば、ロレックス、パテック フィリップ、カルティエ、オメガといった“ブルーチップ”ブランド(市場価値や信頼性が高く、中古でも価格が安定している一流ブランド)の一部中古モデルにおいて、買い手がより高い価格を支払う意欲を見せているようだ。中古ロレックスの供給水準は正常化しつつあり、消化率も回復している。また、カルティエ、オメガ、IWCといった中堅ブランドに対する需要は高まり、第2四半期には過去最高水準に迫る勢いを見せた。

 それでもなお、スイス製中古時計の価格はパンデミック後のピーク以降13四半期連続で下落している。モルガン・スタンレーの報告によれば、対象となったスイスブランド35社のうち29社が四半期ごとのパフォーマンスでマイナスを記録し、25社では平均価格が1%以上下落した。さらに、スイス、欧州、日本からの輸入品に対する米国の関税が影響し、米国内におけるほぼすべてのブランドで小売価格が2%から10%引き上げられており、価値維持率も難しくなっているという。

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 中古市場における時計価格の推移は、そのブランドが消費者にどれだけ支持され、ブランド価値を有しているかを示す指標となり得る。今回のレポートは、中古時計の購入者が無名ブランドではなく“ブルーチップ”ブランドを選好している傾向を示している。リシュモン傘下のカルティエについては、タンクやサントスといったモデルの中古市場における強い需要を背景に、平均価格が同期間で0.9%上昇した。パテック フィリップも主要ブランドのひとつとして好調で、ノーチラスの価格が0.5%上昇したことや、アクアノートの価格が前四半期比で2%上昇したことが寄与し、全体で1.1%の価格上昇を記録した(WatchChartsのデータによる)。一方で、中古市場において取引量・取引金額の両面で圧倒的な存在感を持つロレックスの価格は、横ばいかわずかに0.2%の下落となった。同様に、スウォッチ グループ傘下のライバルブランドであるオメガも、主力モデルであるスピードマスターの堅調な需要を受け、価格は横ばいか0.1%の微減にとどまった。

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 イタリアのジュエリーブランドであるブルガリの中古時計価格は、第2四半期を通じて比較的安定しており、平均で0.2%の下落となった。オクト フィニッシモやセルペンティなどのモデルに対する需要が堅調で、LVMHグループが展開するブランドのなかで、ブルガリは最も好調な成績を見せた。一方、ウブロ、タグ・ホイヤー、ゼニスなど、LVMH傘下の他ブランドの中古価格指数はいずれも2%以上下落し、なかでもウブロは4%の下落幅で最大の値下がりとなった。

 リシュモングループ内で最も好調だったカルティエに対し、A.ランゲ&ゾーネ、ヴァシュロン・コンスタンタン、ジャガー・ルクルト、パネライといったその他のブランドは、いずれも2%を超える価格下落となった。また、オメガ以外のスウォッチ グループ傘下ブランドでは、ブランパン、スウォッチ、ロンジンといったブランドがいずれも第2四半期に3%以上の下落を記録している。一方で、価格帯と取引量の両面で主導的な役割を果たすティソは例外であり、前年第1四半期には最も不調なブランドとされていたものの、第2四半期には1.25%の価格上昇を記録した。

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 第1四半期にパテック フィリップと肩を並べていたオーデマ ピゲの中古平均価格は、第2四半期に1.3%のマイナスとなった。ロイヤル オークは相対的に堅調だったものの、中古市場においてはロイヤル オーク オフショアおよびCODE 11.59の価格の軟調さを補うには至らなかった。前年比で見ると、オーデマ ピゲの価格は4.9%低下しており、同期間のパテック フィリップ(2.8%減)やロレックス(2.3%減)と比べて振るわない結果となった。とはいえ、モルガン・スタンレーとWatchChartsのレポートによれば、2021年1月以降の累積推移ではオーデマ ピゲはスイスの独立系三大ブランドのなかで最も価格が伸びている。

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 レポートの最後では、各ブランドのモデルが現在の小売価格と比較して価値を保てる度合い(価値維持率)に関する指標が、多くのブランドによる米国での価格改定を受けてやや軟調な傾向にあることが示された。こうした価格引き上げは、ホワイトハウスによるスイスからの輸入品への10%関税に対応するかたちで行われたものである。スイスは、追加関税を回避する協定をまだ締結していない国のひとつであり、新たな交渉期限は8月1日(金)に設定されている。