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今週のヴィンテージウォッチ
我々はHODINKEEで扱うヴィンテージウォッチを多彩にしようとベストを尽くしている。初期のゼニス エル・プリメロ Ref.A384のような時計は調達できる度に紹介してきたし、先週は1980年代のジンを、先々週には誰かが時刻表示すらない腕時計型ストップウォッチのホイヤー ヨットタイマーを取り上げた。そうはいっても、ロレックスを外すことはできない。その王冠マークは常にどんな時計コレクションにも欠かせないものであり、今週取り上げるのはこれだ。クラシックがクラシックであるのにはワケがある。
この記事のタイトルはタイプミスではない。チームは今週の注目の時計として3本のロレックスを選んだのだ、しかし、ちょっと変わったものをお求めの方のために、ホイヤーのオータヴィア“アンドレッティ”やヴァルカンのクリケットまでそろえてある。リッチ(Rich)がヴィンテージロレックス界のアイコンである“ビッグレッド”のデイトナ Ref.6263から始め、シーン(Sean)とサオリは“ネオヴィンテージ”スポーツモデルの2本、GMTマスターとサブマリーナーをそれぞれ紹介する。HODINKEE Shopの全コレクションはこちらでチェックできる。
1978年製 ロレックス デイトナ“ビッグレッド” Ref.6263
ロレックスのモデルのなかで、いや、あらゆるブランドのなかでも、コレクターたちと最も多く語り合ってきたのはデイトナについてだ。価格を追ったり、各型番や多くのバリエーションについて深掘りしたりと、理解すべきことが多くあり、いつまでも続けたくなる。最近、デイトナはスポーツクロノグラフの典型だといわれたが、1963年から現在に至るまでずっとそうであり続けていると、私は思っている。ロレックスは何十年もかけて主力のクロノグラフを改良し続け、堂々たるアイコンである今日のセラミック・デイトナを作り上げた。
1963年にRef.6239からスタートしたデイトナは、それから10年ほど、少しずつ変化し、実験的な試みを続けてきた。Ref.6263と6265が発表された71年にようやく形式が確立され、基本が整った。このふたつの型番が88年までデイトナを支え続け、その後“ゼニス”世代が発売された。手巻き式デイトナの王者はRef.6263と6265である。
この2本のどちらを選ぶかは、本当に個人的な好みの問題だ。往年のRef.6239を思い、ステンレスティールのベゼルを好む人もいれば、現代的なセラミックのデイトナと同じ黒のアクリルベゼルを検討する人もいる。私としては、ねじ込み式プッシュボタンを備えたを持つヴィンテージのデイトナを求めるなら、アクリルベゼルを選ぶしかない。このふたつの構成要素は、防水性能と視認性に関して技術的改良がなされ、手首につけた時の全体としての重厚感も備えた、手巻き世代の究極の形を象徴するものだ。
人々はRef.6263派とRef.6265派にほぼ二分されるかもしれないが、“ビッグレッド”バージョンのダイヤルがこれらの型番の王者であることは否定しようがない。象徴的なのは、この1列の赤い文字がこれらの時計の全体的見た目を見事に変えてしまうということだ。今回の1本のダイヤルはシルバーで、もちろん“ビッグレッド”のデイトナの文字が6時位置の積算計上部に沿って配されている。デイトナの文字はほかのものより若干高い位置にあり、“フローティング・ビッグレッド”と呼ばれるタイプだ。シルバーの背景のなかでその赤色がより手首に映え、ややシンプルな配色を崩している。状態は写真のとおりで、ダイヤルの素晴らしいサンレイ仕上げ、抜群に丈夫なケース、正しい“マーク2”プッシュボタン、美しい全体的なパティーナ(経年変化)を備えており、私の好みにぴったりのヴィンテージルックである。このRef.6263 “ビッグレッド”の素晴らしい1本は、HODINKEE Shop内のこちらでチェックできる。
1991年製 ロレックス GMTマスター Ref.16700
GMTマスターとGMTマスター IIの違いは何か。時計愛好家になったばかりの友人や顧客からのこの問いに、私は幾度となく答えてきた。こういった質問に答えるのはいつでも喜ばしいことだ。というのも、それは人々が本当に深く掘り下げ、読み始めた証拠であり、私にとって最も重要なことで、彼らがヴィンテージウォッチについて真剣に考え始めた証拠だからだ。ロレックスのこの型番は、ロレックスマニアとなる手始めとしておもしろい。この時代、なかでもこの時計は、ロレックスのモデルの移り変わりの全容について考え始めるためのヒントになると思っている。それはまた、時にほとんど意味をなさない学びを得るよい手立てのひとつでもあるかもしれない。Ref.16700は時折“過渡期”のものとして言及されるが、私はそうではないと主張したい。これはシリーズの最後にあたるものだ。これよりあとに純粋なGMTマスターは存在せず、GMTマスター IIがあるだけだ。この時計に使われたムーブメントも、この機種にしか搭載されなかったものであり、この時計がこの種の最後のものなのだ。
それによってこの時計の価値が損なわれることはなく、実際のところ、この時計はセカンドタイムゾーンの時刻合わせをベゼルの回転だけで行う、これ以前のすべてのロレックスのGMTの最終形態なのだ。また、私の考えでは、管理し、時を読み取るのが非常に簡単な時計でもある。第1に、私にとってはダイヤル上のGMT表示針の位置からぼんやりと時刻を推測するよりも、24時間表示のベゼルから時刻を読み取るほうが簡単だからだ。また、適切なクイックセット式デイトのおかげで、2、3日時計を巻き上げないと時針をダイヤル何周分も送らなければならないような近年のGMTと比べて素早くセッティングすることができる。そして最後に、3つのタイムゾーンを把握したいと思う機会は今までの人生のなかでたった1度しかなく、3つのタイムゾーンを表示できるGMTウォッチでそれを行うのはやっかいだとわかったのだ。そんなわけで、この型番は私の理想のGMTで、夜光とベゼルにパティーナが見られる程度に古いが、修理のためにムーブメントの部品を見つけられないほど古くもない。詳細はこちらで確認できる。
1991年製 ロレックス サブマリーナー Ref.16610
ロレックスのサブマリーナーは常に私の期待に応えてくれる。いつも約束を果たしてくれる。つまり正確で、一貫性があり、信頼できて、その上、偶然に見た目にも素晴らしい。これがロレックスの魔法だ。デイトナ、GMT、サブマリーナーのすべてが“いい”時計に欠かせない基本を備えている。どんな時でも私は自分のRef.5513を絶えず着用していたが、この時計の働きぶりは見事だった。リューズが手に食い込んで、しばらく跡が残るが、それでも私はこの時計が大好きで、この点以外にがっかりするようなことはなかったため、ちょっとした痛みには喜んで耐えたいと思っていた。別れを告げる時が来ると、金銭面でも期待に応えてくれた。金銭的な理由から時計を購入することは考えられないが、元々支払った金額の2倍で売れたというのは心強い。それは今から10年ほど前のことで、価格はそれ以降も着々と上がっている。ほかにも素晴らしい時計が数多くあるが、私の個人的経験からサブマリーナーはこのように万能な頼れる時計だと、自信を持って断言できる。
このRef.16610は見れば見るほど、ますます魅力的に感じられる。私は以前まで“デイト表示なし、ホワイトゴールドの囲みなし”を絶対としていた。1つ目のデイトウィンドウはあまりに対称性に欠けると考えていたからだ。そして18KWGの囲みはギラギラしすぎているように見えたのだ。このふたつが組み合わさると、蛍光灯と同じように、あまりに現代的でどこか味気なく感じられたのである。しかし、この好みは時が経って(願わくは、私がより賢くなったからだといいが)変わった。この時計は、柔らかさと個性を発揮する時期にきており、なかでも、時を経たことによる夜光の暖かなパティーナが印象的だ。パティーナのおかげで、18KWGの囲みが目障りではなくなった。むしろ、シルバーカラーのフレームが暖かみのあるパティーナをより強調し、際立たせている。ケースとブレスレットは現行のものに比べてコンパクトで、私にとっては着用しやすい。いいヴィンテージウォッチを好む私のような人々にとっては、新品のサブマリーナーに見えないのはうれしいことだ。この時計はヴィンテージ感と現代性のバランスが絶妙であり、今後もっとよくなる可能性が高いように思う。この“ネオ・ヴィンテージ”サブマリーナーを購入したいなら、こちらをクリック。
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