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Photos by Andy Hoffman
ニュースを追っていない人のために言っておくが、スイス時計業界は、米国に輸入されるスイス製品に課せられた39%という高額な関税によって大きな圧力下に置かれている。スウォッチ グループはオメガからブランパン、ミドーまで、いくつかのブランドを擁するアルプスの国最大の垂直統合型時計メーカーのひとつだ。ビール/ビエンヌを拠点とする同社はこの予期せぬ課税によって不意を突かれ、言うまでもなく、現在の関税状況に不満を持っている。そこでその名を冠した予算に優しいブランドを通じて同社はその感情を表現する時計を製作し、購入者に“リミテッドエディションだと願う”とする“What If...Tariffs?”という時計で、この困難な時代を記念する方法を与えたのだ。
まず、はっきりさせておこう。この時計はスイスでしか購入できない。もしあなたが日本やフランス、そして特に米国に住んでいるなら、スイスに旅行に行かない限り運が悪かったということだ。我々がジュネーブのマルシェ通りにあるスウォッチのフラッグシップ ブティックを訪れた際、自ら1本ピックアップした。それはムーンスウォッチやブランパン×スウォッチ スキューバ フィフティ ファゾムス、そのほかのコアモデルと並んで展示されていなかった。我々は特別にそれを尋ねる必要があり、販売員は1本取ってくるために奥へと消えた。
赤とブルーにホワイトのアクセントが効いたボックスには、関税のテーマがすぐに見て取れる。時計が収められた赤いカートンを覆う青い厚紙の片側には大きく“39”があしらわれている。控えめではないことは確かだ。これは以前我々が見たWhat If?モデルにきわめて似ているが、この時計をユニークにしているいくつかの重要な違いがある。
ケースはオリジナルのWhat If?モデルでおなじみの縦33mm×幅33mmのスクエアであり、ユビキタスなムーンスウォッチに使用されているのと同じバイオセラミック素材で製作されている。スウォッチはケースとストラップの色を“ベージュ”と説明しているが、実機はほとんどホワイトに近い淡い色合いだ。一体型ストラップは軽量でバックルに向かって先細になっており、スウォッチ創成期を思わせるレトロな1980年代の外観を持つ。
What If?コレクションが、おなじみのキャラクターやストーリーラインを代替の可能性を通じて再構想する『What If?』というマーベル・コミックシリーズからインスピレーションを得ていることは注目に値する。同様にWhat If?モデルは“もしスウォッチのデザイナーがブランドのデビューモデルとして、今や象徴的な丸いケースの代わりにスクエアケースを選んでいたとしたら?”と問いかけている。今回の特別なエディションではその問いは進化し、“もしスウォッチが39%の関税の重みの下で構想されていたとしたら?”となるのだ。
オリジナルWhat If?モデルは本作と似たダイヤル、デイデイト機構、そして伝統的なアラビア数字マーカーのレイアウトを備えていた。
3針のロイヤルブルーダイヤルに込められた風刺的で鋭いメッセージは見逃しやすい。しかし1度それを見てしまうと見過ごすのは難しい。3時と9時のアワーマーカーが反転されており、これはスイスのメーカーが米国で直面している関税率を表現している。この時計を着用しマットブルーのダイヤルを見るたびに、従来の貿易協定とパートナーシップを根底から覆した世界貿易と経済政策における重大な変化を思い出させられる。同時に時計に動力を供給するクォーツムーブメントは、アワーマーカーをあまりにも文字どおりに読まない限り、時刻を明確に伝えるというその役割を果たしている。
このモデルラインのユニークなデザインは盛り上がった(バイオ)アクリルクリスタル風防を備えており、リューズ側と時計の反対側からダイヤルを見るためのサイドウィンドウを提供している。これは、時として不透明すぎると批判されてきたスイスの業界からの真の透明性を垣間見せるまれな機会だ。もしあなたが価格の上昇で溺れそうになっているなら、この時計は20mの防水性能を提供する。そして世界貿易と経済政策のすべての変化があなたを暗闇のなかに置き去りにしたと感じているなら、心配はいらない。時針と分針には夜光が施されており、道を案内してくれる。
関税への唯一のほかのオマージュは、時計の裏側にあるバッテリーカバーに見られる。オリジナルのWhat If?モデルが、オリジナルのスウォッチモデルのダイヤルを表示するためにそのプレートを使用しているのに対し、What If...Tariffs?モデルには米国の輸入業者が原産国に応じて直面する、絶えず変化する税率を思い起こさせる大きな青いパーセンテージサインがある。現時点では、スイス製時計の米国 輸入業者は商品の価値に対して39%の税率に直面しており、これはほかのどの先進西洋諸国よりも高い。一方、欧州連合と日本からの製品は15%の課税に直面しており、英国からの製品は輸入された製品の価値に対して10%の関税が課せられる。
2021年以来、スイス時計の輸出先としてトップの国である市場にスイス製時計を製造し販売する500億ドル(日本円で約7兆6358億円)の業界に関わるすべての人にとって、これは混乱を招く不確実な状況だ。4月に関税が発表されて以来、米国への輸出は月ごとに激しく変動している。ブランドやメーカーは関税率の変更に先立ち、米国の小売業者に製品を急いで出荷した。同時に大半のブランド(スウォッチ グループのブランドを含む)は関税の一部のコストを相殺するため、そしてスイスフランの対米ドルでの継続的な強さと、1オンスあたり4000ドル(日本円で約61万円)を超える記録的な高値に急騰した貴金属とゴールドの高騰する価格を考慮に入れるために価格を引き上げた。“What If...Tariffs?”モデルも、現在の状況を反映するように価格設定されている。通常のモデルが約100スイスフラン(日本円で約1万9000円)であるのに対し、“What If...Tariffs?”モデルは正確に139スイスフラン(日本円で約2万6600円)で小売されている。それは本質的に100スイスフラン(日本円で約1万9000円)の時計としては予期せぬプレミアムだ。
スウォッチ What If...Tariffs?モデルは縦33mm×幅33mmの、ソリッドでマットなベージュのバイオセラミック素材のケースに、端から端までバイオソース素材の風防を備えている。厚さは10.5mmで、ダイヤルはブルー。夜光を塗布した針、ソリッドなバイオソース素材でできた一体型ストラップ、バイオソースバックル付きだ。価格は139スイスフラン(日本円で約2万6600円)である。詳しくはこちらから。
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