trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Watching Movies 映画『マージン・コール』で、ザカリー・クイントがポルシェデザインのクロノグラフを着用、金融危機を予測する

今週の時計関連映画では、差し迫る運命にオールブラックのクロノがよく似合う。


ADVERTISEMENT

2011年、ユタ州パークシティで開催されたサンダンス映画祭において、J.C.チャンダー(J. C. Chandor)は、初監督となる映画『マージン・コール(原題:Margin Call)』を初公開した。そこで知り合ったロバート・レッドフォード(Robert Redford)は、その後に続く彼の人気長編映画『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜(原題:All is Lost)』に出演することになる。

 この作品は、2007年から2008年の金融危機で崩壊の瀬戸際に立たされた、ニューヨークにある架空の投資銀行を描いたものである。好評を博したが、収益は控えめだった。ザカリー・クイント(Zachary Quinto)は、ロケット科学者からリスクアナリストに転身し、会社や世界に破滅をもたらす財務予測の重大なミスを発見する手助けをする役どころだ。劇中で彼が身につけているのは、ある自動車に特化したデザインを持つ、黒塗りのスタイリッシュなクロノグラフである。

Quinto Porsche Design Chrono On Wrist

映画『マージン・コール』で、ポルシェデザインのクロノを袖口から覗かせているピーター・サリヴァン(ザッカリー・クイント)。 Image: Courtesy of Lionsgate


見るべき理由

 読者の方々が見逃してしまった場合に備えて、我らのジェームズ・ステイシー(James Stacey)は自らオーストリアの山々へと夢のような旅に出て、ヴィンテージポルシェを運転し、彼のカメラ(と才能ある眼力)で、さまざまな時計、特にポルシェデザインの時計を捉えた。まだ見ていない方は彼の素晴らしい写真をぜひ一度ご覧いただきたい。前回のポルシェデザイン特集は映画『トップガン マーヴェリック』の公開記念の折であったが、私は、再度ポルシェデザインを取りあげるのに今週がいい機会であると考えた。気のいいザ・リンガー(The Ringer)の人たちが、その人気ポッドキャスト『Rewatchables』において『マージン・コール』の特集を配信した。さらに先週末、私は、ブルックリンの街で、この映画のもうひとりのスターであるペン・バッジリー(Penn Badgley)と偶然にもすれ違った。どう考えても、この映画を紹介する絶好のタイミングというほかない。

Quinto Porsche Design Chrono On Wrist

『マージン・コール』にて、腕組みをしてポルシェデザインのクロノを見せつけながら上司退任の知らせを聞くサリヴァン(クイント)。Image: Courtesy of Lionsgate

 本作は、『ウォール街(原題:Wall Street)』などの伝統を踏襲し、資本主義の最も生々しい姿に挑むものだ。破綻直前の2000年代後半、住宅ローン担保証券への過剰投資によって引き起こされた経済的混乱に焦点を当て、我々の現実を映し出す。クイント演じるピーター・サリヴァンは、解雇されたばかりの上司エリック・デイル(Stanley Tucci)から、退社直前にUSBメモリを手渡される。エレベーターが閉まる直前、デイルは「気をつけろ」と言う。サリヴァンはそのUSBメモリに基づいて財務モデルを完成させ、事態が非常によからぬことなっているのに気づく。その後、一晩の出来事がスリリングな90分の映画のストーリーとして展開される。我々は、社会の上位1%のさらに1%の上澄みの人々が世界経済の崩壊に直面し、損失をできるだけ減少しようと試み、自分たちの失敗の意味を理解しようとしている様を鑑賞することになる。社会のことは忘れ、自分たちの利益を考えている様を。

Quinto in Margin Call

『マージン・コール』でポルシェデザインのクロノを身につけ解雇を心配するサリヴァン(クイント)。Image: Courtesy of Lionsgate

 『マージン・コール』に登場するような裕福な権力者たちは最高級の時計を身につけていそうなものだが、クイント演じるサリヴァンが身につけているのは、P6612と思われる、かなり控えめな黒塗りのポルシェデザインのクロノグラフであり、これを、デプロイヤントバックルの付いた一体型ラバーストラップで装着している。この映画には、IWCのポルトギーゼ・クロノやツートンのロレックス サブマリーナーなど、もっと高価な時計も出演している。だが、そのなかでも際立っており、真のヒーローの画を演出してくれるのは唯一、サリヴァンのポルシェデザイン(PD)だ。この時計はさまざまな意味で彼の性格をよく表している。彼は元ロケット科学者だ(この世界の、ではないが)。そして、PDはそのことを思い出させてくれる。

Porsche Design

『マージン・コール』でザッカリー・クイントが着用したクロノグラフと同様のポルシェデザイン P6612。

 ポルシェデザインのクロノグラフ時計の歴史は、ブラックPVDケースと揃いのブレスレットで知られる、1970年代初頭のクロノグラフ1まで遡る。現代では、この時計はそれ自体がひとつの象徴となっており、最近、ブランドによる限定版で復活した。同種の時計はさらに増える予定だ。サリヴァン着用のPDクロノは、オリジナルのクロノグラフ1とはまったく異なる外観だが、美しいオールブラックにそのデザインの系譜を見ることができる。あまり主張しないこのモデルは、その全体的な暗さが映画のストーリーによくマッチしている。

 『マージン・コール』は、過小評価されている現代の名作といえる。静謐で、シリアスで、観客に挑むような作品だ。時計だけを目当てとするのではなくとも、再び見たくなる映画である。

ADVERTISEMENT

見るべきシーン

 サリヴァンは、デイルからUSBメモリを受け取ったあと、深夜まで会社に残り、謎に満ちたその中身を調べることにする。2000年代半ばに流行ったインディー・フォークソングが背景に流れるモンタージュシーンでは、サリヴァンがパソコンに向かい、爪を噛みながら、落ち着かない様子で作業する姿が映し出される。演出を盛り上げるために画面は霞みがかかっている。そして、ポルシェデザインのクロノがクローズアップされ、まもなく午前3時であることが示される[00:17:38]。夜はまだ始まったばかりだ。

PD watch

Image: Courtesy of Lionsgate

 会社倒産の危機が迫っている旨を上司に打ち明けたあと、損失管理に着手するべく深夜の会議が招集される。幹部全員が到着し、USBメモリから見つかったデータを検証する。そして、会社が保有する不動産担保証券を完全に売却することが最善策であるとの判断が迅速に下される。第2幕終盤の静かなシーンで、サリヴァンが同僚と一緒に座り、緊張しながら続報を待っている姿が映し出される [01:01:16] 。彼は時間を確認してから、外の空気を吸っていいかどうかと尋ねる。これから起こることがわかっており、心の準備をしようとしているのだ。

Quinto checks the time

Image: Courtesy of Lionsgate

『マージン・コール』(ザカリー・クイント主演)は、J. C. シャンドール監督、小道具担当マイケル・コーリーによる作品。Netflixでストリーミング、iTunesやAmazonでレンタル可能です。

Shop This Story

ポルシェデザインの時計の詳細は、ポルシェデザインの公式サイトまで。