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本稿は2026年8月に執筆された本国版の翻訳です。
オークションハウスのフィリップスは、11月に出品予定のクロノメーター・レゾナンス初期の試作機が1999年に納品されたという主張を、撤回して訂正した。独立時計師のF.P.ジュルヌによれば、実際に納品されたのは翌年であり、顧客に届けられたこのリファレンスの最初の個体でもなかったという。
“フランソワ-ポール・ジュルヌ(François-Paul Journe)氏のおかげで、誤りを正すことができた”と、フィリップスはInstagramの投稿で述べた。
“11月7〜8日にフィリップスとバックス&ルッソが共同で出品する『プレプロダクション クロノメーター・レゾナンス』は、当初の認識とは異なり、1999年に納品されたものではなかった。F.P.ジュルヌのおかげで、実際には2000年6月8日に納品されたことがわかった”とオークションハウスは付け加えた。
フィリップスの訂正発表に先立ち、F.P.ジュルヌが署名した書簡が公開された。同書簡では、シリアルナンバー022/99の個体が、商業販売され顧客に納品された最初期のレゾナンスの1本である可能性が高いというフィリップスの主張に異議を唱えていた。フィリップスは11月にジュネーブでの競売への出品を発表した際、出品者がこの時計の最初の所有者であり、1999年に受け取ったと説明していた。また同社はプレスリリースで、この時計がレゾナンスとして顧客に販売・納品された最初の個体、あるいは少なくとも最初期の1本である可能性を示唆していた。レゾナンスは、フランス人時計師の代表作としてしばしば挙げられるモデルである。フィリップスは、このリファレンスが商業販売された最初の個体であると確認したとは述べていなかった。
“訂正”と題された書簡で、ジュルヌ氏は次のように述べた。“最初のクロノメーター・レゾナンスは、2000年3月10日に納品された。No. 022/99Rは、それから3カ月後の2000年6月8日に納品された。この3カ月のあいだにも、世界各地でほかの個体が納品されている。最初に納品されたRのシリアルナンバーは非公開とする”と、書簡のなかで付け加えた。
ジュルヌ氏の訂正書簡は、この時計の落札価格に影響する可能性がある。フィリップスによる予想落札価格は50万〜100万スイスフラン(約9500万〜2億円)だ。レゾナンスのもうひとつの初期個体であるシリアルナンバー007の初期型レゾナンスは、6月にニューヨークで開催されたフィリップスのオークションで1390万ドル(日本円で約22億円)という記録的な価格で落札され、時計のオークション落札額として史上5番目の高額となった。
コレクターは、生産初期に納品された時計により高い価値を見いだすことがある。最初に納品された個体は、最も望ましいものとみなされることも多い。F.P.ジュルヌの時計、とりわけフランス人時計師が手がけた初期の希少な個体は、近年価格が高騰し、記録的な水準に達している。
同社の広報担当者が真正性を確認した書簡で、ジュルヌ氏はこう記している。“私たちについて書かれた事実に反する内容を目にするたび、非常に落胆する。F.P.ジュルヌのことを私以上に知っているという『専門家』もいる。しかし、情報を集め、文章を書き、真実を伝えることは決して難しくないはずだ”とジュルヌ氏は述べた。“この説明の目的は誰かを罰することではなく、購入者を守ることだ。偽物や不正に手を加えられた時計などから購入者を守ることにも取り組んでいる”と、同氏は書簡に記した。
F.P. ジュルヌが公開した書簡を受けて、フィリップスも訂正の投稿を行い、この時計がレゾナンスの最初期の個体のひとつであることに変わりはないと主張した。
“クロノメーター・レゾナンス 022/99は最初に納品された個体ではないものの、当時、商業販売された個体のなかでは最も小さいナンバーを持つ。ケース番号01/00〜20/00の個体はスースクリプション向けに確保されており、021/99はジュルヌ自身が保管していた”とフィリップスは述べた。“この時計は、ケース番号がxx/99の既知の『プレプロダクション』モデル数本のうちの1本である。裏蓋の刻印は浅く、文字盤は光沢のあるピンクゴールド製で、最初の所有者が出品している”。
試作機は1998年に製造され、スースクリプション向けの商業モデルは2000年から製造・納品された。クロノメーター・レゾナンスは、個別のテンプを備えたふたつのムーブメントをひとつのケースに収め、互いに同調させる“共振(résonance)”の概念を、初めて腕時計に取り入れたモデルである。多くのコレクターにとって、このモデルは時計師としてのジュルヌのビジョンと才能を最もよく示す存在である。
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